漸分爲二十五部每部有餘莫弗瞞咄猶酋長也死則子弟代之嗣絕則擇賢豪而立之
漸(次第に)、分かれて二十五の部落を為した。毎(おのおの)の部には余莫弗瞞咄がいて、猶(ちょうど)酋長のようなものである。死ねば、子、弟がこれに代わる。嗣(あとつぎ)が絶えれば、賢豪を択(えらぶ)してこれを立てる。
其俗丈夫皆被髮婦女盤發衣服與契丹同乘牛車以蘧蒢爲屋如突厥氈車之狀
その俗は、丈夫(一人前の男子)は皆、被髪(おそらく短いざんばら髪)で、婦女は髪を鬟(まるくたばねた髪 盤(ハン)=鬟(ホワン)?)する。衣服は契丹と同じである。牛車に乗り、蘧蒢(革蒩と書けて、革のむしろ、の意?)を以て屋(いえ)をつくる。突厥の氈車(氈せんを張り巡らした車)の如くである。
度水則束薪爲栰或有以皮爲舟者馬則織草爲韉結繩爲轡匡寢則屈木爲室以蘧蒢覆上移則載行
水(川)を渡るときには、薪(まき)を束ねて筏(いかだ 栰=筏?)をつくる。或いは皮(毛皮)を以て舟をつくる者もいる。馬は則ち、草を織って、韉(馬の鞍の下にあてる敷き物)をつくり、縄を結んで、轡(くつわ)をつくる。休寝(休んで寝る 匡(キョウ)=休(キュウ)?)するときは、木を屈(まげる)して屋(いえ)をつくり、蘧蒢(革蒩と書けて、革のむしろ、の意?)を以て、その上を覆(おお)う。移動するときには載行(のせて行く)する。
以豬皮爲席編木爲藉婦女皆抱膝坐氣候多寒田收甚薄
豬(ぶた)の皮(毛皮)を以て席(ござ)をつくり、木を編んで藉(敷き物)をつくる。婦女は皆、膝(ひざ)を抱いて座る。気候は多寒(非常に寒い)で、田の収穫は甚だ薄い。
無羊少馬多豬牛與靺鞨同俗婚嫁之法二家相許竟輒盜婦將去
羊(ひつじ)がおらず、馬が少なく、豬(ぶた)、牛が多い。靺鞨と俗を同じにし、婚嫁の法は、二家が互いに許(ききいれる)して竟(おわる)すれば、輒(すぐに)、婦人と通(つうじる 盗(トウ)=通(トウ)?)じて、将(まさ)に去る。
然後送牛馬爲聘更將婦歸家待有孕乃相許隨還舍
然る後、牛馬を送って、聘(結納)と為す。更(あらためる)に婦人を将(ひきつれる)して家に帰り、孕(妊娠する)が有るのを待ち、乃ち、互いに許(ききいれる)して還舎(実家?)に随(よりそう)する。
婦人不再嫁以爲死人之妻難以共居部落共爲大棚人死則置其上
婦人は再婚はせず、死人の妻に為るを以てすれば、難(はばかる)じて共に居するを以てする。部落は共に、大棚をつくり、人が死ねば、その上に置く。
居喪三年年唯四哭其國無鐵取給於高麗多貂
喪に居すること三年、年(毎年)、唯(ただ)愁哭(悲しみ号泣する 四(スー)=愁(シュウ)?)する。その国には鉄が無く、高麗に取給する。貂(おそらくキエリテンの朝鮮種?)が多い。
漸(次第に)、分かれて二十五の部落を為した。毎(おのおの)の部には余莫弗瞞咄がいて、猶(ちょうど)酋長のようなものである。死ねば、子、弟がこれに代わる。嗣(あとつぎ)が絶えれば、賢豪を択(えらぶ)してこれを立てる。
其俗丈夫皆被髮婦女盤發衣服與契丹同乘牛車以蘧蒢爲屋如突厥氈車之狀
その俗は、丈夫(一人前の男子)は皆、被髪(おそらく短いざんばら髪)で、婦女は髪を鬟(まるくたばねた髪 盤(ハン)=鬟(ホワン)?)する。衣服は契丹と同じである。牛車に乗り、蘧蒢(革蒩と書けて、革のむしろ、の意?)を以て屋(いえ)をつくる。突厥の氈車(氈せんを張り巡らした車)の如くである。
度水則束薪爲栰或有以皮爲舟者馬則織草爲韉結繩爲轡匡寢則屈木爲室以蘧蒢覆上移則載行
水(川)を渡るときには、薪(まき)を束ねて筏(いかだ 栰=筏?)をつくる。或いは皮(毛皮)を以て舟をつくる者もいる。馬は則ち、草を織って、韉(馬の鞍の下にあてる敷き物)をつくり、縄を結んで、轡(くつわ)をつくる。休寝(休んで寝る 匡(キョウ)=休(キュウ)?)するときは、木を屈(まげる)して屋(いえ)をつくり、蘧蒢(革蒩と書けて、革のむしろ、の意?)を以て、その上を覆(おお)う。移動するときには載行(のせて行く)する。
以豬皮爲席編木爲藉婦女皆抱膝坐氣候多寒田收甚薄
豬(ぶた)の皮(毛皮)を以て席(ござ)をつくり、木を編んで藉(敷き物)をつくる。婦女は皆、膝(ひざ)を抱いて座る。気候は多寒(非常に寒い)で、田の収穫は甚だ薄い。
無羊少馬多豬牛與靺鞨同俗婚嫁之法二家相許竟輒盜婦將去
羊(ひつじ)がおらず、馬が少なく、豬(ぶた)、牛が多い。靺鞨と俗を同じにし、婚嫁の法は、二家が互いに許(ききいれる)して竟(おわる)すれば、輒(すぐに)、婦人と通(つうじる 盗(トウ)=通(トウ)?)じて、将(まさ)に去る。
然後送牛馬爲聘更將婦歸家待有孕乃相許隨還舍
然る後、牛馬を送って、聘(結納)と為す。更(あらためる)に婦人を将(ひきつれる)して家に帰り、孕(妊娠する)が有るのを待ち、乃ち、互いに許(ききいれる)して還舎(実家?)に随(よりそう)する。
婦人不再嫁以爲死人之妻難以共居部落共爲大棚人死則置其上
婦人は再婚はせず、死人の妻に為るを以てすれば、難(はばかる)じて共に居するを以てする。部落は共に、大棚をつくり、人が死ねば、その上に置く。
居喪三年年唯四哭其國無鐵取給於高麗多貂
喪に居すること三年、年(毎年)、唯(ただ)愁哭(悲しみ号泣する 四(スー)=愁(シュウ)?)する。その国には鉄が無く、高麗に取給する。貂(おそらくキエリテンの朝鮮種?)が多い。