樂也者情之不可變者也
音楽なりとは、情の変えるべきではないものである。
禮也者理之不可易者也
礼なりとは、理(り)の替(か)えるべきではないものである。
樂統同禮別異禮樂之說貫乎人情矣
音楽は同じを統(す)べり、礼は異(こと)なるを別(わ)け、礼、楽の説(と)くは人情(にんじょう)を貫(つらぬ)くのである。
窮本知變樂之情也
本(もと)を窮(きわ)めて変化を知るは音楽の情(じょう)である。
著誠去偽禮之經也
誠(まこと)をあらわし偽(いつわ)りを去らせるは、礼の経(みち)である。
禮樂順天地之誠達神明之
礼、楽は天、地の誠(まこと)に順(じゅん)じ、神明の徳に達(たっ)し、
降興上下之神而凝是精粗之體領父子君臣之節
上下の神を降(お)ろし興(おこ)し、しこうして、精粗(こまかいこととおおざっぱなこと)の体(てい)を凝(こ)らしただし、父子君臣の節をおさめ、
是故大人舉禮樂則天地將為昭焉
この故(ゆえ)に大人は礼楽を挙(あ)げ、すなわち天地はまさに昭(あきら)かに為らんとするのである。
天地欣合陰陽相得煦嫗覆育萬物
天、地がよろこび合わさり、陰陽が相(あい)得られ、万物を煦嫗(くう)として暖め育て、覆育(ふくいく)と守り育て、
然後草木茂區萌達羽翮奮
然(しか)る後に草木が茂(しげ)り、区(く)としてこまごまと芽が出て、羽翼は奮(ふる)われ、
角觡生蟄蟲昭穌羽者嫗伏
角(つの)が生(は)え、蟄蟲(冬篭りしてる虫)は昭(あきら)かに目がさめて、羽者は卵をあたためて伏(ふ)し、
毛者孕鬻胎生者不殰而卵生者不殈則樂之道歸焉耳
毛者(けもの)は孕(はら)んで育て、 胎生(たいせい)者は流産せずして卵生(らんせい)者は卵がわれて孵(かえ)らないことはなく、すなわち、音楽の道は帰(き)してそれのみ。
樂者非謂黃鐘大呂弦歌干揚也
音楽とは、黄鐘、大呂(周の宗廟の大きな鐘の名)、弦歌(琴や瑟)、たてとまさかりを謂(い)うので非(あら)ざるなり。
樂之末節也故童者舞之
音楽の末節であり、故(ゆえ)に童(わらべ)たちがこれを舞うのである。
布筵席陳樽俎列籩豆
筵席(小さく折った竹のむしろ)を布(し)き、樽(=尊 酒器)、俎(祭りのとき供物を盛るうつわ)を並べ、籩(竹製のたかつき)、豆(たかつき)をならべ、
以升降為禮者禮之末節也故有司掌之
昇り降りを以って礼を為すのは、礼の末節であり、故(ゆえ)に役人がこれをつかさどるのである。
樂師辯乎聲詩故北面而弦
楽師が弁ずるのは、詩(し)を響(ひび)かせ、故(ゆえ)に北面(ほくめん)して弦(げん)をかなで、
宗祝辯乎宗廟之禮故後尸
宗祝(官名)が弁ずるのは、宗廟の礼で、故(ゆえ)に尸(形代)を後(あと)にして、
商祝辯乎喪禮故後主人
商祝(官名)が弁ずるのは、喪(も)の礼で、故(ゆえ)に主人を後(あと)にする。
是故成而上藝成而下
この故(ゆえ)に徳が成(な)って上で、芸が成(な)って下で、
行成而先事成而後
行いが成(な)って先(さき)で、事が成(な)って後(あと)で、
是故先王有上有下有先有後
この故(ゆえ)に先王は上を有し、下を有し、先(さき)を有し、後(あと)を有し、
然後可以有制於天下也。
然(しか)る後に天下に制を有するを以ってすることができたのである。
