髡曰賜酒大王之前執法在傍御史在後
淳于髠曰く、「大王の前で酒を賜(たま)わり、執法が傍(かたわ)らにいて、御史が後ろにいて、
髡恐懼俯伏而飲不過一斗徑醉矣
わたしは恐れびくびくしてうつむいて飲み、一斗を過ぎずにすぐに酔ってしまうでしょう。
若親有嚴客髡帣韝鞠跽待酒於前
親に厳格な客が有って、わたしはゆごてでそでをまきあげ身をかがめてひざまずき、前で酒をもてなし、
時賜餘瀝奉觴上壽數起飲不過二斗徑醉矣
ときどき残った滴(しずく)を賜(たまわ)り、たびたび立ち上がって、さかずきを奉(たてまつ)って寿(ことほ)ぎを申し上げ、飲むは二斗をすぎずにすぐに酔ってしまうでしょう。
若朋友交遊久不相見卒然相睹歡然道故
朋友の交遊のごとく、久しく互いに見(まみ)えず、卒然(そつぜん)とにわかにたがいによく見て、
歓然(かんぜん)とよろこんで以前を語り、
私情相語飲可五六斗徑醉矣
私情を互いに語り、飲むは五、六斗ですぐに酔うことができるでしょう。
若乃州閭之會男女雜坐行酒稽留
すなわち村里の会のごとく、男女が入り混じって座(すわ)り、さかずきをまわして引きとめて残り、
六博投壺相引為曹握手無罰目眙不禁
六博(りくはく すごろくに似た遊戯)、投壺(とうこ 壷に矢を投げ入れる遊び)、相(あい)引いて漕(こ)ぎあい、手を握(にぎ)っても罰せず、目で見つめても禁じず、
前有墮珥后有遺簪髡竊樂此飲可八斗而醉二參
前には耳飾りが堕(お)ちており、後ろには簪(かんざし)が落ちており、わたしはひそかにこれらを楽しみ、飲むは八斗にして酔うことができて、いろいろでしょう。
日暮酒闌合尊促坐男女同席履舄交錯
日が暮れて酒宴の盛りをすぎ、尊びあって座を促(うなが)し、男女が席を同じにして、くつが交錯(こうさく)して、
杯盤狼藉堂上燭滅主人留髡而送客羅襦襟解
杯盤狼藉(はいばんろうぜき さかずきや大皿が取り乱れていること)して、堂の上のろうそくがなくなり、主人がわたしを留(とど)めて客を送るとき、うすぎぬの短いうわぎの襟(えり)がほどけ、
微聞薌澤當此之時髡心最歡能飲一石
かすかに体(からだ)のにおいをかぎ、まさにこの時、わたしの心は最も歓(よろこ)び、一石を飲むことができるのです。
淳于髠曰く、「大王の前で酒を賜(たま)わり、執法が傍(かたわ)らにいて、御史が後ろにいて、
髡恐懼俯伏而飲不過一斗徑醉矣
わたしは恐れびくびくしてうつむいて飲み、一斗を過ぎずにすぐに酔ってしまうでしょう。
若親有嚴客髡帣韝鞠跽待酒於前
親に厳格な客が有って、わたしはゆごてでそでをまきあげ身をかがめてひざまずき、前で酒をもてなし、
時賜餘瀝奉觴上壽數起飲不過二斗徑醉矣
ときどき残った滴(しずく)を賜(たまわ)り、たびたび立ち上がって、さかずきを奉(たてまつ)って寿(ことほ)ぎを申し上げ、飲むは二斗をすぎずにすぐに酔ってしまうでしょう。
若朋友交遊久不相見卒然相睹歡然道故
朋友の交遊のごとく、久しく互いに見(まみ)えず、卒然(そつぜん)とにわかにたがいによく見て、
歓然(かんぜん)とよろこんで以前を語り、
私情相語飲可五六斗徑醉矣
私情を互いに語り、飲むは五、六斗ですぐに酔うことができるでしょう。
若乃州閭之會男女雜坐行酒稽留
すなわち村里の会のごとく、男女が入り混じって座(すわ)り、さかずきをまわして引きとめて残り、
六博投壺相引為曹握手無罰目眙不禁
六博(りくはく すごろくに似た遊戯)、投壺(とうこ 壷に矢を投げ入れる遊び)、相(あい)引いて漕(こ)ぎあい、手を握(にぎ)っても罰せず、目で見つめても禁じず、
前有墮珥后有遺簪髡竊樂此飲可八斗而醉二參
前には耳飾りが堕(お)ちており、後ろには簪(かんざし)が落ちており、わたしはひそかにこれらを楽しみ、飲むは八斗にして酔うことができて、いろいろでしょう。
日暮酒闌合尊促坐男女同席履舄交錯
日が暮れて酒宴の盛りをすぎ、尊びあって座を促(うなが)し、男女が席を同じにして、くつが交錯(こうさく)して、
杯盤狼藉堂上燭滅主人留髡而送客羅襦襟解
杯盤狼藉(はいばんろうぜき さかずきや大皿が取り乱れていること)して、堂の上のろうそくがなくなり、主人がわたしを留(とど)めて客を送るとき、うすぎぬの短いうわぎの襟(えり)がほどけ、
微聞薌澤當此之時髡心最歡能飲一石
かすかに体(からだ)のにおいをかぎ、まさにこの時、わたしの心は最も歓(よろこ)び、一石を飲むことができるのです。