文帝時時如通家遊戲
漢孝文帝劉恒はときどき漢上大夫通の家に行って遊び戯れた。
然通無他能不能有所薦士獨自謹其身以媚上而已
然(しか)るに漢上大夫通には他の才能が無く、薦(すす)めるところの士を有することができず、単に自らその身を謹(つつし)み上(漢孝文帝劉恒)に媚(こ)びるを以ってするのみであった。
上使善相者相通曰當貧餓死
上(漢孝文帝劉恒)は善い人相見をつかわして漢上大夫通を占(うらな)わせた、曰く、「まさに貧しくなって餓死します」と。
文帝曰能富通者在我也何謂貧乎
漢孝文帝劉恒曰く、「通を富裕にできる者には我(われ)が在(あ)るのに、どうして貧しくなると謂(い)うのか」と。
於是賜通蜀嚴道銅山得自鑄錢
ここに於いて漢上大夫通に蜀の厳道の銅山を賜(たまわ)り、自ら銭を鋳(い)ることを得た。
氏錢布天下其富如此
氏錢が天下に布(し)かれた。その富(とみ)はこの如(ごと)くであった。
文帝嘗病癰通常為帝唶吮之
漢孝文帝劉恒が嘗(かつ)て腫(は)れものを病み、漢上大夫通が常(つね)に帝の為(ため)にこれのうみを吸い取っていた。
文帝不樂從容問通曰天下誰最愛我者乎
漢孝文帝劉恒は楽しくなく、従容(しょうよう)とそれとなく漢上大夫通に問うた、曰く、「天下の誰が最も我(われ)を愛している者だろうか」と。
通曰宜莫如太子太子入問病文帝使唶癰唶癰而色難之
漢上大夫通曰く、「おおむね太子に及ぶものはいないでしょう」と。太子(劉啓)が病を見舞いに入ったとき、漢孝文帝劉恒はできもの(のうみ)を吸わさせ、できもの(のうみ)を吸ったが、顔色はこれをいやがっていた。
已而聞通常為帝唶吮之心慚由此怨通矣
しばらくして漢上大夫通が常に帝の為(ため)に吸い取っていることを聞き、心に恥(は)じて、これに由(よ)り漢上大夫通を怨んだのである。
及文帝崩景帝立通免家居
漢孝文帝劉恒が崩御するに及んで、漢孝景帝劉啓が立ち、漢上大夫通は免(めん)ぜられて、家に住んだ。
居無何人有告通盜出徼外鑄錢
しばらくして、人の通が国ざかいの外にひそかに出て銭を鋳(い)ていると告げるものが有った。
下吏驗問頗有之遂竟案盡沒入通家尚負責數巨萬
役人に下(くだ)して調べたずねると、頗(すこぶ)るこれが有り、遂(つい)にとうとう取調べられ、ことごとく通の家を没収し、尚(なお)負債(ふさい)は巨万を数えた。
長公主賜通吏輒隨沒入之一簪不得著身
長公主が通に賜(たま)わりものをしたが、役人がそのたびごとにそれを没収し、一つの簪(かんざし)もつけることができなかった。
於是長公主乃令假衣食竟不得名一錢寄死人家
ここに於いて長公主がそこで衣食を届けさせたが、とうとうたった一つの簪(かんざし)(銭=簪?)もつける(名(めい)=明(めい)=著?)ことを得ずに人の家で飢(う)えて(寄(き)=飢(き)?)死んだ。
漢孝文帝劉恒はときどき漢上大夫通の家に行って遊び戯れた。
然通無他能不能有所薦士獨自謹其身以媚上而已
然(しか)るに漢上大夫通には他の才能が無く、薦(すす)めるところの士を有することができず、単に自らその身を謹(つつし)み上(漢孝文帝劉恒)に媚(こ)びるを以ってするのみであった。
上使善相者相通曰當貧餓死
上(漢孝文帝劉恒)は善い人相見をつかわして漢上大夫通を占(うらな)わせた、曰く、「まさに貧しくなって餓死します」と。
文帝曰能富通者在我也何謂貧乎
漢孝文帝劉恒曰く、「通を富裕にできる者には我(われ)が在(あ)るのに、どうして貧しくなると謂(い)うのか」と。
於是賜通蜀嚴道銅山得自鑄錢
ここに於いて漢上大夫通に蜀の厳道の銅山を賜(たまわ)り、自ら銭を鋳(い)ることを得た。
氏錢布天下其富如此
氏錢が天下に布(し)かれた。その富(とみ)はこの如(ごと)くであった。
文帝嘗病癰通常為帝唶吮之
漢孝文帝劉恒が嘗(かつ)て腫(は)れものを病み、漢上大夫通が常(つね)に帝の為(ため)にこれのうみを吸い取っていた。
文帝不樂從容問通曰天下誰最愛我者乎
漢孝文帝劉恒は楽しくなく、従容(しょうよう)とそれとなく漢上大夫通に問うた、曰く、「天下の誰が最も我(われ)を愛している者だろうか」と。
通曰宜莫如太子太子入問病文帝使唶癰唶癰而色難之
漢上大夫通曰く、「おおむね太子に及ぶものはいないでしょう」と。太子(劉啓)が病を見舞いに入ったとき、漢孝文帝劉恒はできもの(のうみ)を吸わさせ、できもの(のうみ)を吸ったが、顔色はこれをいやがっていた。
已而聞通常為帝唶吮之心慚由此怨通矣
しばらくして漢上大夫通が常に帝の為(ため)に吸い取っていることを聞き、心に恥(は)じて、これに由(よ)り漢上大夫通を怨んだのである。
及文帝崩景帝立通免家居
漢孝文帝劉恒が崩御するに及んで、漢孝景帝劉啓が立ち、漢上大夫通は免(めん)ぜられて、家に住んだ。
居無何人有告通盜出徼外鑄錢
しばらくして、人の通が国ざかいの外にひそかに出て銭を鋳(い)ていると告げるものが有った。
下吏驗問頗有之遂竟案盡沒入通家尚負責數巨萬
役人に下(くだ)して調べたずねると、頗(すこぶ)るこれが有り、遂(つい)にとうとう取調べられ、ことごとく通の家を没収し、尚(なお)負債(ふさい)は巨万を数えた。
長公主賜通吏輒隨沒入之一簪不得著身
長公主が通に賜(たま)わりものをしたが、役人がそのたびごとにそれを没収し、一つの簪(かんざし)もつけることができなかった。
於是長公主乃令假衣食竟不得名一錢寄死人家
ここに於いて長公主がそこで衣食を届けさせたが、とうとうたった一つの簪(かんざし)(銭=簪?)もつける(名(めい)=明(めい)=著?)ことを得ずに人の家で飢(う)えて(寄(き)=飢(き)?)死んだ。