禹至讓湯曰君何不知分也
趙禹が至ると、張湯をしかりせめて曰く、「君はどうして分(ぶ)を知らないのか。
君所治夷滅者幾何人矣
君が取り調べたところの夷滅した者は幾人か?
今人言君皆有狀天子重致君獄
今、人の君を言うは皆(みな)書状が有り、天子は君を獄にかけることを惜(お)しみ、
欲令君自為計何多以對簿為
君に令して自らを計(はか)るようにと欲し、どうして帳簿に応(こた)えるを以ってすることを多(た)とするだろうか」と。
湯乃為書謝曰湯無尺寸功起刀筆吏
張湯はそこで書状をかいて謝(しゃ)して曰く、「わたしは尺寸の功もなく、刀筆の吏より身をおこし、
陛下幸致為三公無以塞責
陛下の寵愛は三公に為すにきわまりましたが、職責を満たすを以ってすることはありませんでした。
然謀陷湯罪者三長史也遂自殺
然(しか)るに、わたしを罪に陥(おとしい)れようと謀(はか)った者は、三人の長史であります」と。遂(つい)に自殺した。
湯死家產直不過五百金皆所得奉賜無他業
張湯が死んで、家の財産はただ五百金に過ぎず、皆(みな)賜(たま)わりものを奉(たてまつ)って得たところのもので、他の仕事のものは無かった。
昆弟諸子欲厚葬湯湯母曰
兄弟、諸(もろもろ)の子が張湯を厚く葬(ほうむ)ろうと欲したが、張湯の母が曰く、
湯為天子大臣被汙惡言而死何厚葬乎
「湯は天子の大臣と為って、汚れた悪言を被(こうむ)って死んだので、どうして厚く葬(ほうむ)るのですか」と。
載以牛車有棺無槨天子聞之曰
牛車(ぎっしゃ)を以って載(の)せ、棺は有ったが槨は無かった。天子はこれを聞いて曰く、
非此母不能生此子乃盡案誅三長史
「この母で非(あら)ざれば、この子を生むことはできない」と。そこでことごとく三人の長史を取り調べて(ちゅう)した。
丞相青翟自殺出田信
漢丞相青翟は自殺した。田信を出した。
上惜湯稍遷其子安世
上(漢孝武帝劉徹)は張湯を惜(お)しんだ。その子の張安世を次第に昇進させた。
趙禹が至ると、張湯をしかりせめて曰く、「君はどうして分(ぶ)を知らないのか。
君所治夷滅者幾何人矣
君が取り調べたところの夷滅した者は幾人か?
今人言君皆有狀天子重致君獄
今、人の君を言うは皆(みな)書状が有り、天子は君を獄にかけることを惜(お)しみ、
欲令君自為計何多以對簿為
君に令して自らを計(はか)るようにと欲し、どうして帳簿に応(こた)えるを以ってすることを多(た)とするだろうか」と。
湯乃為書謝曰湯無尺寸功起刀筆吏
張湯はそこで書状をかいて謝(しゃ)して曰く、「わたしは尺寸の功もなく、刀筆の吏より身をおこし、
陛下幸致為三公無以塞責
陛下の寵愛は三公に為すにきわまりましたが、職責を満たすを以ってすることはありませんでした。
然謀陷湯罪者三長史也遂自殺
然(しか)るに、わたしを罪に陥(おとしい)れようと謀(はか)った者は、三人の長史であります」と。遂(つい)に自殺した。
湯死家產直不過五百金皆所得奉賜無他業
張湯が死んで、家の財産はただ五百金に過ぎず、皆(みな)賜(たま)わりものを奉(たてまつ)って得たところのもので、他の仕事のものは無かった。
昆弟諸子欲厚葬湯湯母曰
兄弟、諸(もろもろ)の子が張湯を厚く葬(ほうむ)ろうと欲したが、張湯の母が曰く、
湯為天子大臣被汙惡言而死何厚葬乎
「湯は天子の大臣と為って、汚れた悪言を被(こうむ)って死んだので、どうして厚く葬(ほうむ)るのですか」と。
載以牛車有棺無槨天子聞之曰
牛車(ぎっしゃ)を以って載(の)せ、棺は有ったが槨は無かった。天子はこれを聞いて曰く、
非此母不能生此子乃盡案誅三長史
「この母で非(あら)ざれば、この子を生むことはできない」と。そこでことごとく三人の長史を取り調べて(ちゅう)した。
丞相青翟自殺出田信
漢丞相青翟は自殺した。田信を出した。
上惜湯稍遷其子安世
上(漢孝武帝劉徹)は張湯を惜(お)しんだ。その子の張安世を次第に昇進させた。