於是天子沛然改容曰
ここに於いて天子は沛然(はいぜん)と心に感動して、態度を改(あらた)め、曰く、
愉乎朕其試哉
「楽しみや、朕はその試(ため)そうかな」と。
乃遷思回慮總公卿之議
そこで、思いを遷(うつ)し、慮(おもんばか)りをめぐらし、公卿の議(ぎ)につないで、
詢封禪之事詩大澤之博
封禅の事を相談し、大沢の博(ひろ)さを詩にし、
廣符瑞之富乃作頌曰
符瑞(めでたいしるし)の富(と)みを広めた。そこで頌(先祖の徳を賛美する楽歌)を作って曰く、
自我天覆雲之油油
「我らの天が覆(おお)ってより、雲(くも)の油油(ゆうゆう)とゆったりと流れ、
甘露時雨厥壤可游
甘露(かんろ)の時雨(しぐれ)は、やわらかな土壌を突(つ)いて遊ぶべし。
滋液滲漉何生不育
液(えき)をまき、こしてしみこみ、何が生(しょう)じて、育(はぐく)まれないだろうか。
嘉穀六穗我穡曷蓄
嘉穀(かこく)の一茎に六つの穂(ほ)をつけるは、 我らはとり入れて、どうしてしまっておこうか。
非唯雨之又潤澤之
唯(ただ)これに雨をふらすだけでなく、またこれを潤沢(じゅんたく)とめぐみうるおし、
非唯濡之氾尃濩之
唯(ただ)これを濡(ぬ)らすだけでなく、氾尃(はんふ)とあまねくゆきわたらせこれを広める。
萬物熙熙懷而慕思
万物は熙熙(きき)としてやわらぎたのしみ、懐(なつ)いて慕(した)い思う。
名山顯位望君之來
名山は位置を顕(あきら)かにして、君の来るのを待ち望む。
君乎君乎侯不邁哉
君や、君や、どうしてゆかないのかな。
ここに於いて天子は沛然(はいぜん)と心に感動して、態度を改(あらた)め、曰く、
愉乎朕其試哉
「楽しみや、朕はその試(ため)そうかな」と。
乃遷思回慮總公卿之議
そこで、思いを遷(うつ)し、慮(おもんばか)りをめぐらし、公卿の議(ぎ)につないで、
詢封禪之事詩大澤之博
封禅の事を相談し、大沢の博(ひろ)さを詩にし、
廣符瑞之富乃作頌曰
符瑞(めでたいしるし)の富(と)みを広めた。そこで頌(先祖の徳を賛美する楽歌)を作って曰く、
自我天覆雲之油油
「我らの天が覆(おお)ってより、雲(くも)の油油(ゆうゆう)とゆったりと流れ、
甘露時雨厥壤可游
甘露(かんろ)の時雨(しぐれ)は、やわらかな土壌を突(つ)いて遊ぶべし。
滋液滲漉何生不育
液(えき)をまき、こしてしみこみ、何が生(しょう)じて、育(はぐく)まれないだろうか。
嘉穀六穗我穡曷蓄
嘉穀(かこく)の一茎に六つの穂(ほ)をつけるは、 我らはとり入れて、どうしてしまっておこうか。
非唯雨之又潤澤之
唯(ただ)これに雨をふらすだけでなく、またこれを潤沢(じゅんたく)とめぐみうるおし、
非唯濡之氾尃濩之
唯(ただ)これを濡(ぬ)らすだけでなく、氾尃(はんふ)とあまねくゆきわたらせこれを広める。
萬物熙熙懷而慕思
万物は熙熙(きき)としてやわらぎたのしみ、懐(なつ)いて慕(した)い思う。
名山顯位望君之來
名山は位置を顕(あきら)かにして、君の来るのを待ち望む。
君乎君乎侯不邁哉
君や、君や、どうしてゆかないのかな。