述而不作君子義也
古人のことをつたえるだけで勝手に創作しないのが、君子(くんし)の義(ぎ)である。
今夫卜者必法天地象四時
今、それ、卜者は、必ず天地に法(のっと)り、四季を象(かたど)り、
順於仁義分策定卦旋式正棋
仁義を順じて、めどきを分(わ)け、卦を定め、式をめぐらし、駒(こま)を正し、
然後言天地之利害事之成敗
然る後に天地の利害、事の成敗を言いう。
昔先王之定國家必先龜策日月而後乃敢代
昔は先王の国家を定めるとき、必ず、先んじて日月を亀策でうらない、しこうして後にすなわち敢えて交代し、
正時日乃后入家產子必先占吉凶后乃有之
時間を正して、すなわち後に家に入る、子を産むと、必ず先んじて吉凶を占い、後にすなわちこれを有する。
自伏羲作八卦周文王演三百八十四爻而天下治
伏羲(帝王の名)より八卦を作り、周文王が三百八十四の爻(こう)を説明して、天下が治(おさ)まった。
越王句踐放文王八卦以破敵國霸天下
越王句踐が周文王の八卦をまねて、敵国を破るを以ってし、天下の旗頭になった。
由是言之卜筮有何負哉
是(これ)に由(よ)りこれを言うに、卜筮に何の不利益が有ろうかな。
且夫卜筮者埽除設坐正其冠帶
まさにそれ、卜筮とは、祓(はら)い清めて座を設(もう)け、その冠帯を正して、
然後乃言事此有禮也
然(しか)る後にすなわち事を言うは、これ、礼が有るのである。
言而鬼神或以饗忠臣以事其上孝子以養其親
しこうして鬼神の或(あ)るものが祭祀を受け入れるを以ってし、忠臣がその上に仕(つか)えるを以ってし、孝行な子がその親を養うを以ってし、
慈父以畜其子此有者也
情け深い父がその子を養うを以ってするを言うは、これ、徳が有るものである。
而以義置數十百錢病者或以愈且死或以生
しこうして義(ぎ)を以って数十百銭を置いて、病気の者の或(あ)るものは癒(い)えるを以ってし、
まさに死なんとするものの或(あ)るものは生きるを以ってし、
患或以免事或以成嫁子娶婦或以養生
患えるものの或(あ)るものは免(まぬか)れるを以ってし、事の或るものは成就するを以ってし、子を嫁(とつ)がせたり婦人を娶(めと)ったりした或(あ)るものは養生(ようじょう)を以ってし、
此之為豈直數十百錢哉
このような徳をつくって、どうして数十百銭の価値であろうかな。
此夫老子所謂上不是以有
これは、それ、老氏の謂(い)うところの、最上の徳とは得ること(徳(とく)=得(とく)?)をしない、だから徳が有るのだ、である。
今夫卜筮者利大而謝少老子之云豈異於是乎
今、それ、卜筮者からの利益は大きくして、謝礼は少ない。老子の云(い)うは、どうしてこれに異(こと)なるだろうか。
古人のことをつたえるだけで勝手に創作しないのが、君子(くんし)の義(ぎ)である。
今夫卜者必法天地象四時
今、それ、卜者は、必ず天地に法(のっと)り、四季を象(かたど)り、
順於仁義分策定卦旋式正棋
仁義を順じて、めどきを分(わ)け、卦を定め、式をめぐらし、駒(こま)を正し、
然後言天地之利害事之成敗
然る後に天地の利害、事の成敗を言いう。
昔先王之定國家必先龜策日月而後乃敢代
昔は先王の国家を定めるとき、必ず、先んじて日月を亀策でうらない、しこうして後にすなわち敢えて交代し、
正時日乃后入家產子必先占吉凶后乃有之
時間を正して、すなわち後に家に入る、子を産むと、必ず先んじて吉凶を占い、後にすなわちこれを有する。
自伏羲作八卦周文王演三百八十四爻而天下治
伏羲(帝王の名)より八卦を作り、周文王が三百八十四の爻(こう)を説明して、天下が治(おさ)まった。
越王句踐放文王八卦以破敵國霸天下
越王句踐が周文王の八卦をまねて、敵国を破るを以ってし、天下の旗頭になった。
由是言之卜筮有何負哉
是(これ)に由(よ)りこれを言うに、卜筮に何の不利益が有ろうかな。
且夫卜筮者埽除設坐正其冠帶
まさにそれ、卜筮とは、祓(はら)い清めて座を設(もう)け、その冠帯を正して、
然後乃言事此有禮也
然(しか)る後にすなわち事を言うは、これ、礼が有るのである。
言而鬼神或以饗忠臣以事其上孝子以養其親
しこうして鬼神の或(あ)るものが祭祀を受け入れるを以ってし、忠臣がその上に仕(つか)えるを以ってし、孝行な子がその親を養うを以ってし、
慈父以畜其子此有者也
情け深い父がその子を養うを以ってするを言うは、これ、徳が有るものである。
而以義置數十百錢病者或以愈且死或以生
しこうして義(ぎ)を以って数十百銭を置いて、病気の者の或(あ)るものは癒(い)えるを以ってし、
まさに死なんとするものの或(あ)るものは生きるを以ってし、
患或以免事或以成嫁子娶婦或以養生
患えるものの或(あ)るものは免(まぬか)れるを以ってし、事の或るものは成就するを以ってし、子を嫁(とつ)がせたり婦人を娶(めと)ったりした或(あ)るものは養生(ようじょう)を以ってし、
此之為豈直數十百錢哉
このような徳をつくって、どうして数十百銭の価値であろうかな。
此夫老子所謂上不是以有
これは、それ、老氏の謂(い)うところの、最上の徳とは得ること(徳(とく)=得(とく)?)をしない、だから徳が有るのだ、である。
今夫卜筮者利大而謝少老子之云豈異於是乎
今、それ、卜筮者からの利益は大きくして、謝礼は少ない。老子の云(い)うは、どうしてこれに異(こと)なるだろうか。