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昔周成王初立

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昔周成王初立未離襁緥周公旦負王以朝

昔、周成王姫誦が立って初めのとき、襁緥(むつき ねんねこ)から離れないうちに、周公旦(姫旦)は王を背負(せお)って政治をとるを以ってし、

卒定天下及成王有病甚殆

とうとう天下を平定しました。周成王姫誦が病(やまい)が甚(はなは)だあぶないときが有るに及んで、

公旦自揃其爪以沈於河曰

周公姫旦は自(みずか)らその爪(つめ)をきって、河に於いて沈(しず)めるを以ってし、曰く、

王未有識是旦執事有罪殃

『王はまだ知恵(ちえ)がなく、ここにわたしが事(こと)を執(と)っています。罪(つみ)、とがめが有れば、

旦受其不祥乃書而藏之記府

わたしがその不祥(ふしょう)を受(う)けます』と。そこで、書いてこれを記府(記録庫)にしまいました。

可謂信矣及王能治國有賊臣言

誠実(せいじつ)と謂(い)うべきや。周成王姫誦が国を治(おさ)めることができるに及(およ)んで、賊臣(ぞくしん)がいて言いました、

周公旦欲為亂久矣王若不備

『周公旦は乱を為そうと欲すること久(ひさ)しいです。王が、もしも備(そな)えなければ、

必有大事王乃大怒

必ず大事(だいじ)が有るでしょう』と。周成王姫誦はすなわち大いに怒(おこ)り、

周公旦走而奔於楚成王觀於記府

周公姫旦はいそいで楚に逃(に)げました。周成王姫誦は記録庫に於いて観(み)て、

得周公旦沈書乃流涕曰

周公姫旦の沈書(鎮書)を得(え)て、すなわち涙(なみだ)を流して曰く、

孰謂周公旦欲為亂乎

『だれが周公旦が乱を為そうと欲していると謂(い)ったのか』と。

殺言之者而反周公旦

これを言った者を殺して周公姫旦を返(かえ)らせました。

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