黥布者六人也姓英氏
黥布という者は、六(楚の地名)の人で、姓名は英氏。
秦時為布衣少年有客相之曰
秦の時代に庶民に為った。少年のとき、これの人相を見た客が有り、曰く、
當刑而王及壯坐法黥
「まさに刑されて王となるべし」と。壮年になる及んで、法に連座して黥刑(いれずみの刑)に処された。
布欣然笑曰人相我當刑而王
英布(黥布)は欣然(きんぜん)とにこにこと喜んで笑って曰く、「人が我(われ)の相(そう)を見てまさに刑されて王となりべしと。
幾是乎人有聞者共俳笑之
ほとんどこれのことだろうか?」と。人の聞く者が有り、共(とも)にたわむれてこれを笑った。
布已論輸麗山麗山之徒數十萬人
英布(黥布)はすでに罪を定められて麗山に送られた。麗山の徒刑者(労役に服させる刑)は数十万人で、
布皆與其徒長豪桀交通
英布(黥布)は皆(みな)その徒刑者長、豪傑とよしみを通じた。
乃率其曹偶亡之江中為群盜
そこでその仲間を率(ひき)いて、江(川名)の中に逃げて群盗(ぐんとう)と為った。
陳勝之起也布乃見番君
陳勝が立ちあがると、英布(黥布)はそこで番君吳芮に見(まみ)え、
與其眾叛秦聚兵數千人
その衆とともに秦に叛(そむ)き、兵を数千人集めた。
黥布という者は、六(楚の地名)の人で、姓名は英氏。
秦時為布衣少年有客相之曰
秦の時代に庶民に為った。少年のとき、これの人相を見た客が有り、曰く、
當刑而王及壯坐法黥
「まさに刑されて王となるべし」と。壮年になる及んで、法に連座して黥刑(いれずみの刑)に処された。
布欣然笑曰人相我當刑而王
英布(黥布)は欣然(きんぜん)とにこにこと喜んで笑って曰く、「人が我(われ)の相(そう)を見てまさに刑されて王となりべしと。
幾是乎人有聞者共俳笑之
ほとんどこれのことだろうか?」と。人の聞く者が有り、共(とも)にたわむれてこれを笑った。
布已論輸麗山麗山之徒數十萬人
英布(黥布)はすでに罪を定められて麗山に送られた。麗山の徒刑者(労役に服させる刑)は数十万人で、
布皆與其徒長豪桀交通
英布(黥布)は皆(みな)その徒刑者長、豪傑とよしみを通じた。
乃率其曹偶亡之江中為群盜
そこでその仲間を率(ひき)いて、江(川名)の中に逃げて群盗(ぐんとう)と為った。
陳勝之起也布乃見番君
陳勝が立ちあがると、英布(黥布)はそこで番君吳芮に見(まみ)え、
與其眾叛秦聚兵數千人
その衆とともに秦に叛(そむ)き、兵を数千人集めた。