宋忠賈誼忽而自失
宋忠賈誼忽而自失芒乎無色悵然噤口不能言 漢中大夫宋忠、漢博士賈誼はたちまちにして自失(じしつ)しぼんやりとして顔色を無くし、悵然(ちょうぜん)としてがっかりして口をつぐみ言うことができなかった。 於是攝衣而起再拜而辭 ここに於いて衣(ころも)をまくりあげて立ちあがり、再拝(さいはい)して辞(じ)した。 行洋洋也出門僅能自上車...
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見性好解婦來卜對之顏色嚴振未嘗見齒而笑也 性格の良いさっぱりした婦人(解(かい)=快(かい)?)が卜(うらない)に来たのを見たが、応(こた)えるは顔色は厳(おごそ)かで振(ふ)るいたち、未(いま)だ嘗(かつ)て歯を見せて笑ったことがなかったのである。 從古以來賢者避世有居止舞澤者 古(いにしえ)より以来、賢者は世を避(さ)け、雑草の茂る沢(舞(ぶ)=蕪(ぶ)?)に止(とど)まって居住する者も有れば、...
View Article史記 亀策列伝 始め
太史公曰自古聖王將建國受命 太史公曰く、「古(いにしえ)より聖王がまさに国を建て天命を授(さず)からんとして、 興動事業何嘗不寶卜筮以助善 事業を興(おこ)して行動し、どうして嘗(かつ)て卜筮(占い)が善(ぜん)に助けるを以ってするを重んじなかっただろうか。 唐虞以上不可記已 唐(陶唐 帝堯)、虞(有虞 帝舜)以前は、記(しる)すことができないだけである。 自三代之興各據禎祥...
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或以為昆蟲之所長聖人不能與爭 或(あ)るものは昆虫の長ずるところは、聖人が争いに与(くみ)することができないと思った。 其處吉凶別然否多中於人 その吉凶を処するは、然(しか)りか否(いな)かを区別して、多くが人に中(あ)てた。 至高祖時因秦太卜官 高祖の時に至り、因(よ)りて太卜の官を奏(かな)でた。 天下始定兵革未息 天下が定まったばかりで、戦争は未(ま)だ止(や)んでおらず、...
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兆應信誠於內而時人明察見之於外可不謂兩合者哉 兆(きざ)しは内(うち)にまごごろに応(おう)じ、しこうして、好機は人が外(そと)に於いて明察してこれを知る、二つが合わさるものと謂(い)わないべきかな。 君子謂夫輕卜筮無神明者悖 君子は謂(い)う、それ、卜筮を軽んじ、神明(しんめい)で無い者はおろかで、 背人道信禎祥者鬼神不得其正...
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聞古五帝三王發動舉事必先決蓍龜 聞く、古(いにしえ)の五帝、三王は発動して事を挙(あ)げるに、必ず先(さき)に蓍亀(めどぎと亀)で決定すると。 傳曰下有伏靈上有兔絲上有擣蓍下有神龜 伝曰く、下(した)に伏霊が有れば、上(うえ)に兔絲(ねなしかずら)が有る。上(うえ)にとうがたった蓍(めどはぎ)が有れば、下(した)には神亀がいる、と。 所謂伏靈者在兔絲之下狀似飛鳥之形...
View Article傳曰取前足臑骨穿佩之
傳曰取前足臑骨穿佩之取龜置室西北隅懸之 伝曰く、前足の骨を取って穴をあけてこれを佩(お)びて、亀を取って部屋の西北の隅(すみ)にこれを懸(か)けて置けば、 以入深山大林中不惑 深山、大林の中に入るを以ってしたとき、惑(まど)わない、と。 臣為郎時見萬畢石朱方傳曰 わたしが郎(官名)だった時、万畢の石朱方に見(まみ)え、伝えて曰く、 有神龜在江南嘉林中嘉林者獸無虎狼...
View Article乃召博士衛平而問之曰今寡人夢見一丈夫
乃召博士衛平而問之曰今寡人夢見一丈夫 そこで博士の衛平を召してこれを問うて曰く、『今、わたしは夢で一人の立派な人に見た、 延頸而長頭衣玄繡之衣而乘輜車來見夢於寡人曰 頸(くび)を延(の)ばして、頭を長くして、黒い刺繍の衣(ころも)を来て、荷車に乗り、わたしの夢枕に立って曰く、 我為江使於河而幕網當吾路 我(われ)は江の使者として河へ行き、しこうして、幕網が吾(われ)の往く手に当(あ)たった。...
View Article使者載行出於泉陽之門
使者載行出於泉陽之門 宋使者は(亀を)載(の)せて行き、泉陽の門を出た。 正晝無見風雨晦冥 真昼に見えるものが無くなり、風雨でくらやみになった。 雲蓋其上五采青黃雷雨并起風將而行 雲がその上を蓋(おお)って、雲の色は青、黄色をしており、雷雨がならび起こり、風が速く吹いていった。 入於端門見於東箱身如流水潤澤有光 端門に入り、東の沼(ぬま...
View Article元王慨然而嘆曰
元王慨然而嘆曰夫逆人之使絕人之謀是不暴乎 宋元王は慨然(がいぜん)となげいてため息をつき、曰く、『それ、人の使(つか)いに逆(さか)らい、人の謀(はかりごと)を絶(た)つは、これ暴挙(ぼうきょ)ではないか? 取人之有以自為寶是不彊乎 人の有するものを取って、自らの宝(たから)と為すは、これ強引(ごういん)ではないか? 寡人聞之暴得者必暴亡彊取者必后無功...
