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Channel: 倭人伝を解く
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被曰往者秦為無道殘賊天下

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被曰往者秦為無道殘賊天下

伍被曰く「むかし、秦は無道(むどう)を為(な)し、天下をいためつけきずつけ、

興萬乘之駕作阿房之宮收太半之賦發閭左之戍

万乗の駕(が)を興(おこ)し、阿房の宮を作り、大半(たいはん ほとんど)の賦(税)を収(おさ)めさせ、閭左(りょさ 貧民)のを発し国境警備に行かせ、

父不寧子兄不便弟政苛刑峻天下熬然若焦

父は子をやすんじず、兄は弟をくつろがせず、政治は苛酷(かこく)で、刑罰はきびしく、天下は熬然(ごうぜん)と煎(い)られるように焦(こ)げるがごとく、

民皆引領而望傾耳而聽悲號仰天叩心而怨上

民は皆(みな)首をのばして待ちのぞみ、耳を傾(かたむ)けて聞き、天を仰(あお)いで悲しみさけび、胸をたたいて上を怨(うら)み、

故陳勝大呼天下響應當今陛下臨制天下一齊海內

故(ゆえ)に陳勝が大いにさけぶと、天下が響応(きょうおう)したのです。まさに今、陛下は天下に臨(のぞ)んで制(せい)し、海内を一斉(いっせい)し、

汎愛蒸庶布施惠口雖未言聲疾雷霆令雖未出

人民を広くわけへだてなく愛し、徳を布(し)き、恵(めぐみ)を施(ほどこ)し、口が未(ま)だ言わないうちと雖(いえど)も、はげしい雷(かみなり)のとどろきのようにひびき、令(れい)が未(ま)だ出ないうちと雖(いえど)も、

化馳如神心有所懷威動萬里下之應上猶影響也

教化は神の如(ごと)く馳(は)せ、心に懐(いだ)くところが有れば、威(い)は万里をゆり動かし、
下の上に応ずるは、ちょうど影(かげ)、ひびきのようであります。

而大將軍材能不特章邯楊熊也大王以陳勝吳廣諭之被以為過矣

しこうして漢大将軍衛青の才能は章邯、楊熊と異(こと)なりません。大王(淮南王劉安)が陳勝、呉広を以ってこれを諭(さと)すは、わたしはあやまりだと思うのです」と。

王曰茍如公言不可徼幸邪被曰被有愚計

淮南王劉安曰く、「かりにも公の言のごとくであっても、徼幸(きょうこう まぐれあたりの幸福)は不可であるか?」と。伍被曰く、「わたしには愚計が有ります。

王曰柰何被曰當今諸侯無異心百姓無怨氣

淮南王劉安曰く、「どうするのか?」と。伍被曰く、「まさに今、諸侯にはむほんの心は無く、百姓には怨みの気持ちがありませんが、

朔方之郡田地廣水草美民徙者不足以實其地

朔方の郡は田地が広く、水や草が美しいのに、民の移るものはその地にみたすを以ってするには足りません。

臣之愚計可偽為丞相御史請書徙郡國豪桀任俠及有耐罪以上

わたしの愚計は、偽(いつわ)って丞相、御史の請願書をつくることができれば、郡国の豪傑(ごうけつ)、任侠(にんきょう)及び、耐罪(罪人のひげをそりおとす刑罰)以上を有したものを(朔方に)移(うつ)し、

赦令除其罪產五十萬以上者皆徙其家屬朔方之郡益發甲卒急其會日

その罪を赦(ゆる)して除(のぞ)かしめ、財産の五十万以上の者は、皆(みな)その家属を朔方の郡に
移(うつ)し、ますます鎧(よろい)をつけた兵を発して、その会戦を日に日にさしせまらせるのです。

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