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王有孽子不害

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王有孽子不害最長王弗愛王王后太子皆不以為子兄數

淮南王劉安にはめかけの子の劉不害が有り、最年長で、淮南王劉安は愛さず、淮南王劉安、王妃荼、太子劉遷は皆(みな)子、兄として数えなかった。

不害有子建材高有氣常怨望太子不省其父

劉不害には子の劉建が有り、才能は高く気が有り、常(つね)に太子劉遷がその父(劉不害)を省(かえり)みないことを怨みに思っていた。

又怨時諸侯皆得分子弟為侯而淮南獨二子一為太子建父獨不得為侯

また、時に諸侯が皆(みな)子弟を分けて侯に為るを得て、淮南はただ二人の子のみで、一人は太子になり、劉建の父が一人侯と為るを得られなかったのを怨(うら)んだ。

建陰結交欲告敗太子以其父代之太子知之數捕系而榜笞建

劉建はひそかに交(まじ)わりを結び、太子劉遷を告発して敗(やぶ)り、その父(劉不害)を以ってこれに代えようと欲した。太子劉遷はこれを知り、たびたび捕(と)らえつないで、劉建をむちでたたいた。

建具知太子之謀欲殺漢中尉即使所善壽春莊芷以元朔六年上書於天子曰

劉建は具(つぶさ)に、太子劉遷の漢中尉宏を殺そうと欲した謀(はかりごと)を知り、すなわち、仲の善いところの寿春(淮南の都)の莊芷をつかわし、元朔六年を以って天子(漢孝武帝劉徹)に上書させた、曰く、

毒藥苦於口利於病忠言逆於耳利於行今淮南王孫建

「毒薬は口に苦(にが)く病に利(き)き、忠言は耳に逆(さか)らい行いに利(き)きます。今、淮南王劉長の孫の劉建は、

材能高淮南王王后荼荼子太子遷常疾害建

才能が高く、淮南王劉安、王后荼、荼の子の太子劉遷は常(つね)に、劉建をにくんでいます。

建父不害無罪擅數捕系欲殺之

劉建の父の劉不害は罪無くして、おもうままに責め、捕(と)らえてつなぎ、これを殺そうと欲しています。

今建在可徵問具知淮南陰事

今、劉建はおり、呼び寄せて問い、具(つぶさ)に淮南の陰事を知るべきです」と。

書聞上以其事下廷尉廷尉下河南治

書が申し上げられると、上(漢孝武帝劉徹)はその事を以って廷尉に下(くだ)し、廷尉は河南に下(くだ)して取調べさせた。

是時故辟陽侯孫審卿善丞相公孫弘怨淮南王殺其大父

この時、前の辟陽侯審食其の孫(まご)の審卿は漢丞相公孫弘と仲が善(よ)く、淮南王劉長がその祖父を殺したことを怨(うら)み、

乃深購淮南事於弘弘乃疑淮南有畔逆計謀深窮治其獄

そこで淮南の事を漢丞相公孫弘により深く購(あがな)わせようとし、漢丞相公孫弘はそこで、淮南に叛逆(はんぎゃく)の計謀が有るのではないかと疑い、その罪状を深くつきつめて取り調べようとした。

河南治建辭引淮南太子及黨與淮南王患之欲發問伍被曰

河南が劉建を取り調べると、話しは淮南の太子劉遷及び党与(組を作っている仲間)を引(ひ)いた。
淮南王劉安はこれを患(うれ)え、発することを欲し、伍被に問うた、曰く、

漢廷治亂伍被曰天下治王意不說謂伍被曰

「漢廷の治世は乱(みだ)れたか?」と。伍被曰く、「天下は治(おさ)まっています」と。淮南王劉安の心は悦(よろこ)ばず、伍被に謂(い)った曰く、

公何以言天下治也被曰被竊觀朝廷之政君臣之義

「公は何ものを以って天下が治(おさ)まったと言うのか?」と。伍被曰く、「わたしはひそかに朝廷の政治、君臣の義、

父子之親夫婦之別長幼之序皆得其理

父子の親愛、夫婦の別、長幼の序列を観(み)るに、皆(みな)その理(り)を得ており、

上之舉錯遵古之道風俗紀綱未有所缺也

上の挙錯(きょそ)は古(いにしえ)の道にしたがい、風俗、紀綱には未(ま)だ欠(か)けたところがないのであります。

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