View Article悤悤疾疾通而不相擇
悤悤疾疾通而不相擇妖孽數見傳為單薄悤悤疾疾とあわただしく速く、通じて相(あい)区別せず、奇怪なひこばえがたびたび現われ、受継いでも単弱(たんじゃく)と為ります。 聖人別其生使無相獲禽獸有牝牡置之山原 聖人がその生命を別(わ)けて、相(あい)奪い取ること無くさしめ、禽獣(きんじゅう)には牝(めす)牡(おす)を有(ゆう)し、山、原にこれを置き、 鳥有雌雄布之林澤有介之蟲置之谿谷...
View Article誇而目巧教為象郎
誇而目巧教為象郎將至於天又有玉床 誇大でうわべを見て、象牙(ぞうげ)の高楼(郎(ろう)=楼(ろう)?)をつくることを教え、まさに天(てん)に至らんとした。また美しい石の床(ゆか)が有った。 犀玉之器象箸而羹聖人剖其心壯士斬其胻 犀(さい)の角、美しい石の器(うつわ)に、象牙(ぞうげ)の箸(はし)で羹(あつもの)を食べた。 聖人はその心臓を切り開かれ、壮士はそのすねを斬られた。...
View Article衛平對曰不然
衛平對曰不然河雖神賢不如崑崙之山 宋博士衛平は応(こた)えて曰く、「そうではありません。河は神賢と雖(いえど)も、崑崙の山には及ばず、 江之源理不如四海而人尚奪取其寶 江の源理は四海には及びません。しこうして、人は尚(なお)その宝を奪(うば)い取り、 諸侯爭之兵革為起小國見亡大國危殆 諸侯はこれを争い、戦争が起こることに為ります。小国は亡(ほろ)ぼされ、大国は殆(ほとん)ど危(あや)うくなり、...
View Article元王大而喜
元王大而喜於是元王向日而謝再拜而受 宋元王は大いに愉快になって喜んだ。ここに於いて宋元王は太陽に向って謝(しゃ)し、再拝(さいはい)して受けた。 擇日齋戒甲乙最良乃刑白雉及與驪羊 ものいみをする日を択(えら)び、甲(きのえ)、乙(きのと)の日が最良だった。そこで白い雉(きじ)、及び黒馬、羊(ひつじ)とをころし、 以血灌龜於壇中央以刀剝之身全不傷...
View Article故云神至能見夢於元王
故云神至能見夢於元王而不能自出漁者之籠 故(ゆえ)に云(い)う、神が至って宋元王に夢を見させることができたが、自(みずか)らを漁者の籠(かご)から出すことができなかったと。 身能十言盡當不能通使於河 身(み)は十を言ってことごとく当(あ)てることができたが、河に使(つか)いして通じ、 還報於江賢能令人戰勝攻取 江に還(かえ)って報告することができなかった。賢は人をして戦いに勝たせ攻め取らせたが、...
View Article當時不利又焉事賢
當時不利又焉事賢 時の不利(ふり)に当(あ)たって、、またどうして賢に仕(つか)えようか。 賢者有恒常士有適然 賢者はつねの状態を有(ゆう)し、士はたまさかの状態を有(ゆう)する。 是故明有所不見聽有所不聞 これ故(ゆえ)に明らかは見えないところを有(ゆう)し、聴くは聞こえないところを有(ゆう)する。 人雖賢不能左畫方右畫圓...
View Article物有所拘亦有所據
物有所拘亦有所據 物にはとらえるところが有り、またすがるところが有る。 罔有所數亦有所疏 網(あみ)には目が細かいところが有り、また目の粗(あら)いところも有る。 人有所貴亦有所不如何可而適乎 人には貴(とうと)ぶところが有り、また及ばないところも有る。どうしてほどよくできるだろうか。 物安可全乎天尚不全故世為屋...
View Article庚辛可以殺及以鉆之
庚辛可以殺及以鉆之 庚、辛の日はこれに鉆(きり)をいれるを以ってするに及んで殺すを以ってすることができる。 常以月旦祓龜先以清水澡之以卵祓之 常(つね)に月の一日(ついたち)を以って亀を祓(はら)い、先(さき)に清い水を以ってこれをすすぎ、卵を以ってこれを祓(はら)うは、 乃持龜而遂之若常以為祖 すなわち亀を持ってこれをすすめあげ、常(つね)に祖(そ)と為すを以ってするがごとくする。...
View Article靈龜卜祝曰
靈龜卜祝曰假之靈龜五巫五靈 霊亀の卜(うらな)いで、祝(はふり)は曰く、『霊亀を借(か)り、五巫五霊で、 不如神龜之靈知人死知人生 神亀の霊には及ばない。人の死を死り、人の生を知り、 某身良貞某欲求某物 某(なにがし)がみずからよい占いをし、某(なにがし)がこれこれの物を求めることを欲し、 即得也頭見足發內外相應...
View Article卜求當行不行行首足開
卜求當行不行行首足開 卜(うらな)うに、行くべきか行かないべきかを求め、行くべきであれば、首が出て足が開く、 不行足肣首仰若吉安安不行 行かないべきであれば、足、しっぽ( 肣(こん)=臗(こん)?))が出て首が仰(あお)ぎ、(甲羅が?)水平に広がって弛(ゆる)(吉=弛(ち)?)み安んずるがごとくになり、安んじて歩かない。 卜往擊盜當見不見...
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