出邑門道飛其鵠徒揭空籠
邑門を出ると、道にその鶴を飛ばし、単に空(から)の籠(かご)を掲(かか)げ、
造詐成辭往見楚王曰齊王使臣來獻鵠
いつわって辞(じ)を成して、楚王に見(まみ)えに往(ゆ)き曰く、「斉王がわたしをつかわして鶴を献じに来ましたが、
過於水上不忍鵠之渴出而飲之去我飛亡
川のほとりに立ち寄ったとき、鶴の渇(かわ)きに忍(しの)ばれず、出してこれに飲ませたら、我を去って飛んで逃げてしまいました。
吾欲刺腹絞頸而死恐人之議吾王以鳥獸之故令士自傷殺也
吾(われ)は腹(はら)を刺し、首を絞めて死のうとしました。人が吾が王に議するに、鳥獣の故(ゆえ)を以ってわたしに令して自らを殺傷させることを恐れたのであります。
鵠毛物多相類者吾欲買而代之是不信而欺吾王也
鶴、毛物(けもの)、多くの相(あい)類(るい)する者は、吾(われ)は買ってこれに代えることを欲しましたが、これ誠実ではなく吾が王を欺(あざむ)きます。
欲赴佗國奔亡痛吾兩主使不通故來服過叩頭受罪大王
他国に赴(おもむ)き走り逃げようと欲しましたが、吾(われ)の二人の主(あるじ)に不通にさしめることを痛(いた)みました。故(ゆえ)に来て過(あやま)ちに服(ふく)し、ぬかずいて罪を大王に受けます」と。
楚王曰善齊王有信士若此哉厚賜之財倍鵠在也
楚王曰く、「よろしい。斉王にはこのごとくの誠実な士が有るのかな」と。厚くこれに賜(たま)わり、財(ざい)は鶴の在(あ)るより倍(ばい)になったのである。
武帝時徵北海太守詣行在所
漢孝武帝劉徹の時、北海太守をとりたてて知行所(ちぎょうしょ)に行かせた。
有文學卒史王先生者自請與太守俱
文学卒史の王先生という者が有り、みずから太守とともにすることを請(こ)うた。
吾有益於君君許之
「吾(われ)は君に益することが有るでしょう」と。君はこれを聞き入れた。
諸府掾功曹白云王先生嗜酒
諸府掾の功曹が告げて云(い)った、「王先生は酒を嗜(たしな)むと、
多言少實恐不可與俱
言葉が多く誠実を欠(か)き、恐らくともにすることはできないでしょう」と。
邑門を出ると、道にその鶴を飛ばし、単に空(から)の籠(かご)を掲(かか)げ、
造詐成辭往見楚王曰齊王使臣來獻鵠
いつわって辞(じ)を成して、楚王に見(まみ)えに往(ゆ)き曰く、「斉王がわたしをつかわして鶴を献じに来ましたが、
過於水上不忍鵠之渴出而飲之去我飛亡
川のほとりに立ち寄ったとき、鶴の渇(かわ)きに忍(しの)ばれず、出してこれに飲ませたら、我を去って飛んで逃げてしまいました。
吾欲刺腹絞頸而死恐人之議吾王以鳥獸之故令士自傷殺也
吾(われ)は腹(はら)を刺し、首を絞めて死のうとしました。人が吾が王に議するに、鳥獣の故(ゆえ)を以ってわたしに令して自らを殺傷させることを恐れたのであります。
鵠毛物多相類者吾欲買而代之是不信而欺吾王也
鶴、毛物(けもの)、多くの相(あい)類(るい)する者は、吾(われ)は買ってこれに代えることを欲しましたが、これ誠実ではなく吾が王を欺(あざむ)きます。
欲赴佗國奔亡痛吾兩主使不通故來服過叩頭受罪大王
他国に赴(おもむ)き走り逃げようと欲しましたが、吾(われ)の二人の主(あるじ)に不通にさしめることを痛(いた)みました。故(ゆえ)に来て過(あやま)ちに服(ふく)し、ぬかずいて罪を大王に受けます」と。
楚王曰善齊王有信士若此哉厚賜之財倍鵠在也
楚王曰く、「よろしい。斉王にはこのごとくの誠実な士が有るのかな」と。厚くこれに賜(たま)わり、財(ざい)は鶴の在(あ)るより倍(ばい)になったのである。
武帝時徵北海太守詣行在所
漢孝武帝劉徹の時、北海太守をとりたてて知行所(ちぎょうしょ)に行かせた。
有文學卒史王先生者自請與太守俱
文学卒史の王先生という者が有り、みずから太守とともにすることを請(こ)うた。
吾有益於君君許之
「吾(われ)は君に益することが有るでしょう」と。君はこれを聞き入れた。
諸府掾功曹白云王先生嗜酒
諸府掾の功曹が告げて云(い)った、「王先生は酒を嗜(たしな)むと、
多言少實恐不可與俱
言葉が多く誠実を欠(か)き、恐らくともにすることはできないでしょう」と。