故曰倉廩實而知禮節衣食足而知榮辱
故(ゆえ)に曰く、「倉廩(そうりん 米ぐら)が満ちて、礼節(れいせつ)を知り、衣食が足(た)りて栄辱(えいじょく)を知る」と。
禮生於有而廢於無故君子富好行其
礼は有(ゆう)より生まれ、無(む)に廃(はい)される。故(ゆえ)に君子は富(と)んで、その徳(とく)を行うことを好(この)み、
小人富以適其力淵深而魚生之
取るに足らない者が富(と)めば、その力(ちから)におもむくを以ってする。淵(ふち)が深くして、魚がここに生(しょう)じ、
山深而獸往之人富而仁義附焉
山が深くして獣(けもの)がここに往(ゆ)き、人が富(と)んで、仁、義が附(つ)きしたがうのである。
富者得埶益彰失埶則客無所之以而不樂
富む者は勢(いきお)いを得てますます彰(あきら)かになり、勢(いきお)いを失えば、客は行くところが無くなり、すなわち楽しまずを以ってして、
夷狄益甚諺曰千金之子不死於市
夷狄がますます甚(はなは)だしくなる。諺(ことわざ)に曰く、「千金の子は市に死せず」と。
此非空言也故曰天下熙熙皆為利來
これは空言(そらごと)では非(あら)ざるなり。故(ゆえ)に曰く、「天下が熙熙(きき)としておだやかになれば、皆(みな)利(り)を為しに来て、
天下壤壤皆為利往夫千乘之王萬家之侯
天下は壤壤(じょうじょう)と入り乱れ、皆(みな)利(り)を為しに往(い)く」と。それ、千乗の王、万家の侯、
百室之君尚猶患貧而況匹夫編戶之民乎
百家の君でもなお貧しさに患(うれ)えるのに、況(いわん)や、匹夫、編戸の民ではなおのことではないか。
故(ゆえ)に曰く、「倉廩(そうりん 米ぐら)が満ちて、礼節(れいせつ)を知り、衣食が足(た)りて栄辱(えいじょく)を知る」と。
禮生於有而廢於無故君子富好行其
礼は有(ゆう)より生まれ、無(む)に廃(はい)される。故(ゆえ)に君子は富(と)んで、その徳(とく)を行うことを好(この)み、
小人富以適其力淵深而魚生之
取るに足らない者が富(と)めば、その力(ちから)におもむくを以ってする。淵(ふち)が深くして、魚がここに生(しょう)じ、
山深而獸往之人富而仁義附焉
山が深くして獣(けもの)がここに往(ゆ)き、人が富(と)んで、仁、義が附(つ)きしたがうのである。
富者得埶益彰失埶則客無所之以而不樂
富む者は勢(いきお)いを得てますます彰(あきら)かになり、勢(いきお)いを失えば、客は行くところが無くなり、すなわち楽しまずを以ってして、
夷狄益甚諺曰千金之子不死於市
夷狄がますます甚(はなは)だしくなる。諺(ことわざ)に曰く、「千金の子は市に死せず」と。
此非空言也故曰天下熙熙皆為利來
これは空言(そらごと)では非(あら)ざるなり。故(ゆえ)に曰く、「天下が熙熙(きき)としておだやかになれば、皆(みな)利(り)を為しに来て、
天下壤壤皆為利往夫千乘之王萬家之侯
天下は壤壤(じょうじょう)と入り乱れ、皆(みな)利(り)を為しに往(い)く」と。それ、千乗の王、万家の侯、
百室之君尚猶患貧而況匹夫編戶之民乎
百家の君でもなお貧しさに患(うれ)えるのに、況(いわん)や、匹夫、編戸の民ではなおのことではないか。