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楚人曹丘生辯士數招權顧金錢

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楚人曹丘生辯士數招權顧金錢

楚人の曹丘先生は弁士(べんし)で、たびたび金銭を顧(かえり)みて権勢(けんせい)に招(まね)かれた。

事貴人趙同等與竇長君善

貴人の趙同らに仕(つか)え、竇長君と仲が善(よ)かった。

季布聞之寄書諫竇長君曰

河東守季布はこれを聞き、書状を寄(よ)せて竇長君を諌(いさ)めて曰く、

吾聞曹丘生非長者勿與通

「吾(われ)は聞く、曹丘先生は徳のある者では非(あら)ず、ともに通(かよ)うことなかれ」と。

及曹丘生歸欲得書請季布

曹丘先生が帰るに及(およ)んで、季布に謁見を請(こ)う書状を得たいと欲した。

竇長君曰季將軍不說足下足下無往

竇長君曰く、「季将軍(河東守季布)は足下(そっか)をよろこばない、足下(そっか)は往(ゆ)くことなかれ」と。

固請書遂行使人先發書季布果大怒待曹丘

固(かた)く書状を請(こ)い、遂(つい)に行った。人をつかわし先に書状を発した。河東守季布は果(は)たして大いに怒り、曹丘を待(ま)った。

曹丘至即揖季布曰楚人諺曰

曹丘が至ると、すぐに季布に両手を胸の前に組んで挨拶し、曰く、「楚人の諺(ことわざ)曰く、

得黃金百(斤)不如得季布一諾

黄金百斤を得ることは、季布のたった一つの承諾(しょうだく)を得ることに及ばない、と。

足下何以得此聲於梁楚哉且仆楚人

足下(そっか)は何を以ってこの評判を梁、楚の間に於いて得(え)たのですかな。まさに拙者(せっしゃ)は楚人、

足下亦楚人也仆游揚足下之名於天下顧不重邪

足下(そっか)もまた楚人である。拙者(せっしゃ)が遊説して足下の名を天下に於いて揚(あ)げれば、かえって重んぜられないでしょうか。

何足下距仆之深也季布乃大說引入

どうして足下(そっか)は拙者(せっしゃ)の奥深い気持ちを拒(こば)むのですか」と。河東守季布はそこで大いに悦(よろこ)び、引き入れて、

留數月為上客厚送之

留(とど)めること数ヶ月、上客と為し、厚(あつ)くこれを見送った。

季布名所以益聞者曹丘揚之也

河東守季布の名声が益々(ますます)聞こえるを以ってしたところとは、曹丘がこれを揚(あ)げたからである。

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