凡音者生於人心者也
凡(およ)そ音(旋律、メロディー?)とは、人の心に生まれるものである。
樂者通於倫理者也
音楽とは、倫理(りんり)に通じるのである。
是故知聲而不知音者禽獸是也
これ故(ゆえ)に声(響き)を知って、音(旋律?)を知らないものは、禽獣(きんじゅう)がこれである。
知音而不知樂者眾庶是也
音(旋律?)を知って音楽を知らないものは、多くの民がこれである。
唯君子為能知樂是故審聲以知音
ただ君子のみが音楽を知ることができると為す。この故(ゆえ)に声(響き)を審(つまび)らかにして音(旋律?)を知るを以ってし、
審音以知樂審樂以知政而治道備矣
音(旋律?)を審(つまび)らかにして音楽を知るを以ってし、音楽を審(つまび)らかにして
政治を知るを以ってして、治道が備(そな)わるのである。
是故不知聲者不可與言音
この故(ゆえ)に声(響き)を知らないものは音(旋律?)を言うに与(あずか)ることができず、
不知音者不可與言樂知樂則幾於禮矣
音(旋律?)を知らないものは音楽を言うに与(あずか)ることができず、音楽を知ればほとんど礼に近いのである。
禮樂皆得謂之有者得也
礼、音楽が皆(みな)得られて、これを有徳と謂(い)う。徳(とく)とは得(とく)なのである。
是故樂之隆非極音也
この故(ゆえ)に音楽の隆(高い 盛ん)は、音(旋律?)を極めることでは非(あら)ざるなり。
食饗之禮非極味也
食饗の礼は、味(あじ)を極めることでは非(あら)ざるなり。
清廟之瑟朱弦而疏越
清廟の瑟(おおごと)の朱弦(朱色の弦(げん))にして、葛(くず)糸(越(かつ)=葛(かつ)?)の弦を通し、
一倡而三嘆有遺音者矣
一度歌って、三度嘆傷し、音(旋律?)を遺(のこ)すものが有るのである。
大饗之禮尚玄酒而俎腥魚
大饗の礼は、玄酒(水 或いは濃い酒)を尊びて(或いは酒器(尚=尊?))、俎(祭りのとき供物を盛るうつわ)の生(なま)の魚、
大羹不和有遺味者矣
大羹(あつもの)は和(わ)さず、味(あじ)を遺(のこ)すものが有るのである。
是故先王之制禮樂也非以極口腹耳目之欲也
これ故(ゆえ)に先王の礼、楽を制するは、口、腹、耳、目の欲(よく)を極めるを以ってすることでは非(あら)ざるなり。
將以教民平好惡而反人道之正也
まさに民に平、好悪を教えるを以ってして反(かえ)って人道を正すのである。
人生而靜天之性也
人は生まれて情する(静(じょう)=情(じょう)?)のが天の性である。
感於物而動性之頌也
物に感じて動かすのは性の頌(誦 となえる?)である。
物至知知然後好惡形焉
物が至って知を知り、然(しか)る後に好悪(好き嫌い)が形(かたち)になる。
好惡無節於內知誘於外
好悪は内(うち)に節が無く、知は外(そと)に誘(いざな)い、
不能反己天理滅矣
己(おのれ)にそむくことができず、天の理は滅びる。
夫物之感人無窮而人之好惡無節
それ、物の人に感じさせるは窮(きわ)まりが無く、そして、人の好悪は節が無く、
則是物至而人化物也
すなわちここに、物が至って人が物を変化させるのである。
人化物也者滅天理而窮人欲者也
人が物を変化させるのであるとは、天理を滅ぼして人の欲(よく)を窮(きわ)めるものである。
於是有悖逆詐偽之心有淫佚作亂之事
ここに於いて道理にはずれ、詐偽(さぎ)の心を有(ゆう)し、淫(みだ)らで気まま、作乱の事を有(ゆう)する。
是故彊者脅弱眾者暴寡
この故(ゆえ)に強者は弱者を脅(おど)し、多い者は少ない者を虐(しいた)げ、
知者詐愚勇者苦怯疾病不養
知者は愚者をあざむき、勇者は臆病者を苦しめ、疾病者は養われず、
老幼孤寡不得其所此大亂之道也
老、幼、孤児、寡婦はその所を得られず、これが大乱の道なのである。
是故先王制禮樂人為之節
この故(ゆえ)に先王は礼、楽に人為(じんい)の節を制し、
衰麻哭泣所以節喪紀也
斬衰(ざんさい 裁ったままでふちを縫っていない喪服)の麻の喪服、哭泣(号泣して泣くこと)は、
喪紀を節する所以(ゆえん)であり、
鐘鼓干戚所以和安樂也
鐘(かね)と鼓(つづみ)、たてとほこは、音楽を安んじて和(わ)する所以(ゆえん)であり、
婚姻冠笄所以別男女也
婚姻の冠(かんむり)、簪(かんざし)は男女を区別する所以(ゆえん)であり、
射鄉食饗所以正交接也
郷射(きょうしゃ)食饗は交際を正(ただ)す所以(ゆえん)である。
禮節民心樂和民聲政以行之刑以防之
礼は民心を節し、音楽は民の声を和(わ)し、政治は行うを以ってし、刑は防ぐを以ってする。
禮樂刑政四達而不悖則王道備矣
礼、楽、刑、政の四達(よんたつ)にして悖(もと)らなければ、すなわち王道は備(そな)わるのである。
