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楚使者在方急責英布發兵

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楚使者在方急責英布發兵

楚使者が在(あ)り、まさにはげしく九江王英布(黥布)に兵を発するよう求めた。

舍傳舍隨何直入坐楚使者上坐

伝舎(下等の宿舎)に泊(と)まらせた。漢謁者隨何は真っしぐらに入り、楚使者の上座(かみざ)に坐(すわ)った。

曰九江王已歸漢楚何以得發兵

曰く、「九江王(英布(黥布))はすでに漢に帰属し、楚がどうして兵を発させ得るを以ってするのか?」

布愕然楚使者起何因說布曰

九江王英布(黥布)は、愕然(がくぜん)と驚(おどろ)いた。楚使者は立ち上がった。漢謁者隨何は因(よ)りて九江王英布(黥布)を説(と)いた、曰く、

事已搆可遂殺楚使者無使歸

「事(こと)はすでにひきおこされ、遂(つい)には楚使者を殺すべきで、帰させてはならない、

而疾走漢并力布曰如使者教

そして漢に疾走(しっそう)して力を併(あわ)せるのです」と。九江王英布(黥布)曰く、「使者の教(おし)えの如(ごと)く、

因起兵而擊之耳於是殺使者

兵を起(お)こすことに因(よ)りてこれを撃(う)つのみ」と。ここに於いて楚使者を殺した。

因起兵而攻楚楚使項聲龍且攻淮南

兵を起(お)こすことに因(よ)りて楚を攻(せ)めた。楚は楚将項声、楚将龍且をつかわし淮南を攻(せ)めさせた。

項王留而攻下邑數月龍且擊淮南

項王(西楚覇王項羽)は留(とど)まって下邑(梁の地)を攻(せ)めた。数ヶ月して、楚将龍且が淮南を撃(う)ち、

破布軍布欲引兵走漢

九江王英布(黥布)軍を破(やぶ)った。九江王英布(黥布)は兵を引いて漢に逃走しようと欲し、

恐楚王殺之故行與何俱歸漢

楚王(西楚覇王項羽)がこれを殺すことを恐(おそ)れ、故(ゆえ)に漢謁者隨何とつれだって抜け道を行き漢に帰属した。

淮南王至上方踞床洗召布入見

淮南王(九江王英布(黥布))が至ると、上(漢王劉邦)はまさに床にあぐらをかいて足を水で洗わんとしており、九江王英布(黥布)を召し寄せた。入り見(み)て、

布(甚)大怒悔來欲自殺

九江王英布(黥布)は大いに怒り、来たことを悔(く)やみ、自殺を欲した。

出就舍帳御飲食從官如漢王居

退出して宿舎に就(つ)くと、帳(とばり)、御飲食、従官(じゅうかん)は漢王劉邦の住まいの如(ごと)くで、

布又大喜過望於是乃使人入九江

九江王英布(黥布)はまた身にあまる眺(なが)めに大いに喜んだ。ここに於いてすなわち人をつかわし九江に入(はい)らせた。

楚已使項伯收九江兵盡殺布妻子

楚はすでに項伯をして九江兵を収(おさ)め、ことごとく九江王英布(黥布)の妻子を殺した。

布使者頗得故人幸臣將眾數千人歸漢

九江王英布(黥布)の使者は頗(すこぶ)る故人(知り合い)、幸臣を得て、衆数千人を率(ひき)いて漢に帰属させた。

漢益分布兵而與俱北收兵至成皋

漢はいよいよ九江王英布(黥布)の兵を分(わ)けてともにつれだって北に進み、兵を収(おさ)めて成皋に至った。

四年七月立布為淮南王與擊項籍

漢四年七月、九江王英布(黥布)を立てて淮南王と為し、ともに項籍(西楚覇王項羽)を撃(う)った。

漢五年布使人入九江得數縣

漢五年、淮南王英布(黥布)は人をつかわして九江に入らせ、数県を得た。

六年布與劉賈入九江誘大司馬周殷

漢六年、淮南王英布(黥布)は漢将劉賈とともに九江に入り、楚大司馬周殷を誘(さそ)い、

周殷反楚遂舉九江兵與漢擊楚破之垓下

楚大司馬周殷は楚に叛(そむ)いて、遂(つい)に九江兵を挙(あ)げて漢とともに楚を撃(う)ち、これを垓下に破(やぶ)った。

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