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太史公學天官於唐都

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太史公學天官於唐都受易於楊何習道論於黃子

太史公司馬談は唐都に天官を学び、楊何に易(えき)を受け、黄子に道論を習った。

太史公仕於建元元封之愍學者之不達其意而師悖乃論六家之要指曰

太史公司馬談は建元、元封年間に仕(つか)え、学者がその意を達せずして師が悖(もと)るのを患(うれ)え、そこで六家の要旨(ようし)を論じた、曰く、

易大傳天下一致而百慮同歸而殊涂

「易(えき)の大伝は『天下は気持ちを一(いつ)にして、慮(おもんばか)りを百(ひゃく)にし、
帰着(きちゃく)を同じにして途(みち)を殊(こと)にする』と。

夫陰陽儒墨名法道此務為治者也

それ、陰陽、儒、墨、名、法、道、これらは務(つと)めて治(ち)を為すものである。

直所從言之異路有省不省耳

ただ言(げん)をほしままにするところの路(みち)が異(こと)なっていて、省(かえり)みるか、省(かえり)みないかを有(ゆう)するだけである。

嘗竊觀陰陽之術大祥而眾忌諱使人拘而多所畏

嘗(かつ)てひそかに陰陽の術を観(み)るに、大祥(父母親族の忌あけの祭り 二十五ヶ月後の祭りを大祥という)にして忌諱(きき)が多く、人をして拘(かかわ)らせて畏(おそ)れる所が多かった。

然其序四時之大順不可失也

然(しか)るにその四季の大順を順序づけるは、失(うしな)うべきではないのである。

儒者博而寡要勞而少功是以其事難盡從

儒者ははばひろくして要(かなめ)が少なく、労(ろう)して功(こう)が少なく、これ、
その事するを以ってことごとく従(したが)うのは難(むずか)しい。

然其序君臣父子之禮列夫婦長幼之別不可易也

然(しか)るにその君臣、父子の礼を順序づけ、夫婦、長幼の別を列するは替(か)えるべきではないのである。

墨者儉而難遵是以其事不可遍循

墨とは、節倹(せっけん)にして遵(したが)い難(がた)く、これ、その事するを以って遍(あまね)くしたがうことはできない。

然其彊本節用不可廢也

然(しか)るに本(もと)を強くして用いるを節するは、廃(はい)するべきではないのである。

法家嚴而少恩然其正君臣上下之分不可改矣

法家は厳(おごそ)かにして恩が少ない。然(しか)るにその君臣、上下の分(ぶ)を正(ただ)すは、改めるべきではない。

名家使人儉而善失真然其正名實不可不察也

名家(諸子百家の一つ)は人にして節倹(せっけん)させてしばしば真(まこと)を失わせる。然(しか)るにその名実を正(ただ)すは察しないべきではないのである。

道家使人精神專一動合無形贍足萬物

道家は人をして精神専一にさせ、形(かたち)無きものを合(あ)わせ動かし、万物に足(た)して救(すく)う。

其為術也因陰陽之大順采儒墨之善

その術(じゅつ)と為すは、陰陽の大順(たいじゅん)に因(よ)り、儒、墨の善いところを採(と)り、

撮名法之要與時遷移應物變化

名法の要(かなめ)を撮(つま)み取り、時機とともに遷移して、物に応じて変化し、

立俗施事無所不宜指約而易操事少而功多

俗(ぞく)を立てて事を施(ほどこ)し、宜(よろ)しくしないところは無く、約束を指(さ)し示して操(あやつ)り易(やす)く、事は少なくして功(こう)が多い。

儒者則不然以為人主天下之儀表也

儒とはすなわちそうではない。人主を天下の儀表(ぎひょう 模範)と為すを以ってするのであり、

主倡而臣和主先而臣隨如此則主勞而臣逸

主(あるじ)が歌えば臣下が和(わ)し、主(あるじ)が導(みちび)けば臣下が随(したが)う。
この如(ごと)くはすなわち、主(あるじ)が労(ろう)して、臣下が気ままにする。

至於大道之要去健羨絀聰明釋此而任術

大道(だいどう)の要(かなめ)に至って、健羨(けんせん たいへん慕(した)う)の者を去(さ)らせ、聡明(そうめい)な者を退(しりぞ)け、これらを手放して、術(じゅつ)に委(ゆだ)ねれば、

夫神大用則竭形大勞則敝

それ、神が大いに用いられれば尽(つ)きて、形が大いに労すれば破(やぶ)れる。

形神騷動欲與天地長久非所聞也

形、神が騒動(そうどう)すれば、天地と長久(ちょうきゅう)を欲しても、聞き入れられるところではないのである。

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