今南單于攜眾南向款塞歸命自以呼韓嫡長次第當立而侵奪失職猜疑相背數請兵將歸埽北庭策謀紛紜無所不至
今、南単于は衆を携えて南に向かい、塞に款(いたる)して帰命した。自ら呼韓の嫡長を以て、次第(順序)は立つに当たり、しこうして、侵奪して職を失ってより、猜疑して相背き、数(たびたび)、兵を請う。将に北庭(北匈奴)を帰掃せんとして、策謀は紛紜(みだれる)し、至(試みる 至(シ)=試(シ)?)さない所は無し。
惟念斯言不可獨聽又以北單于比年貢獻欲修和親故拒而未許將以成單于忠孝之義
惟念(おもう)する、斯(これ)、言葉は独りだけ聴くべきではない。又、北単于が比年(近年)に貢献するを以て、和親を修めることを欲した。故(まえ)に拒んで未だ許(ききいれる)さないうちに、将に単于の忠孝の義を成すを以てせんとす。
漢秉威信總率萬國日月所照皆為臣妾殊俗百蠻義無親疏服順者褒賞畔逆者誅罰善惡之效呼韓郅支是也
漢は威信を秉(手に握る)い、万国を総率する。日(太陽)、月の照らす所、皆、臣妾と為った。俗を殊にする百蛮は義して親疏無く、服順者は褒賞され、叛逆者は誅罰し、善悪の效は、呼韓、郅支が是なり。
今單于欲修和親款誠已達何嫌而欲率西域諸國俱來獻見
今、単于が和親を修めることを欲し、款誠(まこと)は已(すでに)達した。何(どうして)、嫌(不満である)っているのに西域諸国を率いることを欲して俱(ともに)献見に来るだろうか?
西域國屬匈奴與屬漢何異單于數連兵亂國內虛耗,貢物裁以通禮何必獻馬裘
西域国は匈奴に属し、ともに漢に属するは何(どうして)、異(あやしい)なるだろうか?単于は数(たびたび)兵乱を連ね、国内は虚耗したのに、貢物の体裁は礼に通じるを以てし、何(どうして)必ず馬、裘を献ずるのだろうか?
今齎雜五百匹弓鞬韥丸一矢四發遣遺單于又賜獻馬左骨都侯右谷蠡王雜各四百匹斬馬劍各一
今、雑五百匹、弓鞬韥丸一、矢四発を齎(送る)し、単于に遣遺(送る)する。又、献馬左骨都候、右谷蠡王には雑各々四百匹、斬馬剣を各々一つづつ賜る。
單于前言先帝時所賜呼韓邪竽瑟空侯皆敗願復裁念單于國尚未安方武節以戰攻為務
単于は、前に言った、先帝時に呼韓邪に賜った所の、竽、瑟、空侯は皆敗れ、体裁を復することを願うと。単于国は尚(なお)未だ安んじておらず、方(まさ)に武(武器)節(旗)を(きたえる)し、戦攻を以て務めと為すを以てせんとするを念(おもう)じ、
竽瑟之用不如良弓利劍故未以齎朕不愛小物於單于便宜所欲遣驛以聞
竽瑟の用は、良弓、鋭利な剣には不如(およばない)で、故(ゆえ)に未だ齎(送る)を以てしていなかった。朕は単于に小物を不愛(おしまない)し、欲する所に便宜して、駅(つぎうま)を遣わして聞(もうしあげる)くを以てせよ」と。
今、南単于は衆を携えて南に向かい、塞に款(いたる)して帰命した。自ら呼韓の嫡長を以て、次第(順序)は立つに当たり、しこうして、侵奪して職を失ってより、猜疑して相背き、数(たびたび)、兵を請う。将に北庭(北匈奴)を帰掃せんとして、策謀は紛紜(みだれる)し、至(試みる 至(シ)=試(シ)?)さない所は無し。
惟念斯言不可獨聽又以北單于比年貢獻欲修和親故拒而未許將以成單于忠孝之義
惟念(おもう)する、斯(これ)、言葉は独りだけ聴くべきではない。又、北単于が比年(近年)に貢献するを以て、和親を修めることを欲した。故(まえ)に拒んで未だ許(ききいれる)さないうちに、将に単于の忠孝の義を成すを以てせんとす。
漢秉威信總率萬國日月所照皆為臣妾殊俗百蠻義無親疏服順者褒賞畔逆者誅罰善惡之效呼韓郅支是也
漢は威信を秉(手に握る)い、万国を総率する。日(太陽)、月の照らす所、皆、臣妾と為った。俗を殊にする百蛮は義して親疏無く、服順者は褒賞され、叛逆者は誅罰し、善悪の效は、呼韓、郅支が是なり。
今單于欲修和親款誠已達何嫌而欲率西域諸國俱來獻見
今、単于が和親を修めることを欲し、款誠(まこと)は已(すでに)達した。何(どうして)、嫌(不満である)っているのに西域諸国を率いることを欲して俱(ともに)献見に来るだろうか?
西域國屬匈奴與屬漢何異單于數連兵亂國內虛耗,貢物裁以通禮何必獻馬裘
西域国は匈奴に属し、ともに漢に属するは何(どうして)、異(あやしい)なるだろうか?単于は数(たびたび)兵乱を連ね、国内は虚耗したのに、貢物の体裁は礼に通じるを以てし、何(どうして)必ず馬、裘を献ずるのだろうか?
今齎雜五百匹弓鞬韥丸一矢四發遣遺單于又賜獻馬左骨都侯右谷蠡王雜各四百匹斬馬劍各一
今、雑五百匹、弓鞬韥丸一、矢四発を齎(送る)し、単于に遣遺(送る)する。又、献馬左骨都候、右谷蠡王には雑各々四百匹、斬馬剣を各々一つづつ賜る。
單于前言先帝時所賜呼韓邪竽瑟空侯皆敗願復裁念單于國尚未安方武節以戰攻為務
単于は、前に言った、先帝時に呼韓邪に賜った所の、竽、瑟、空侯は皆敗れ、体裁を復することを願うと。単于国は尚(なお)未だ安んじておらず、方(まさ)に武(武器)節(旗)を(きたえる)し、戦攻を以て務めと為すを以てせんとするを念(おもう)じ、
竽瑟之用不如良弓利劍故未以齎朕不愛小物於單于便宜所欲遣驛以聞
竽瑟の用は、良弓、鋭利な剣には不如(およばない)で、故(ゆえ)に未だ齎(送る)を以てしていなかった。朕は単于に小物を不愛(おしまない)し、欲する所に便宜して、駅(つぎうま)を遣わして聞(もうしあげる)くを以てせよ」と。