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居久之蜀人楊得意為狗監侍上

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居久之蜀人楊得意為狗監侍上

居ること久しくして、蜀人の楊得意が狗監と為り、上(漢孝武帝劉徹)に侍(はべ)った。

上讀子虛賦而善之曰朕獨不得與此人同時哉

上(漢孝武帝劉徹)は子虚賦を読んで、これをほめ、曰く、「朕はどうしてこの人と時代を同じにできなかったのだろうかな」と。

得意曰臣邑人司馬相如自言為此賦

漢狗監楊得意曰く、「わたしの邑の人で司馬相如が自らこの賦をつくったと言っています」と。

上驚乃召問相如相如曰有是然此乃諸侯之事未足觀也

上(漢孝武帝劉徹)は驚(おどろ)き、そこで司馬相如を召し寄せて問うた。司馬相如曰く、
「これに有ります。然(しか)るにこれはすなわち、諸侯の事で、未(ま)だ観(み)るに足(た)らないのであります。

請為天子游獵賦賦成奏之上許令尚書給筆札

天子の遊猟の賦をつくることを請(こ)う。賦ができあがったらこれを奏上します」と。
上(漢孝武帝劉徹)は聞き入れ、尚書に令して筆(ふで)、札(ふだ)を給(たま)わらせた。

相如以子虛虛言也為楚稱

司馬相如は、子虚を以って、虚言(きょげん)させたのであり、楚の為(ため)に称(たた)えさせ、

烏有先生者烏有此事也為齊難

烏有先生とは、どうしてこの事が有るだろうか、であり、斉の為に難(なん)じさせ、

無是公者無是人也明天子之義

無是公とは、正(ただ)しい人は無し、であり、天子の義(ぎ)を明らかにさせた。

故空藉此三人為辭以推天子諸侯之苑囿

故(ゆえ)にこの三人を架空の人物にして辞(じ)をつくり、天子、諸侯の苑囿(えんゆう)を
推(お)しはかるを以ってした。

其卒章歸之於節儉因以風諫

その終章はこれを節倹に帰(き)し、因(よ)りてそれとなく諌(いさ)めることを以ってした。

奏之天子天子大說其辭曰

これを天子(漢孝武帝劉徹)に奏上すると、天子(漢孝武帝劉徹)は大いに悦(よろこ)んだ。
その(遊猟の賦の)辞(じ)曰く、

楚使子虛使於齊齊王悉發境內之士

「楚は子虚をつかわし、斉に於いて使(つか)いさせた。斉王はことごとく境内の士を発して、

備車騎之眾與使者出田

車騎を多く備(そな)え、使者とともに狩(か)りに出た。

田罷子虛過詫烏有先生而無是公在焉

狩(か)りが終わり、烏有先生に立ち寄り自慢(じまん)した。そして無是公がいた。

坐定烏有先生問曰今日田樂乎

座(ざ)が定まり、烏有先生が問うて曰く、『今日の狩りは楽しかったですか?』と。

子虛曰樂獲多乎曰少

子虚曰く、『楽しかったです』と。『獲物(えもの)は多かったですか?』と。

曰く、『少なかったです』と。

然則何樂曰仆樂齊王之欲夸仆以車騎之眾

『然(しか)らば、どうして楽しかったのですか?』と。曰く、
『わたしは、斉王のわたしに誇(ほこ)ろうと欲するに車騎の多さを以ってしたこと、

而仆對以雲夢之事也曰可得聞乎

そしてわたしが応(こた)えるに、雲夢の事を以ってしたことが楽しかったのであります』と。
曰く、『聞かせていただけますか?』と。

子虛曰可王駕車千乘選徒萬騎田於海濱

子虚曰く、『よいです。車を駕(が)すこと一千台、従者を選ぶこと一万騎で、海浜に於いて狩りをしました。

列卒滿澤罘罔彌山揜兔轔鹿射麋腳鱗

兵を並べること沢に満(み)たし、罘罔(うさぎを捕らえる網)は山をおおい、兔(うさぎ)を
網をかぶせてつかまえ、鹿をひきつぶし、おおじかを射(い)て、魚を捕獲し(脚(かく)=獲(かく)=格(かく)?)、

騖於鹽浦割鮮染輪射中獲多顧謂仆曰

塩浦に於いて走り回り、車輪を染(そ)めて肉を割(さ)き、射中(いあ)てた獲物は多く、
ふりかえってわたしに謂(い)いました、曰く、

楚亦有平原廣澤游獵之地饒樂若此者乎楚王之獵何與寡

楚もまた平原、広い沢を有(ゆう)し、猟の地を巡(めぐ)るは、このごとく豊かで楽しいものであるのか?楚王の猟はわたしといずれか?、と。

仆下車對曰臣楚國之鄙人也幸得宿衛十有餘年

わたしは下車して応(こた)えて曰く、わたしは、楚国の田舎者であり、幸いにも宿衛を得ること十と余年、

時從出游游於後園覽於有無

ときどき巡行に出るのに従(したが)い、後園に於いて巡(めぐ)り、有るもの無いものを
見渡し、

然猶未能遍覩也又惡足以言其外澤者乎

然(しか)るに猶(なお)未(ま)だ遍(あまね)く見ることはできておりませんので、
またどうしてその外(ほか)の沢の者を言うを以ってするに足(た)りましょうか、と。

齊王曰雖然略以子之所聞見而言之

斉王曰く、然(しか)りと雖(いえど)も、なんじの見聞きするところを以って略(りゃく)してこれを言いたまえ、と。

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