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聞古五帝三王

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聞古五帝三王發動舉事必先決蓍龜

聞く、古(いにしえ)の五帝、三王は発動して事を挙(あ)げるに、必ず先(さき)に蓍亀(めどぎと亀)で決定すると。

傳曰下有伏靈上有兔絲上有擣蓍下有神龜

伝曰く、下(した)に伏霊が有れば、上(うえ)に兔絲(ねなしかずら)が有る。上(うえ)にとうがたった蓍(めどはぎ)が有れば、下(した)には神亀がいる、と。

所謂伏靈者在兔絲之下狀似飛鳥之形

所謂(いわゆる)伏霊(おそらく菌根のこと。茯苓というものとはまた別物)という者は、兔絲(ねなしかずら)の下(した)に在(あ)って、形状は飛ぶ鳥の形に似(に)ている。

新雨已天清靜無風以夜捎兔絲去之

いましがた雨がやんで、天が清く静かで風が無くなったら、夜を以って兔絲(ねなしかずら)をはらい去って、

既以篝燭此地燭之火滅即記其處

すでにかがり火を以ってこの地が照らされ、火が消えたら、すぐにその処(ところ)を記(しる)しして、

以新布四丈環置之明即掘取之

新しい布四丈を以って環(わ)にしてここに置き、夜が明けたらすなわち掘ってこれを取る。

入四尺至七尺得矣過七尺不可得

掘り進むこと四尺(約80cm~1m)から七尺(約140cm~175cm)に至ると得られ、七尺を過ぎると得ることができない。

伏靈者千歲松根也食之不死

伏霊という者は一千歳の松の根であり、これを食すると死なない。

聞蓍生滿百莖者其下必有神龜守之其上常有青雲覆之

聞く、蓍(めどはぎ)は百本の茎(くき)を満たして生(は)える者は、その下(した)に必ず神亀がいてこれを守っており、その上(うえ)は常(つね)に青い雲が有ってこれを覆(おお)っていると。

傳曰天下和平王道得而蓍莖長丈其叢生滿百莖

伝曰く、天下が和平して、王道が得られ、しこうして蓍(めどはぎ)の茎(くき)の長さは一丈(十尺)で、その群がるは百本の茎(くき)を満たして生(は)える、と。

方今世取蓍者不能中古法度不能得滿百莖長丈者

まさに今の世は、蓍(めどはぎ)を取る者は、古(いにしえ)の法度に中(あ)てることはできず、百本の茎(くき)を満たして長さが一丈の者を得ることはできない。

取八十莖已上蓍長八尺即難得也

取るに八十本の茎(くき)以上、めどぎの長さ八尺(約160cm~)はすなわち得ることが難(むずか)しいのである。

人民好用卦者取滿六十莖已上長滿六尺者既可用矣

人民の卦を用いることを好む者は、六十本の茎(くき)以上を満たし、長さ六尺を満たす者がすでに用いることができる。

記曰能得名龜者財物歸之家必大富至千萬

記曰く、名亀を得ることができた者は、財物がこれに帰属し、家は必ず大いに富(と)んで千万に至る、と。

一曰北斗龜二曰南辰龜三曰五星龜

一に曰く、北斗亀、二に曰く、南辰亀、三に曰く、五星亀、

四曰八風龜五曰二十八宿龜六曰日月龜

四に曰く、八風亀、五に曰く、二十八宿亀、六曰く、日月亀、

七曰九州龜八曰玉龜凡八名龜

七曰く、九州亀、八曰く、玉亀、凡(およ)そ八つの名亀である。

龜圖各有文在腹下文云云者此某之龜也

亀の図は各(おのおの)文字が有り腹の下に在(あ)る、云々(うんぬん)を文字する者は、
これ、某(なにがし)の亀である。

略記其大指不寫其圖

おおまかにその大なる旨(むね)を記(しる)し、その図を尽(つ)くさない。

取此龜不必滿尺二寸民人得長七八寸可寶矣

この亀を取るは必ず一尺二寸(約25cm~30cmくらい)に満たないもので、人民は長さ七、八寸(15cm~20cm位)の亀を得て宝とすべきである。

今夫珠玉寶器雖有所深藏必見其光必出其神明其此之謂乎

今、それ、貝の真珠、宝石の宝器は、奥深くしまわれたところに有ると雖(いえど)も、
必ずその光を見せ、必ずその神明(しんめい)を出すは、その、このことを謂うのだろうか。

笔玉處於山而木潤淵生珠而岸不枯者潤澤之所加也

すぐれた宝石(笔=筆(聿いつ)=逸(いつ)?)は山に於いて処(ところ)し、しこうして木が潤(うるお)い、淵(ふち)には真珠が生(しょう)じ、そして岸が枯(か)れないのは、潤沢(じゅんたく)が加わるところである。

明月之珠出於江海藏於蚌中蚗龍伏之

名月の珠(貝の真珠)は江海に於いて産出し、蚌(からずがいの一種)の中にしまわれており、みずちが(蚗龍=虯龍?)ここに伏(ふ)している。

王者得之長有天下四夷賓服

王者がこれを得ると、長く天下を有し、四夷(四方の異民族)は賓服(ひんぷく)する。

能得百莖蓍并得其下龜以卜者百言百當足以決吉凶

百本の茎の蓍(めどはぎ)を得ることができて、ならびにその下(した)の亀を得て、卜(うらな)いを以ってする者は、百言百当(すべて言ったことは的中する)、吉凶を決するに足(た)る。

神龜出於江水中廬江郡常歲時生龜長尺二寸者二十枚輸太卜官

神亀は江水の中に於いて出て、廬江郡では常(つね)に歳時(さいじ)に生きた亀の長さ一尺二寸(約25cm~30cmくらい)の者二十枚を太卜官に輸送する。

太卜官因以吉日剔取其腹下甲龜千歲乃滿尺二寸

太卜官は因(よ)りて吉日を以ってその腹の下の甲羅(こうら)をえぐり取る。亀は一千歳ですなわち一尺二寸に満ちる。

王者發軍行將必鉆龜廟堂之上以決吉凶

王者が軍を発して率(ひき)いるを行うときは、必ず亀を廟堂の上で焼いて、吉凶を決めるを以ってする。

今高廟中有龜室藏內以為神寶

今、高廟(高祖廟)の中には亀の部屋が有り、しまってひそかに神宝と為すを以ってする。

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