凡(およ)そ音(旋律、メロディー?)とは、人の心に生まれるものである。
樂者通於倫理者也
音楽とは、倫理(りんり)に通じるのである。
是故知聲而不知音者禽獸是也
これ故(ゆえ)に声(響き)を知って、音(旋律?)を知らないものは、禽獣(きんじゅう)がこれである。
知音而不知樂者眾庶是也
音(旋律?)を知って音楽を知らないものは、多くの民がこれである。
唯君子為能知樂是故審聲以知音
ただ君子のみが音楽を知ることができると為す。この故(ゆえ)に声(響き)を審(つまび)らかにして音(旋律?)を知るを以ってし、
審音以知樂審樂以知政而治道備矣
音(旋律?)を審(つまび)らかにして音楽を知るを以ってし、音楽を審(つまび)らかにして
政治を知るを以ってして、治道が備(そな)わるのである。
是故不知聲者不可與言音
この故(ゆえ)に声(響き)を知らないものは音(旋律?)を言うに与(あずか)ることができず、
不知音者不可與言樂知樂則幾於禮矣
音(旋律?)を知らないものは音楽を言うに与(あずか)ることができず、音楽を知ればほとんど礼に近いのである。
禮樂皆得謂之有者得也
礼、音楽が皆(みな)得られて、これを有徳と謂(い)う。徳(とく)とは得(とく)なのである。
是故樂之隆非極音也
この故(ゆえ)に音楽の隆(高い 盛ん)は、音(旋律?)を極めることでは非(あら)ざるなり。
食饗之禮非極味也
食饗の礼は、味(あじ)を極めることでは非(あら)ざるなり。
清廟之瑟朱弦而疏越
清廟の瑟(おおごと)の朱弦(朱色の弦(げん))にして、葛(くず)糸(越(かつ)=葛(かつ)?)の弦を通し、
一倡而三嘆有遺音者矣
一度歌って、三度嘆傷し、音(旋律?)を遺(のこ)すものが有るのである。
大饗之禮尚玄酒而俎腥魚
大饗の礼は、玄酒(水 或いは濃い酒)を尊びて(或いは酒器(尚=尊?))、俎(祭りのとき供物を盛るうつわ)の生(なま)の魚、
大羹不和有遺味者矣
大羹(あつもの)は和(わ)さず、味(あじ)を遺(のこ)すものが有るのである。
是故先王之制禮樂也非以極口腹耳目之欲也
これ故(ゆえ)に先王の礼、楽を制するは、口、腹、耳、目の欲(よく)を極めるを以ってすることでは非(あら)ざるなり。
將以教民平好惡而反人道之正也
まさに民に平、好悪を教えるを以ってして反(かえ)って人道を正すのである。
人生而靜天之性也
人は生まれて情する(静(じょう)=情(じょう)?)のが天の性である。
感於物而動性之頌也
物に感じて動かすのは性の頌(誦 となえる?)である。
物至知知然後好惡形焉
物が至って知を知り、然(しか)る後に好悪(好き嫌い)が形(かたち)になる。
好惡無節於內知誘於外
好悪は内(うち)に節が無く、知は外(そと)に誘(いざな)い、
不能反己天理滅矣
己(おのれ)にそむくことができず、天の理は滅びる。
夫物之感人無窮而人之好惡無節
それ、物の人に感じさせるは窮(きわ)まりが無く、そして、人の好悪は節が無く、
則是物至而人化物也
すなわちここに、物が至って人が物を変化させるのである。
人化物也者滅天理而窮人欲者也
人が物を変化させるのであるとは、天理を滅ぼして人の欲(よく)を窮(きわ)めるものである。
於是有悖逆詐偽之心有淫佚作亂之事
ここに於いて道理にはずれ、詐偽(さぎ)の心を有(ゆう)し、淫(みだ)らで気まま、作乱の事を有(ゆう)する。
是故彊者脅弱眾者暴寡
この故(ゆえ)に強者は弱者を脅(おど)し、多い者は少ない者を虐(しいた)げ、
知者詐愚勇者苦怯疾病不養
知者は愚者をあざむき、勇者は臆病者を苦しめ、疾病者は養われず、
老幼孤寡不得其所此大亂之道也
老、幼、孤児、寡婦はその所を得られず、これが大乱の道なのである。
是故先王制禮樂人為之節
この故(ゆえ)に先王は礼、楽に人為(じんい)の節を制し、
衰麻哭泣所以節喪紀也
斬衰(ざんさい 裁ったままでふちを縫っていない喪服)の麻の喪服、哭泣(号泣して泣くこと)は、
喪紀を節する所以(ゆえん)であり、
鐘鼓干戚所以和安樂也
鐘(かね)と鼓(つづみ)、たてとほこは、音楽を安んじて和(わ)する所以(ゆえん)であり、
婚姻冠笄所以別男女也
婚姻の冠(かんむり)、簪(かんざし)は男女を区別する所以(ゆえん)であり、
射鄉食饗所以正交接也
郷射(きょうしゃ)食饗は交際を正(ただ)す所以(ゆえん)である。
禮節民心樂和民聲政以行之刑以防之
礼は民心を節し、音楽は民の声を和(わ)し、政治は行うを以ってし、刑は防ぐを以ってする。
禮樂刑政四達而不悖則王道備矣
礼、楽、刑、政の四達(よんたつ)にして悖(もと)らなければ、すなわち王道は備(そな)わるのである。