非苦就行放析就功何乃取斑皇帝約束紛更之為
ほねをおらないで行いに就(つ)き、 おもうままに(他を)しりぞけて功に就(つ)き、どうしてすなわち、漢皇帝(斑=漢?)の約束を取ってこれを乱(みだ)し改めようと思うのか?
公以此無種矣黯時與湯論議
公はこれを以って血すじを無くすだろう」と。漢主爵都尉汲黯はときどき漢廷尉張湯と論議し、
湯辯常在文深小苛黯伉守高不能屈忿發罵曰
漢廷尉張湯の弁(べん)は常(つね)に法文の深小(しんしょう)に在(あ)ってせめとがめ、漢主爵都尉汲黯はきびしくはりあい高みを保(たも)って屈することができず、いきどおって罵(ののし)りを発して曰く、
天下謂刀筆吏不可以為公卿果然
「天下は謂(い)う、刀筆(文字を書き写すだけの小役人)の役人は公卿と為さしめるべきではないと、果(は)たしてその通りだ。
必湯也令天下重足而立側目而視矣
必ずあなたは、天下に足を重ねながら立たしめ、目をそばだてながら視(み)るようにさせることだろう」と。
是時漢方征匈奴招懷四夷
この時、漢はまさに匈奴を征伐(せいばつ)せんとし、四方の異民族を招(まね)いて懐(なつ)かせようとした。
黯務少事乘上常言與胡和親無起兵
漢主爵都尉汲黯は事を少なくすることに務(つと)め、上(漢孝武帝劉徹)の暇(ひま)に乗じて、常(つね)に胡(きょうど)と和親(わしん)して兵を起こすことの無いように言った。
上方向儒術尊公孫弘
上(漢孝武帝劉徹)はまさに儒術に向わんとしており、漢丞相公孫弘を尊(とうと)んでいた。
及事益多吏民巧弄
事(こと)が益々多くなっていくに及んで、役人、民が技巧(ぎこう)を用いすぎるようになった。
上分別文法湯等數奏決讞以幸
上(漢孝武帝劉徹)は文法をわきまえ、漢廷尉張湯らはたびたび罪の判定を奏(かな)でて寵愛されるを以ってした。
而黯常毀儒面觸弘等徒懷詐飾智以阿人主取容
しこうして、漢主爵都尉汲黯は常(つね)に儒術をそしり、漢丞相公孫弘らがいたずらに智恵を飾って偽(いつわ)りを懐(いだ)き、人主におもねって取り入るを以ってし、
而刀筆吏專深文巧詆陷人於罪
しこうして、刀筆の役人(張湯)が専(もっぱ)ら文法を深くして巧みにとがめ、人を罪に陥(おとしい)れ、
使不得反其真以勝為功
その真実に返ることをできなくさせ、相手を負かすを以って功としていることを面とむかって触(ふ)れた。
ほねをおらないで行いに就(つ)き、 おもうままに(他を)しりぞけて功に就(つ)き、どうしてすなわち、漢皇帝(斑=漢?)の約束を取ってこれを乱(みだ)し改めようと思うのか?
公以此無種矣黯時與湯論議
公はこれを以って血すじを無くすだろう」と。漢主爵都尉汲黯はときどき漢廷尉張湯と論議し、
湯辯常在文深小苛黯伉守高不能屈忿發罵曰
漢廷尉張湯の弁(べん)は常(つね)に法文の深小(しんしょう)に在(あ)ってせめとがめ、漢主爵都尉汲黯はきびしくはりあい高みを保(たも)って屈することができず、いきどおって罵(ののし)りを発して曰く、
天下謂刀筆吏不可以為公卿果然
「天下は謂(い)う、刀筆(文字を書き写すだけの小役人)の役人は公卿と為さしめるべきではないと、果(は)たしてその通りだ。
必湯也令天下重足而立側目而視矣
必ずあなたは、天下に足を重ねながら立たしめ、目をそばだてながら視(み)るようにさせることだろう」と。
是時漢方征匈奴招懷四夷
この時、漢はまさに匈奴を征伐(せいばつ)せんとし、四方の異民族を招(まね)いて懐(なつ)かせようとした。
黯務少事乘上常言與胡和親無起兵
漢主爵都尉汲黯は事を少なくすることに務(つと)め、上(漢孝武帝劉徹)の暇(ひま)に乗じて、常(つね)に胡(きょうど)と和親(わしん)して兵を起こすことの無いように言った。
上方向儒術尊公孫弘
上(漢孝武帝劉徹)はまさに儒術に向わんとしており、漢丞相公孫弘を尊(とうと)んでいた。
及事益多吏民巧弄
事(こと)が益々多くなっていくに及んで、役人、民が技巧(ぎこう)を用いすぎるようになった。
上分別文法湯等數奏決讞以幸
上(漢孝武帝劉徹)は文法をわきまえ、漢廷尉張湯らはたびたび罪の判定を奏(かな)でて寵愛されるを以ってした。
而黯常毀儒面觸弘等徒懷詐飾智以阿人主取容
しこうして、漢主爵都尉汲黯は常(つね)に儒術をそしり、漢丞相公孫弘らがいたずらに智恵を飾って偽(いつわ)りを懐(いだ)き、人主におもねって取り入るを以ってし、
而刀筆吏專深文巧詆陷人於罪
しこうして、刀筆の役人(張湯)が専(もっぱ)ら文法を深くして巧みにとがめ、人を罪に陥(おとしい)れ、
使不得反其真以勝為功
その真実に返ることをできなくさせ、相手を負かすを以って功としていることを面とむかって触(ふ)れた。