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於是趙王歇張耳乃得出鉅鹿謝諸侯

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於是趙王歇張耳乃得出鉅鹿謝諸侯

ここに於いて趙王趙歇、趙丞相張耳はすなわち鉅鹿を出ることを得て、諸侯に謝(しゃ)した。

張耳與陳餘相見責讓陳餘以不肯救趙

趙丞相張耳は趙大将軍陳余とともに相(あい)見(まみ)え、趙大将軍陳余が趙を救うことをよしとせずを以ってしたことを責(せ)めしかった。

及問張黶陳澤所在陳餘怒曰

張黶、陳沢の所在(しょざい)を問(と)うに及(およ)ぶと、趙大将軍陳余は怒(おこ)って曰く、

張黶陳澤以必死責臣

「張黶、陳沢は必死にわたしを責(せ)めるを以ってしたので、

臣使將五千人先嘗秦軍皆沒不出

わたしは五千人を率(ひき)いさせて、先(さき)に秦軍に試(ため)させましたが、皆(みな)死んで現われませんでした」と。

張耳不信以為殺之數問陳餘

趙丞相張耳は信じず、これを殺したと思い、たびたび趙大将軍陳余を問(と)うた。

陳餘怒曰不意君之望臣深也

趙大将軍陳余は怒(おこ)って曰く、「君のわたしへのうらみが深いとは思わなかった。

豈以臣為重去將哉乃脫解印綬

どうしてわたしを以って将軍職を去(さ)ることをはばかると思うのかな?」と。そこで印綬(いんじゅ)を解(と)いてはずし、

推予張耳張耳亦愕不受

推(お)し進めて趙丞相張耳に与(あた)えた。趙丞相張耳もまたびっくりして受け取らなかった。

陳餘起如廁客有說張耳曰

趙大将軍陳余が立ち上がって厠(かわや)に行った。食客の有るものが趙丞相張耳を説(と)いて曰く、

臣聞天與不取反受其咎

「わたしは聞きます、天(てん)が与えて受け取らないのは、かえってその咎(とが)を受ける、と。

今陳將軍與君印君不受反天不祥

今、陳将軍(陳余)が君に印を与(あた)え、君は受け取らずは、天(てん)にそむき不祥(ふしょう)です。

急取之張耳乃佩其印收其麾下

急いでこれを受け取ってください」と。趙丞相張耳はそこでその(大将軍の)印を佩(お)びて、その麾下(大将に直接指揮される兵)を収(おさ)めようとした。

而陳餘還亦望張耳不讓遂趨出

しこうして、趙大将軍陳余が(厠から)還(かえ)ると、また趙丞相張耳の譲(ゆず)らないのを怨(うら)み、遂(つい)にすみやかに退出した。

張耳遂收其兵陳餘獨與麾下所善數百人之河上澤中漁獵

趙丞相張耳は遂(つい)にその兵を収(おさ)めた。陳余はただ麾下(きか)の仲が善いところの数百人とともに河のほとりの沢中に行き漁猟した(魚をとったり狩りをしたりした)。

由此陳餘張耳遂有卻

これに由(よ)り、陳余、張耳は遂(つい)に仲たがいを有(ゆう)した。

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