然是富給之資也不窺市井不行異邑
然(しか)るにここに満ち足りて十分な資産が、市井(しせい)を窺(うかが)わず、異(こと)なる邑(むら)に行かず、
坐而待收身有處士之義而取給焉
坐(ざ)して収穫を待ち、身(み)ずからは処士(教養があっても官につかえない人)の義(ぎ)を有して供給を取る。
若至家貧親老妻子軟弱歲時無以祭祀進醵
もしも、家が貧しくなり、親が老いて、妻子が軟弱に至れば、実りの時に祭祀(さいし)を以って酒を進めることが無くなり、
飲食被服不足以自通如此不慚恥則無所比矣
飲食被服は自らを心ゆかせるには足らなくなる。この如(ごと)くで恥じなければ、比(ひ)するところは無い。
是以無財作力少有鬬智既饒爭時此其大經也
ここに、財が無いのを以って力をつくし、少し有れば智(ち)を闘(たたか)わせ、すでに多ければ、好機に争う、これがそのおおまかな道である。
今治生不待危身取給則賢人勉焉
今は、生業(なりわい)を治(おさ)めるに、身(み)を危(あや)うくして供給を取るを待(ま)たずが、すなわち賢人の勉(つと)めである。
是故本富為上末富次之姦富最下
これ故(ゆえ)に本(農)の富(とみ)が上と為され、末(商)の富(とみ)がこれに次(つ)ぎ、不正の富(とみ)が最も下(した)である。
無巖處奇士之行而長貧賤好語仁義亦足羞也
厳穴に処するすぐれた士の行いでは無くして、貧賤を長くして仁義を語ることを好むのも、また恥じるに足(た)るのである。
然(しか)るにここに満ち足りて十分な資産が、市井(しせい)を窺(うかが)わず、異(こと)なる邑(むら)に行かず、
坐而待收身有處士之義而取給焉
坐(ざ)して収穫を待ち、身(み)ずからは処士(教養があっても官につかえない人)の義(ぎ)を有して供給を取る。
若至家貧親老妻子軟弱歲時無以祭祀進醵
もしも、家が貧しくなり、親が老いて、妻子が軟弱に至れば、実りの時に祭祀(さいし)を以って酒を進めることが無くなり、
飲食被服不足以自通如此不慚恥則無所比矣
飲食被服は自らを心ゆかせるには足らなくなる。この如(ごと)くで恥じなければ、比(ひ)するところは無い。
是以無財作力少有鬬智既饒爭時此其大經也
ここに、財が無いのを以って力をつくし、少し有れば智(ち)を闘(たたか)わせ、すでに多ければ、好機に争う、これがそのおおまかな道である。
今治生不待危身取給則賢人勉焉
今は、生業(なりわい)を治(おさ)めるに、身(み)を危(あや)うくして供給を取るを待(ま)たずが、すなわち賢人の勉(つと)めである。
是故本富為上末富次之姦富最下
これ故(ゆえ)に本(農)の富(とみ)が上と為され、末(商)の富(とみ)がこれに次(つ)ぎ、不正の富(とみ)が最も下(した)である。
無巖處奇士之行而長貧賤好語仁義亦足羞也
厳穴に処するすぐれた士の行いでは無くして、貧賤を長くして仁義を語ることを好むのも、また恥じるに足(た)るのである。