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司馬季主捧腹大笑曰

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司馬季主捧腹大笑曰觀大夫類有道術者

司馬季主は腹(はら)をかかえて大笑いして曰く、「大夫たちは道術を有する類(たぐい)の者と観(み)たが、

今何言之陋也何辭之野也今夫子所賢者何也

今、どうして見識のせまいことを言い、どうして野暮(やぼ)なことを言ったのか。今、あなたがたの賢(かしこ)いところの者は何なのか?

所高者誰也今何以卑汙長者

高いところの者は誰なのか?今、何ものを以って卑、汙の長(た)けたものとするのか?」と。

二君曰尊官厚祿世之所高也賢才處之

二君曰く、「官位を尊(とうと)くしは禄(ろく)を厚くするは、世の高いところの者であり、賢才がこれに処(ところ)するのです。

今所處非其地故謂之卑

今、処(ところ)するところはその地に非(あら)ず、故(ゆえ)にこれを卑(いや)しいと謂(い)ったのです。

言不信行不驗取不當故謂之汙

言葉は信じられず、行いはききめがなく、選択(せんたく)は当(あ)たらず、故(ゆえ)にこれを汚(けが)れたと謂(い)ったのです。

夫卜筮者世俗之所賤簡也

それ、卜筮というものは、世俗の賤(いや)しみあなどるところであります。

世皆言曰夫卜者多言誇嚴以得人情

世の皆(みな)は言います、曰く、『それ、卜(うらない)者は誇大(こだい)に厳(おごそ)かに言うことが多く、人情を得るを以ってし、

虛高人祿命以說人志擅言禍災以傷人心

人の一生の間の運命をつくりばなしして(高(こう)=構(こう)?)して、人の志(こころざし)を説(と)くを以ってし、禍災を思うままに言って、人の心を傷つけるを以ってし、

矯言鬼神以盡人財厚求拜謝以私於己

鬼神を言ってかこつけ、人の財(ざい)を尽(つ)きさせるを以ってし、拜謝(はいしゃ つつしんでお礼を申し上げること)を厚(あつ)く求めて己(おのれ)に利(り)をはかるを以ってする』と。

此吾之所恥故謂之卑汙也

これ、吾(われ)らの恥(は)じるところであり、故(ゆえ)にこれを、卑(いや)しい、汚(けがれ)たと謂(い)ったのです」と。

司馬季主曰公且安坐

司馬季主曰く、「公らはまさに楽になさってください。

公見夫被髪童子乎

公らはそれ、髪を結ばない子供を予想してみませんか?

日月照之則行不照則止

太陽、月がこれを照らせばすなわち行き、照らさなければすなわち止まる、

問之日月疵瑕吉凶則不能理

これに日食月食の吉凶を問うても、すなわち理論することはできないでしょう。

由是觀之能知別賢與不肖者寡矣

是(これ)由(よ)りこれを考えるに、賢と不肖(ふしょう)を見分けることができる者は少ないのである。

賢之行也直道以正諫

賢い行いとは、道を真っ直(す)ぐにして正を以って諌(いさ)め、

三諫不聽則退其譽人也不望其報

三度諌(いさ)めて聴き入れられなければ退(しりぞ)きます。その人を誉(ほ)めても、その返礼(へんれい)を望まず、

惡人也不顧其怨以便國家利眾為務

人をそしってもその怨み(うら)みを気にかけず、国家に便(べん)し、衆人に利(り)することを務(つと)めと為すのです。

故官非其任不處也祿非其功不受也

故(ゆえ)に官位がその任(にん)で非(あら)ざれば処(ところ)せず、禄(ろく)がその功に非(あら)ざれば、受けず、

見人不正雖貴不敬也

人の不正を見れば、貴人と雖(いえど)も敬(うやま)わず、

見人有污雖尊不下也

人に汚(けが)れが有るを見れば、尊(とうと)いと雖(いえど)もへりくだらず、

得不為喜去不為恨

得ても喜びと為さず、去っても恨(うら)みと為さず、

非其罪也雖累辱而不愧也

その罪に非(あら)ざれば、縄でしばられる辱(はずか)しめにあうと雖(いえど)も愧(は)じないのである。

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