王曰男子之所死者一言耳且吳何知反
淮南王劉安曰く、「男子(呉王?)の死するところとは、ただ一言(ひとこと)のみ、まさに呉は反することの何を知っていただろうか、と。
漢將一日過成皋者四十餘人今我令樓緩先要成皋之口
漢将軍は一日に成皋を通り過ぎる者は四十余人、今、我(われ)は楼緩に令して先んじて成皋の口をさえぎらせ、
周被下潁川兵塞轘轅伊闕之道陳定發南陽兵守武關
周被には潁川兵を下(くだ)して、轘轅、伊闕の道を塞(ふさ)がせ、陳定には南陽兵を発して武関を守らせる。
河南太守獨有雒陽耳何足憂然此北尚有臨晉關
河南太守は一人雒陽を有するのみ、どうして憂(うれ)えるに足(た)るだろうか。然(しか)るにこれ、北に尚(なお)臨晋関、
河東上黨與河內趙國人言曰絕成皋之口
河東、上党と河内、趙国が有る。人は言う曰く、成皋の口を絶(た)てば、
天下不通據三川之險招山東之兵舉事如此
天下は通じない、と。三川の険阻に拠(よ)り、山東の兵を招(まね)く、このごとく事を挙(あ)げるは、
公以為何如被曰臣見其禍未見其福也
公はどのように思うか?」と。伍被曰く、「わたしはその禍(わざわい)を見て、未(ま)だその福(ふく)を見ていません」と。
王曰左吳趙賢朱驕如皆以為有福什事九成
淮南王劉安曰く、「左吳、趙賢、朱驕如は皆(みな)福(ふく)が有ると為すを以って、十事のうち九事が成就すると。
公獨以為有禍無福何也被曰大王之群臣近幸素能使眾者
公は一人、禍(わざわい)が有って福(ふく)が無いと思うのはなぜか?」と。伍被曰く、「大王の群臣のおそばづきの幸臣は素(もと)より多くの者をつかわすことができ、
皆前系詔獄餘無可用者王曰陳勝吳廣無立錐之地
皆(みな)前(まえ)に詔獄(しょうごく)につながれてしまい、残りは用いることができる者はありません」と。淮南王劉安曰く、「陳勝、呉広は錐(きり)を立てる地も無く、
千人之聚起於大澤奮臂大呼而天下響應西至於戲而兵百二十萬
千人が集まり、大沢に起こり、腕(かいな)を奮(ふる)って大声でさけぶと、天下は響応(きょうおう)し、西に戲に至るまでに兵は百二十万人になった。
今吾國雖小然而勝兵者可得十餘萬非直適戍之眾釠鑿棘矜也
今、わが国は小さいと雖(いえど)も、然(しか)しながら戦いに耐える者は十余万人を得ることができ、国境警備におもむいた衆人、すき(釠=鉏?)、鑿(のみ)、棘(いばら)のほこには相当しないのである。
公何以言有禍無福
公は何ものを以って禍(わざわい)が有って福(ふく)が無いと言うのか?」と。
淮南王劉安曰く、「男子(呉王?)の死するところとは、ただ一言(ひとこと)のみ、まさに呉は反することの何を知っていただろうか、と。
漢將一日過成皋者四十餘人今我令樓緩先要成皋之口
漢将軍は一日に成皋を通り過ぎる者は四十余人、今、我(われ)は楼緩に令して先んじて成皋の口をさえぎらせ、
周被下潁川兵塞轘轅伊闕之道陳定發南陽兵守武關
周被には潁川兵を下(くだ)して、轘轅、伊闕の道を塞(ふさ)がせ、陳定には南陽兵を発して武関を守らせる。
河南太守獨有雒陽耳何足憂然此北尚有臨晉關
河南太守は一人雒陽を有するのみ、どうして憂(うれ)えるに足(た)るだろうか。然(しか)るにこれ、北に尚(なお)臨晋関、
河東上黨與河內趙國人言曰絕成皋之口
河東、上党と河内、趙国が有る。人は言う曰く、成皋の口を絶(た)てば、
天下不通據三川之險招山東之兵舉事如此
天下は通じない、と。三川の険阻に拠(よ)り、山東の兵を招(まね)く、このごとく事を挙(あ)げるは、
公以為何如被曰臣見其禍未見其福也
公はどのように思うか?」と。伍被曰く、「わたしはその禍(わざわい)を見て、未(ま)だその福(ふく)を見ていません」と。
王曰左吳趙賢朱驕如皆以為有福什事九成
淮南王劉安曰く、「左吳、趙賢、朱驕如は皆(みな)福(ふく)が有ると為すを以って、十事のうち九事が成就すると。
公獨以為有禍無福何也被曰大王之群臣近幸素能使眾者
公は一人、禍(わざわい)が有って福(ふく)が無いと思うのはなぜか?」と。伍被曰く、「大王の群臣のおそばづきの幸臣は素(もと)より多くの者をつかわすことができ、
皆前系詔獄餘無可用者王曰陳勝吳廣無立錐之地
皆(みな)前(まえ)に詔獄(しょうごく)につながれてしまい、残りは用いることができる者はありません」と。淮南王劉安曰く、「陳勝、呉広は錐(きり)を立てる地も無く、
千人之聚起於大澤奮臂大呼而天下響應西至於戲而兵百二十萬
千人が集まり、大沢に起こり、腕(かいな)を奮(ふる)って大声でさけぶと、天下は響応(きょうおう)し、西に戲に至るまでに兵は百二十万人になった。
今吾國雖小然而勝兵者可得十餘萬非直適戍之眾釠鑿棘矜也
今、わが国は小さいと雖(いえど)も、然(しか)しながら戦いに耐える者は十余万人を得ることができ、国境警備におもむいた衆人、すき(釠=鉏?)、鑿(のみ)、棘(いばら)のほこには相当しないのである。
公何以言有禍無福
公は何ものを以って禍(わざわい)が有って福(ふく)が無いと言うのか?」と。