白圭周人也
白圭は周の人である。
當魏文侯時李克務盡地力
魏文侯魏斯の時に、李克が土地の生産力を尽(つ)くすことに務(つと)めるに当たり、
而白圭樂觀時變故人棄我取人取我與
しこうして、白圭は時の変化を観(み)ることを楽しみ、故(ゆえ)に人が棄(す)てたら我(われ)が取り、人が取ったら我(われ)が与(あた)えた。
夫歲孰取穀予之絲漆
それ、実りの時が豊かであれば穀物を取って、絹糸、漆(うるし)を与(あた)え、
繭出取帛絮予之食
繭(まゆ)が捨てられたら、絹織物、真綿(まわた)を取って、食物を与(あた)えた。
太陰在卯穰明歲衰惡
太陰は卯(う)の年に在(あ)り、豊穣になり、明くる年の実りは衰え悪くなる。
至午旱明歲美
午(うま)の年に至ると日照りになり、明くる年の実りは立派になる。
至酉穰明歲衰惡
酉(とり)の年に至ると豊穣になり、明くる年の実りは衰え悪くなる。
至子大旱明歲美有水
子(ね)の年に至ると、大日照りになり、明くる年の実りは立派になるが、洪水が有る。
至卯積著率歲倍
卯(う)の年に至ると、積み貯(たくわ)える(著(ちょ)=貯(ちょ)?)はおおむね実りの時の倍(ばい)になる。
欲長錢取下穀長石斗取上種
長銭(質の良い銭?価値のある銭?)で嘉穀(かこく 下(か)=嘉(か)?)を取り、
長石斗(質の良い石のひしゃく?)で上等の種(たね)を取ることを欲した。
能薄飲食忍嗜欲節衣服
飲食を質素にし、嗜欲(しよく)を忍(しの)び、衣服を節約(せつやく)することができ、
與用事僮仆同苦樂趨時若猛獸摯鳥之發
事に用いられる僮僕(召使)と苦楽(くらく)を同じにして、好機に走るは、猛獣(もうじゅう)、猛鳥(もうちょう)の発するがごとくであった。
故曰吾治生產猶伊尹呂尚之謀孫吳用兵商鞅行法是也
故(ゆえ)に曰く、「吾(われ)が生産を治(おさ)めるは、ちょうど伊尹、呂尚の謀(はかりごと)、孫子、呉子の用兵(ようへい)、商鞅の行法がこれである。
是故其智不足與權變勇不足以決斷
これ故(ゆえ)にその智(ち)が権変にあずかるに足(た)らず、勇気が決断を以ってするに足(た)らず、
仁不能以取予彊不能有所守
仁が取ったり与(あた)えたりするを以ってすることができず、強さが守るところを有することができなければ、
雖欲學吾術終不告之矣
吾(わ)が術を学ぶことを欲すると雖(いえど)も、終(しま)いまでこれに告げることはないだろう」と。
蓋天下言治生祖白圭白圭其有所試矣
思うに天下が治生を言うは白圭を祖(そ)とした。白圭がその積みたくわえる(試(し)=積(し)?)ところが有れば、
能試有所長非茍而已也
その長ずるところを有して積みたくわえる(試(し)=積(し)?)ことができ、かりそめにしてそれのみではないのである。
白圭は周の人である。
當魏文侯時李克務盡地力
魏文侯魏斯の時に、李克が土地の生産力を尽(つ)くすことに務(つと)めるに当たり、
而白圭樂觀時變故人棄我取人取我與
しこうして、白圭は時の変化を観(み)ることを楽しみ、故(ゆえ)に人が棄(す)てたら我(われ)が取り、人が取ったら我(われ)が与(あた)えた。
夫歲孰取穀予之絲漆
それ、実りの時が豊かであれば穀物を取って、絹糸、漆(うるし)を与(あた)え、
繭出取帛絮予之食
繭(まゆ)が捨てられたら、絹織物、真綿(まわた)を取って、食物を与(あた)えた。
太陰在卯穰明歲衰惡
太陰は卯(う)の年に在(あ)り、豊穣になり、明くる年の実りは衰え悪くなる。
至午旱明歲美
午(うま)の年に至ると日照りになり、明くる年の実りは立派になる。
至酉穰明歲衰惡
酉(とり)の年に至ると豊穣になり、明くる年の実りは衰え悪くなる。
至子大旱明歲美有水
子(ね)の年に至ると、大日照りになり、明くる年の実りは立派になるが、洪水が有る。
至卯積著率歲倍
卯(う)の年に至ると、積み貯(たくわ)える(著(ちょ)=貯(ちょ)?)はおおむね実りの時の倍(ばい)になる。
欲長錢取下穀長石斗取上種
長銭(質の良い銭?価値のある銭?)で嘉穀(かこく 下(か)=嘉(か)?)を取り、
長石斗(質の良い石のひしゃく?)で上等の種(たね)を取ることを欲した。
能薄飲食忍嗜欲節衣服
飲食を質素にし、嗜欲(しよく)を忍(しの)び、衣服を節約(せつやく)することができ、
與用事僮仆同苦樂趨時若猛獸摯鳥之發
事に用いられる僮僕(召使)と苦楽(くらく)を同じにして、好機に走るは、猛獣(もうじゅう)、猛鳥(もうちょう)の発するがごとくであった。
故曰吾治生產猶伊尹呂尚之謀孫吳用兵商鞅行法是也
故(ゆえ)に曰く、「吾(われ)が生産を治(おさ)めるは、ちょうど伊尹、呂尚の謀(はかりごと)、孫子、呉子の用兵(ようへい)、商鞅の行法がこれである。
是故其智不足與權變勇不足以決斷
これ故(ゆえ)にその智(ち)が権変にあずかるに足(た)らず、勇気が決断を以ってするに足(た)らず、
仁不能以取予彊不能有所守
仁が取ったり与(あた)えたりするを以ってすることができず、強さが守るところを有することができなければ、
雖欲學吾術終不告之矣
吾(わ)が術を学ぶことを欲すると雖(いえど)も、終(しま)いまでこれに告げることはないだろう」と。
蓋天下言治生祖白圭白圭其有所試矣
思うに天下が治生を言うは白圭を祖(そ)とした。白圭がその積みたくわえる(試(し)=積(し)?)ところが有れば、
能試有所長非茍而已也
その長ずるところを有して積みたくわえる(試(し)=積(し)?)ことができ、かりそめにしてそれのみではないのである。