九卿碌碌奉其官救過不贍何暇論繩墨之外乎
九卿は碌碌(ろくろく 平凡で役にたたないさま)とその官職を奉(たてまつ)り、罪をつくろってみたされず、どうして規範(きはん)の外(そと)を論ずるゆとりがあっただろうか。
然此十人中其廉者足以為儀表
然(しか)るに、この十人の中で、その廉潔(れんけつ)な者は模範(もはん)と為すを以ってするに足(た)り、
其污者足以為戒方略教導禁姦止邪
その汚(けが)れた者は戒(いまし)めと為すを以ってするに足(た)りる。方略(ほうりゃく)、教導、禁姦、止邪(邪悪をおさえる)、
一切亦皆彬彬質有其文武焉
一切(いっさい)もまた、皆(みな)彬彬(ひんびん)とあきらかな、その文武を有(ゆう)する本質であり、
雖慘酷斯稱其位矣
残酷と雖(いえど)も、ここにその地位にかなっていた。
至若蜀守馮當暴挫廣漢李貞擅磔人
蜀守の馮当の荒々しく挫(くじ)き、広漢の李貞のほしいままに人を磔(はりつけ)にし、
東郡彌仆鋸項天水駱璧推咸
東郡の彌僕は首にのこぎりをあてたり、天水の駱璧は塩漬けにしてすすめあげ、
河東褚廣妄殺京兆無忌馮翊殷周蝮鷙
河東の褚広はむやみに殺し、京兆(官名)の無忌、馮翊の殷周が、蝮(まむし)や鷲(わし)のようであったり、
水衡閻奉樸擊賣請何足數哉何足數哉
水衡の閻奉が撲撃(ぼくげき)して請(こ)いをうらぎるようなごとくに至っては、どうして数えるに足(た)るだろうかな、どうして数えるに足るだろうかな」と。
今日で、史記 酷吏列伝は終わりです。次の大宛列伝は以前に訳してありますので、明日からは史記 游俠列伝に入ります。
九卿は碌碌(ろくろく 平凡で役にたたないさま)とその官職を奉(たてまつ)り、罪をつくろってみたされず、どうして規範(きはん)の外(そと)を論ずるゆとりがあっただろうか。
然此十人中其廉者足以為儀表
然(しか)るに、この十人の中で、その廉潔(れんけつ)な者は模範(もはん)と為すを以ってするに足(た)り、
其污者足以為戒方略教導禁姦止邪
その汚(けが)れた者は戒(いまし)めと為すを以ってするに足(た)りる。方略(ほうりゃく)、教導、禁姦、止邪(邪悪をおさえる)、
一切亦皆彬彬質有其文武焉
一切(いっさい)もまた、皆(みな)彬彬(ひんびん)とあきらかな、その文武を有(ゆう)する本質であり、
雖慘酷斯稱其位矣
残酷と雖(いえど)も、ここにその地位にかなっていた。
至若蜀守馮當暴挫廣漢李貞擅磔人
蜀守の馮当の荒々しく挫(くじ)き、広漢の李貞のほしいままに人を磔(はりつけ)にし、
東郡彌仆鋸項天水駱璧推咸
東郡の彌僕は首にのこぎりをあてたり、天水の駱璧は塩漬けにしてすすめあげ、
河東褚廣妄殺京兆無忌馮翊殷周蝮鷙
河東の褚広はむやみに殺し、京兆(官名)の無忌、馮翊の殷周が、蝮(まむし)や鷲(わし)のようであったり、
水衡閻奉樸擊賣請何足數哉何足數哉
水衡の閻奉が撲撃(ぼくげき)して請(こ)いをうらぎるようなごとくに至っては、どうして数えるに足(た)るだろうかな、どうして数えるに足るだろうかな」と。
今日で、史記 酷吏列伝は終わりです。次の大宛列伝は以前に訳してありますので、明日からは史記 游俠列伝に入ります。