公孫弘為學官悼道之郁滯乃請曰
公孫弘は学官に為って、(学官の)道の郁(文化が盛んなさま)が滞(とどこお)っていることを悼(いた)み、そこで請(こ)うて曰く、
丞相御史言制曰蓋聞導民以禮風之以樂
「丞相、御史は言う、(天子が)制して曰く、思うに民を導(みちび)くに礼を以ってし、これを教化するに音楽を以ってすると聞く。
婚姻者居屋之大倫也今禮廢樂崩朕甚愍焉
婚姻とは、家をおく大倫(たいりん)である。今に礼が廃され、音楽が崩壊すれば、朕は甚(はなは)だうれえるのである。
故詳延天下方正博聞之士咸登諸朝
故(ゆえ)に天下の方正(ほうせい)博聞の士をことごとく延(の)べて、あまねく諸(もろもろ)の朝廷に登(のぼ)らせよ。
其令禮官勸學講議洽聞興禮以為天下先
その礼官に学問を勧(すす)めさせ、洽聞(こうぶん 見聞が広く知識が多いこと)を講義(こうぎ)して礼を興(おこ)し、天下のさきがけと為るを以ってせよ。
太常議與博士弟子崇鄉里之化以廣賢材焉
太常は議(ぎ)して、弟子の博士とともに、郷里の教化を崇(あが)め、賢明な人材を広めるを以ってせよ、と。
謹與太常臧博士平等議曰聞三代之道
謹(つつし)んで太常臧、博士平らとともに議して曰く、三代(夏、殷、周)の(学官の)道を聞くに、
鄉里有教夏曰校殷曰序周曰庠
郷里には教化が有り、夏では校といい、殷では序といい、周では庠といったと。
其勸善也顯之朝廷其懲惡也加之刑罰
その善(ぜん)を勧(すす)めるは、これを朝廷で顕(あきら)かにし、その悪を懲(こ)らしめるは、これに刑罰を加えた。
故教化之行也建首善自京師始由內及外
故(ゆえ)に教化の行いは、善(ぜん)をはじめに建て、京師(都)より始(はじ)め、内(うち)由(よ)り外(そと)に及ぶのである。
今陛下昭至開大明配天地本人倫
今、陛下は至徳を昭(あきら)かにし、大明を開き、天地を支配し、人倫(じんりん)を基礎にし、
勸學修禮崇化賢以風四方太平之原也
学問を勧(すす)め、礼を修(おさ)め、教化を崇(あが)め、賢材をみがき、四方の太平の原に教化するを以ってするのである。
古者政教未洽不備其禮請因舊官而興焉
古(いにしえ)の政教は未(ま)だすみずみまで行きわたっておらず、その礼は備(そな)わっておらず、旧官に因(よ)りて興(おこ)して、
為博士官置弟子五十人復其身
博士の官として弟子五十人を置き、その身(み)を復(ふく)することを請(こ)う。
太常擇民年十八已上儀狀端正者補博士弟子
太常は民の十八歳以上の礼儀の作法の端正(たんせい)な者を択(えら)んで、弟子の博士に補(おぎな)う。
郡國縣道邑有好文學敬長上肅政教
郡国の県のみちみちの邑には、文学を好み、長上を敬(うやま)い、政教をおごそかにし、
順鄉里出入不悖所聞者令相長丞上屬所二千石
郷里にならって、出入りが聞こえるところに悖(もと)らない者が有れば、相長、丞に令して、二千石の所の仲間を上(あ)がらせ、
二千石謹察可者當與計偕詣太常得受業如弟子
二千石は謹(つつし)んで、できる者を見分けて、まさにともに計(はか)らんとして、太常に詣(もう)でさせ、弟子に及んで学業をさずかるを得さしめる。
一歲皆輒試能通一藝以上補文學掌故缺
一年して皆(みな)ことごとく、一芸以上に通じることができるかを試(ため)され、
文学の掌故(礼楽の規則や慣例を扱った役)の欠員を補(おぎな)う。
其高弟可以為郎中者太常籍奏
その高弟(こうてい)の郎中と為るを以ってすることができる者は、太常が記(しる)して奏(かな)でる。
即有秀才異等輒以名聞
すなわち、秀才ですぐれたたぐいが有れば、ことごとく名を以って申し上げられる。
其不事學若下材及不能通一藝輒罷之
その才能の無いもののごとく学問につかえず、及び一芸に通じることができなかった者はことごとくこれをしりぞけ、
