禮由人起人生有欲
礼は人より起(お)こった。人は生まれて欲(よく)を有する。
欲而不得則不能無忿忿而無度量則爭爭則亂
欲して得られなければ怒(いか)らずにはいられない、怒(いか)って度量(どりょう)が無ければ争(あらそ)う、争(あらそ)えば乱(みだ)れる。
先王惡其亂故制禮義以養人之欲
先王はその乱(みだ)れをにくみ、故(ゆえ)に礼義を制して、人の欲(よく)を養(やしな)い、
給人之求使欲不窮於物物不屈於欲
人の求めを給(たま)わるを以って、欲が物に於いて窮(きわ)まることなく、物が欲に於いて尽(つ)きることがないようにさせた。
二者相待而長是禮之所起也故禮者養也
二つのものは相(あい)待(ま)ちうけて常(つね)にして、これが礼(れい)の起こったところなのである。故(ゆえ)に礼(れい)とは養(よう)なのである。
稻粱五味所以養口也
稻粱(脱穀した大粒の粟 贅沢な食べ物のたとえ)、五味は、口(くち)を養(やしな)うを以ってするところである。
椒蘭芬茝所以養鼻也
山椒(さんしょう)蘭(らん)、良い香りのする茝(よろいぐさ 或いは蔃ゆり?)は鼻を養(やしな)うを以ってするところである。
鐘鼓管弦所以養耳也
鐘、太鼓、管楽器、弦楽器は耳を養(やしな)うを以ってするところである。
刻鏤文章所以養目也
模様を刻(きざ)みちりばめるは、目(め)を養(やしな)うを以ってするところである。
疏房床笫几席所以養體也故禮者養也
草で編んだ敷物の部屋(疏(そ)=蒩(そ)?)、竹製のベッドのすのこ(床笫=牀笫?)、ひじかけと座布団は、体(からだ)を養(やしな)うを以ってするところである。故(ゆえ)に礼(れい)とは養(よう)なのである。
君子既得其養又好其辨也
君子(くんし)がすでにその養(よう)を得ると、またそのわきまえることを好(この)むのである。
所謂辨者貴賤有等長少有差
所謂(いわゆる)わきまえとは、貴賎(きせん)には等級が有り、年長、年少には差(さ)が有り、
貧富輕重皆有稱也
貧富、軽重には皆(みな)秤(はかり 称=秤?)が有るのである。
故天子大路越席所以養體也
故(ゆえ)に天子の大路(天子の車)は越席(がまの座布団 或いは葛布(葛(かつ)=越(かつ)?)の座布団で、体(からだ)を養(やしな)うを以ってするところなのであり、
側載臭茝所以養鼻也
側(そば)に臭(にお)う茝(よろいぐさ 或いは蔃ゆり?)を載(の)せて、鼻(はな)を養(やしな)うを以ってするところであり、
前有錯衡所以養目也
前には錯衡(模様のある馬車の横木)が有って目(め)を養(やしな)うを以ってするのであり、
礼は人より起(お)こった。人は生まれて欲(よく)を有する。
欲而不得則不能無忿忿而無度量則爭爭則亂
欲して得られなければ怒(いか)らずにはいられない、怒(いか)って度量(どりょう)が無ければ争(あらそ)う、争(あらそ)えば乱(みだ)れる。
先王惡其亂故制禮義以養人之欲
先王はその乱(みだ)れをにくみ、故(ゆえ)に礼義を制して、人の欲(よく)を養(やしな)い、
給人之求使欲不窮於物物不屈於欲
人の求めを給(たま)わるを以って、欲が物に於いて窮(きわ)まることなく、物が欲に於いて尽(つ)きることがないようにさせた。
二者相待而長是禮之所起也故禮者養也
二つのものは相(あい)待(ま)ちうけて常(つね)にして、これが礼(れい)の起こったところなのである。故(ゆえ)に礼(れい)とは養(よう)なのである。
稻粱五味所以養口也
稻粱(脱穀した大粒の粟 贅沢な食べ物のたとえ)、五味は、口(くち)を養(やしな)うを以ってするところである。
椒蘭芬茝所以養鼻也
山椒(さんしょう)蘭(らん)、良い香りのする茝(よろいぐさ 或いは蔃ゆり?)は鼻を養(やしな)うを以ってするところである。
鐘鼓管弦所以養耳也
鐘、太鼓、管楽器、弦楽器は耳を養(やしな)うを以ってするところである。
刻鏤文章所以養目也
模様を刻(きざ)みちりばめるは、目(め)を養(やしな)うを以ってするところである。
疏房床笫几席所以養體也故禮者養也
草で編んだ敷物の部屋(疏(そ)=蒩(そ)?)、竹製のベッドのすのこ(床笫=牀笫?)、ひじかけと座布団は、体(からだ)を養(やしな)うを以ってするところである。故(ゆえ)に礼(れい)とは養(よう)なのである。
君子既得其養又好其辨也
君子(くんし)がすでにその養(よう)を得ると、またそのわきまえることを好(この)むのである。
所謂辨者貴賤有等長少有差
所謂(いわゆる)わきまえとは、貴賎(きせん)には等級が有り、年長、年少には差(さ)が有り、
貧富輕重皆有稱也
貧富、軽重には皆(みな)秤(はかり 称=秤?)が有るのである。
故天子大路越席所以養體也
故(ゆえ)に天子の大路(天子の車)は越席(がまの座布団 或いは葛布(葛(かつ)=越(かつ)?)の座布団で、体(からだ)を養(やしな)うを以ってするところなのであり、
側載臭茝所以養鼻也
側(そば)に臭(にお)う茝(よろいぐさ 或いは蔃ゆり?)を載(の)せて、鼻(はな)を養(やしな)うを以ってするところであり、
前有錯衡所以養目也
前には錯衡(模様のある馬車の横木)が有って目(め)を養(やしな)うを以ってするのであり、