是以六合之內八方之外浸潯衍溢
ここに六合(東西南北上下の六つの方角)の内(うち)、八方(あらゆる方角)の外(そと)を以って、浸潯(しんしん)とみぎわを浸(ひた)し、衍溢(えんいつ)といっぱいにあふれさせ、
懷生之物有不浸潤於澤者賢君恥之
沢(さわ)に於いて、生(は)える物を懐(いだ)いて浸潤(しんじゅん)としだいにしみとおってぬれないものが有れば、賢君はこれを恥(は)じる。
今封疆之內冠帶之倫
今、封疆(境界)の内(うち)の冠帶(礼服をつける身分)のたぐいは、
咸獲嘉祉靡有闕遺矣
あまねく幸せを獲(え)て、手落ちが有ることはない。
而夷狄殊俗之國遼絕異黨之地
夷狄の、俗(ぞく)を異(こと)にする国の、遼(はるか)絶遠の異党(いとう)の地は
舟輿不通人跡罕至
船、輿(こし)が通わず、人の足跡はめったに至らず、
政教未加流風猶微
政教は未(ま)だ加えられず、流風(先人が残した美風)は猶(なお)かすかである。
內之則犯義侵禮於邊境
内(うち)のすなわち辺境に於いて義(ぎ)を犯(おか)し、礼(れい)を侵(おか)し、
外之則邪行作放弒其上
外(そと)のすなわち不正な行い、勝手気ままな所作(しょさ)、その上の君主を追い出したり、殺したりする。
君臣易位尊卑失序父兄不辜
君、臣は地位をとりかえ、尊卑は序列を失(うしな)い、父兄は無実の罪で、
幼孤為奴系纍號泣內向而怨
幼い孤児は奴隷に為り、つながれて号泣し、内(うち)に向って怨(うら)み、
曰蓋聞中國有至仁焉洋而恩普
曰く、思うに、中国にはこの上ない仁(じん)が有り、徳は満ちあふれて恩(おん)は広く行き渡り、
物靡不得其所今獨曷為遺己
物はその場所を得ずはないと聞くが、今、独(ひと)りどうして己(おのれ)を遺(のこ)すだろうか、と。
舉踵思慕若枯旱之望雨
踵(きびす)を挙(あ)げて思慕(しぼ)するは、日照りで枯(か)れて雨を望むがごとく。
盭夫為之垂涕況乎上聖又惡能已
悪人(盭=黒いという意味)でもこの為に涕(なみだ)を垂(た)らし、況(いわん)や、すぐれた聖人ならばなおのことであり、またどうしてやめることができようか。
ここに六合(東西南北上下の六つの方角)の内(うち)、八方(あらゆる方角)の外(そと)を以って、浸潯(しんしん)とみぎわを浸(ひた)し、衍溢(えんいつ)といっぱいにあふれさせ、
懷生之物有不浸潤於澤者賢君恥之
沢(さわ)に於いて、生(は)える物を懐(いだ)いて浸潤(しんじゅん)としだいにしみとおってぬれないものが有れば、賢君はこれを恥(は)じる。
今封疆之內冠帶之倫
今、封疆(境界)の内(うち)の冠帶(礼服をつける身分)のたぐいは、
咸獲嘉祉靡有闕遺矣
あまねく幸せを獲(え)て、手落ちが有ることはない。
而夷狄殊俗之國遼絕異黨之地
夷狄の、俗(ぞく)を異(こと)にする国の、遼(はるか)絶遠の異党(いとう)の地は
舟輿不通人跡罕至
船、輿(こし)が通わず、人の足跡はめったに至らず、
政教未加流風猶微
政教は未(ま)だ加えられず、流風(先人が残した美風)は猶(なお)かすかである。
內之則犯義侵禮於邊境
内(うち)のすなわち辺境に於いて義(ぎ)を犯(おか)し、礼(れい)を侵(おか)し、
外之則邪行作放弒其上
外(そと)のすなわち不正な行い、勝手気ままな所作(しょさ)、その上の君主を追い出したり、殺したりする。
君臣易位尊卑失序父兄不辜
君、臣は地位をとりかえ、尊卑は序列を失(うしな)い、父兄は無実の罪で、
幼孤為奴系纍號泣內向而怨
幼い孤児は奴隷に為り、つながれて号泣し、内(うち)に向って怨(うら)み、
曰蓋聞中國有至仁焉洋而恩普
曰く、思うに、中国にはこの上ない仁(じん)が有り、徳は満ちあふれて恩(おん)は広く行き渡り、
物靡不得其所今獨曷為遺己
物はその場所を得ずはないと聞くが、今、独(ひと)りどうして己(おのれ)を遺(のこ)すだろうか、と。
舉踵思慕若枯旱之望雨
踵(きびす)を挙(あ)げて思慕(しぼ)するは、日照りで枯(か)れて雨を望むがごとく。
盭夫為之垂涕況乎上聖又惡能已
悪人(盭=黒いという意味)でもこの為に涕(なみだ)を垂(た)らし、況(いわん)や、すぐれた聖人ならばなおのことであり、またどうしてやめることができようか。