公孫弘は学官に為って、(学官の)道の郁(文化が盛んなさま)が滞(とどこお)っていることを悼(いた)み、そこで請(こ)うて曰く、
丞相御史言制曰蓋聞導民以禮風之以樂
「丞相、御史は言う、(天子が)制して曰く、思うに民を導(みちび)くに礼を以ってし、これを教化するに音楽を以ってすると聞く。
婚姻者居屋之大倫也今禮廢樂崩朕甚愍焉
婚姻とは、家をおく大倫(たいりん)である。今に礼が廃され、音楽が崩壊すれば、朕は甚(はなは)だうれえるのである。
故詳延天下方正博聞之士咸登諸朝
故(ゆえ)に天下の方正(ほうせい)博聞の士をことごとく延(の)べて、あまねく諸(もろもろ)の朝廷に登(のぼ)らせよ。
其令禮官勸學講議洽聞興禮以為天下先
その礼官に学問を勧(すす)めさせ、洽聞(こうぶん 見聞が広く知識が多いこと)を講義(こうぎ)して礼を興(おこ)し、天下のさきがけと為るを以ってせよ。
太常議與博士弟子崇鄉里之化以廣賢材焉
太常は議(ぎ)して、弟子の博士とともに、郷里の教化を崇(あが)め、賢明な人材を広めるを以ってせよ、と。
謹與太常臧博士平等議曰聞三代之道
謹(つつし)んで太常臧、博士平らとともに議して曰く、三代(夏、殷、周)の(学官の)道を聞くに、
鄉里有教夏曰校殷曰序周曰庠
郷里には教化が有り、夏では校といい、殷では序といい、周では庠といったと。
其勸善也顯之朝廷其懲惡也加之刑罰
その善(ぜん)を勧(すす)めるは、これを朝廷で顕(あきら)かにし、その悪を懲(こ)らしめるは、これに刑罰を加えた。
故教化之行也建首善自京師始由內及外
故(ゆえ)に教化の行いは、善(ぜん)をはじめに建て、京師(都)より始(はじ)め、内(うち)由(よ)り外(そと)に及ぶのである。
今陛下昭至開大明配天地本人倫
今、陛下は至徳を昭(あきら)かにし、大明を開き、天地を支配し、人倫(じんりん)を基礎にし、
勸學修禮崇化賢以風四方太平之原也
学問を勧(すす)め、礼を修(おさ)め、教化を崇(あが)め、賢材をみがき、四方の太平の原に教化するを以ってするのである。
古者政教未洽不備其禮請因舊官而興焉
古(いにしえ)の政教は未(ま)だすみずみまで行きわたっておらず、その礼は備(そな)わっておらず、旧官に因(よ)りて興(おこ)して、
為博士官置弟子五十人復其身
博士の官として弟子五十人を置き、その身(み)を復(ふく)することを請(こ)う。
太常擇民年十八已上儀狀端正者補博士弟子
太常は民の十八歳以上の礼儀の作法の端正(たんせい)な者を択(えら)んで、弟子の博士に補(おぎな)う。
郡國縣道邑有好文學敬長上肅政教
郡国の県のみちみちの邑には、文学を好み、長上を敬(うやま)い、政教をおごそかにし、
順鄉里出入不悖所聞者令相長丞上屬所二千石
郷里にならって、出入りが聞こえるところに悖(もと)らない者が有れば、相長、丞に令して、二千石の所の仲間を上(あ)がらせ、
二千石謹察可者當與計偕詣太常得受業如弟子
二千石は謹(つつし)んで、できる者を見分けて、まさにともに計(はか)らんとして、太常に詣(もう)でさせ、弟子に及んで学業をさずかるを得さしめる。
一歲皆輒試能通一藝以上補文學掌故缺
一年して皆(みな)ことごとく、一芸以上に通じることができるかを試(ため)され、
文学の掌故(礼楽の規則や慣例を扱った役)の欠員を補(おぎな)う。
其高弟可以為郎中者太常籍奏
その高弟(こうてい)の郎中と為るを以ってすることができる者は、太常が記(しる)して奏(かな)でる。
即有秀才異等輒以名聞
すなわち、秀才ですぐれたたぐいが有れば、ことごとく名を以って申し上げられる。
其不事學若下材及不能通一藝輒罷之
その才能の無いもののごとく学問につかえず、及び一芸に通じることができなかった者はことごとくこれをしりぞけ、