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山海経 大荒東経 和訳

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東海の外は、コツメカワウソ、ミンクの国で、
ミンクは、コツメカワウソにここより類似し、
そのくちばしの色を異にする。

甘山というものが有り、
甘水が出でて、
甘淵を生ずる。

大荒の東南の隅には山が有り、
名は皮母地丘と。

東海の外、大荒の中には、
山が有って、名は大言という。
太陽、月の出ずるところである。

波谷山というものが有り、
オオワシの国が有る。
オオワシの猛鳥がいて、
名は、大鷲の鳥という。

異なる大鷲がいて、その上に住み、
その領地を縄張りにする。
小鷲の国が有り、
名はウオクイワシという。

さかなで、獣のような顔で、イルカのような身で、
名はトドという。

潏山が有り、楊水が出でる。
マナヅルの国が有り、
草を食べ、嘴で、穀物、昆虫を探す。

大荒の中には、山が有り、名は、合虛という。
太陽、月の出るところである。

クロヅルの国が有る。

オオヅルはクロヅルに似て、
クロヅルの鳥は草、木の実を食べ、
嘴で、穀物、昆虫を探す。

東口の山が有り、
カンムリカッコウの国が有る。
その鳥は、冠をつけ、剣を帯びる。

ナベコウの国が有る
オオヅルはコウノトリに似て、
コウノトリはナベコウに似る。
ナベコウはシラサギに似て、シラサギではなく、
マナヅルに似て、鶴ではない。
魚を食べ、獣を食べ、嘴で探す。

大阿の山というものが有り、
大荒の中には山が有って、名は明星という。
太陽、月の出でるところである。

ソデグロヅルの国が有り、
オオヅルはタンチョウに似て、
タンチョウはソデグロヅルに似て、
ソデグロヅルは白い身である。
草食で、嘴で、穀物、昆虫を探す。

フェネックギツネの国が有り、
ウサギのようなキツネで、黒い尾である。
 
柔僕民がいて、
これは、維嬴土の国である。

カナダヅルの国が有る。
オオヅルはカナダヅルに似る。
うすぐろい身で、
草を食べ、嘴で探す。

夏州の国が有る。
蓋余の国が有る。

川の獣がいて、ユーラシアカワウソのような頭で、人のような顔で、
イタチのような身で、小さい尾で、名は、コツメカワウソという。

大荒の中には山が有り、名は鞠陵于天という。
東のはての霊峰で、
太陽、月の出でるところである。

名は折丹という。
東の風は折という。
西の風は俊という。
東極に処して、出入りを以て風が吹く。

東海の渚の中に獣がいて、
獣のような顔で、カワイルカのような身で、
夏には留まって、山際の川と接しているところに上がり、
冬には流れて、とけて流れくだる氷に乗る。
名はゴマフアザラシという。

イルカは、ゴマフアザラシに似て、
ゴマフアザラシはゼニガタアザラシに似る。
ゼニガタアザラシは北海に住み、
ゴマフアザラシは東海に住む。
これは、回遊する海の獣である。

招搖山が有り、融水が出でる。 
 国が有って、ナベヅルという。
草食で、くちばしで探す。

ツルクイナの国が有って、
光沢のある身で、虫食である。

鳥がいて、マガンという。
黒いつばさで、ガンのような鳥で、
さまよって、その稲を食べる。

マガンはオオセグロカモメ、河の神のコブハクチョウと闘った。
オオセグロカモメはマガンをしりぞけ、コブハクチョウをおいはらった。
河がオオセグロカモメを念ずると、オオセグロカモメは逃げ出して、
樹に於いて国をつくり、さまよって虫を食べた。
名はナンヨウショウビンという。ツバメはヤマショウビンに似て、
ヤマショウビンはナンヨウショウビンに似る。

海内には氷の獣がいて、
名はタテゴトアザラシという。
タテゴトアザラシは大きい蟹を食べる。

大荒の中には、
山が有り、名は孽搖頵羝という。

上にはモッコウバラが有る。
枝は非常に長く、
その葉はいばらのようである。

谷が有り、溫源谷、湯谷という。
上にはモッコウバラが有る。
一に、方至という。
一に方出ともいう。
みな木のこずえに載る。

さかながいて、獣のような顔で、
大きい耳で、獣のような身で、
夏には留まって、山際の川と接しているところに上がる。
名はキタオットセイという。

五彩の鳥がいて、
ニジキジ、キジで、
この地の高くけわしいところは鵺で、
地の下は、ニジキジ、キジの鳥で、
彩鳥が、つかさどる。

大荒の中には山が有り、名は猗天蘇門という。
太陽、月の出でるところである。
壎民の国が有る。

綦山が有り、また搖山が有る。
䰝山が有り、また門戶山が有る。
また盛山が有り、また待山が有る。
五彩の鳥がいる。

東荒の中には山が有り、名は壑明俊疾という。
太陽、月の出でるところである。
クロヅルの国が有る。

東北の海外は、
またヨーロッパヤマウズラ、
三騅、アマヅルが有る。

ここには、遺玉、
ヨーロッパヤマウズラ、三騅、
視肉、アマヅル、
ツタが有り、多くの木の実の在るところである。

女和月母の国が有る。

山脈が有って、名は𪂧という。北風は𪂧という。
西の風は𤟇という。
これは、東極の隅に処して、太陽、月を止め、
雲をしてあいかわるがわる出没し、
その日月の短長を司る。

大荒の東北の隅の中には、山が有り、名は凶犁土丘という。
ユリカモメが南の辺境に住み、
オオセグロカモメとアホウドリをこばみ、
また移ることを得られず、
故に下はたびたび、日照りになる。
日照りになって、ユリカモメの祭りをすると、
乃ち大雨を得た。

東海の中に流波山が有り、海に入ること七千里、
その上には獣がいて、形はカワイルカのようで、
小さい身で、耳が無く、翼のような足で、
水に出入りすれば、必ず風がふき水しぶきがとぶ。
その模様は太陽、月のようで、
その声は、トドのようで、
その名はクラカケアザラシという。

黄帝がこれを得て、その皮で太鼓をつくり、
棒ぐいは、クラカケアザラシの骨を用いた。
響きは五百里に聞こえ、天下に威光を示した。






 



 

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