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見性好解婦來卜

見性好解婦來卜對之顏色嚴振未嘗見齒而笑也

性格の良いさっぱりした婦人(解(かい)=快(かい)?)が卜(うらない)に来たのを見たが、応(こた)えるは顔色は厳(おごそ)かで振(ふ)るいたち、未(いま)だ嘗(かつ)て歯を見せて笑ったことがなかったのである。

從古以來賢者避世有居止舞澤者

古(いにしえ)より以来、賢者は世を避(さ)け、雑草の茂る沢(舞(ぶ)=蕪(ぶ)?)に止(とど)まって居住する者も有れば、

有居民閉口不言有隱居卜筮以全身者

民間に居住して口を閉(と)ざし言わない者も有り、卜筮の間に隠居して身(み)を全(まっと)うする者も有る。

夫司馬季主者楚賢大夫游學長安

それ、司馬季主という者は、楚の賢大夫で、長安に遊学して、

通易經術黃帝老子博聞遠見

易経、黄帝、老子の術に通(つう)じ、博聞(はくぶん)で考え深かった。

觀其對二大夫貴人之談言稱引古明王聖人道

その二人の大夫、貴人の話しに応(こた)えて、古(いにしえ)の明王、聖人の道を引用して称(とな)えたのを読んで、

固非淺聞小數之能及卜筮立名聲千里者各往往而在

固(もと)より見聞のせまい、とるにたらない占い者の能力ではなかったのである。卜筮で名声を千里に立てた者に及んでは、各(おのおの)往々(おうおう)として存在する。

傳曰富為上貴次之既貴各各學一伎能立其身

伝に曰く、富(とみ)が上(あ)がれば、貴がこれに次(つ)ぐ。既(すで)に地位が高くなると各々(おのおの)が一技能を学(まな)んでその身(み)を立てる、と。

黃直大夫也陳君夫婦人也以相馬立名天下

黄直は大夫であり、陳の君夫は婦人であり、馬を占(うらな)うを以って天下に名を立てた。

齊張仲曲成侯以善擊刺學用劍立名天下

斉の張仲、曲成侯は撃刺が上手いのを以って用剣を学び、名を天下に立てた。

留長孺以相彘立名滎陽褚氏以相牛立名

留の長孺は彘(ぶた)を占(うらな)うを以って名を立て、栄陽の褚氏は牛(うし)を占(うらな)うを以って名を立てた。

能以伎能立名者甚多皆有高世絕人之風何可勝言

技能を以って名を立てることができた者は甚(はなは)だ多く、皆(みな)、高世絶人の風格(ふうかく)が有り、どうしてすべて言うことができようか。

故曰非其地樹之不生非其意教之不成

故(ゆえ)に曰く、その土地で非(あら)ざれば、木を植えても生長(せいちょう)しない、その意(い)で非(あら)ざれば、教えても成就しない、と。

夫家之教子孫當視其所以好好含茍生活之道因而成之

それ、家門が子孫に教え、まさにその好むを以ってするところを視(み)て、生活を含垢(がんこう こらえること 茍(こう)=垢(こう)?)する道を好めば、因(よ)りてこれを成就する。

故曰制宅命子足以觀士子有處所可謂賢人

故(ゆえ)に曰く、家をつくって子におしえ、士を観(み)るを以ってするに足(た)り、
子が処(ところ)するところを有(ゆう)すれば、賢人と謂(い)うべきだ、と。

臣為郎時與太卜待詔為郎者同署言曰

わたしが郎(官名)であった時、太卜(官名 卜者の長官)と詔(みことのり)を待(ま)って郎(官名)に為った者が役所を同じにして言った、曰く、

孝武帝時聚會占家問之某日可取婦乎

『孝武帝(劉徹)時、占家を集会してこれに問(と)うた、これこれの日に婦人を娶(めと)ってもよいか?と。

五行家曰可堪輿家曰不可建除家曰不吉

五行家は曰く可と、堪輿家は曰く不可と、建除家は曰く不吉と、

叢辰家曰大凶歷家曰小凶天人家曰小吉太一家曰大吉

叢辰家は曰く大凶と、歴家は曰く小凶と、天人家は曰く小吉と、太一家は曰く大吉と。

辯訟不決以狀聞制曰

弁(べん)じてうったえても決まらず、書状を以って聞き入れた。制して曰く、

避諸死忌以五行為主人取於五行者也

諸(もろもろ)の死忌を避(さ)けて、五行家を以って主(あるじ)と為す、と』と。
人は五行者より取ったのである」と。


今日で史記 日者列伝は終わりです。明日からは史記 亀策列伝に入ります。

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