音楽なりとは、情の変えるべきではないものである。
禮也者理之不可易者也
礼なりとは、理(り)の替(か)えるべきではないものである。
樂統同禮別異禮樂之說貫乎人情矣
音楽は同じを統(す)べり、礼は異(こと)なるを別(わ)け、礼、楽の説(と)くは人情(にんじょう)を貫(つらぬ)くのである。
窮本知變樂之情也
本(もと)を窮(きわ)めて変化を知るは音楽の情(じょう)である。
著誠去偽禮之經也
誠(まこと)をあらわし偽(いつわ)りを去らせるは、礼の経(みち)である。
禮樂順天地之誠達神明之
礼、楽は天、地の誠(まこと)に順(じゅん)じ、神明の徳に達(たっ)し、
降興上下之神而凝是精粗之體領父子君臣之節
上下の神を降(お)ろし興(おこ)し、しこうして、精粗(こまかいこととおおざっぱなこと)の体(てい)を凝(こ)らしただし、父子君臣の節をおさめ、
是故大人舉禮樂則天地將為昭焉
この故(ゆえ)に大人は礼楽を挙(あ)げ、すなわち天地はまさに昭(あきら)かに為らんとするのである。
天地欣合陰陽相得煦嫗覆育萬物
天、地がよろこび合わさり、陰陽が相(あい)得られ、万物を煦嫗(くう)として暖め育て、覆育(ふくいく)と守り育て、
然後草木茂區萌達羽翮奮
然(しか)る後に草木が茂(しげ)り、区(く)としてこまごまと芽が出て、羽翼は奮(ふる)われ、
角觡生蟄蟲昭穌羽者嫗伏
角(つの)が生(は)え、蟄蟲(冬篭りしてる虫)は昭(あきら)かに目がさめて、羽者は卵をあたためて伏(ふ)し、
毛者孕鬻胎生者不殰而卵生者不殈則樂之道歸焉耳
毛者(けもの)は孕(はら)んで育て、 胎生(たいせい)者は流産せずして卵生(らんせい)者は卵がわれて孵(かえ)らないことはなく、すなわち、音楽の道は帰(き)してそれのみ。
樂者非謂黃鐘大呂弦歌干揚也
音楽とは、黄鐘、大呂(周の宗廟の大きな鐘の名)、弦歌(琴や瑟)、たてとまさかりを謂(い)うので非(あら)ざるなり。
樂之末節也故童者舞之
音楽の末節であり、故(ゆえ)に童(わらべ)たちがこれを舞うのである。
布筵席陳樽俎列籩豆
筵席(小さく折った竹のむしろ)を布(し)き、樽(=尊 酒器)、俎(祭りのとき供物を盛るうつわ)を並べ、籩(竹製のたかつき)、豆(たかつき)をならべ、
以升降為禮者禮之末節也故有司掌之
昇り降りを以って礼を為すのは、礼の末節であり、故(ゆえ)に役人がこれをつかさどるのである。
樂師辯乎聲詩故北面而弦
楽師が弁ずるのは、詩(し)を響(ひび)かせ、故(ゆえ)に北面(ほくめん)して弦(げん)をかなで、
宗祝辯乎宗廟之禮故後尸
宗祝(官名)が弁ずるのは、宗廟の礼で、故(ゆえ)に尸(形代)を後(あと)にして、
商祝辯乎喪禮故後主人
商祝(官名)が弁ずるのは、喪(も)の礼で、故(ゆえ)に主人を後(あと)にする。
是故成而上藝成而下
この故(ゆえ)に徳が成(な)って上で、芸が成(な)って下で、
行成而先事成而後
行いが成(な)って先(さき)で、事が成(な)って後(あと)で、
是故先王有上有下有先有後
この故(ゆえ)に先王は上を有し、下を有し、先(さき)を有し、後(あと)を有し、
然後可以有制於天下也。
然(しか)る後に天下に制を有するを以ってすることができたのである。