Quantcast
Channel: 倭人伝を解く
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2176

樂者聖人之所樂也而可以善民心

$
0
0
樂者聖人之所樂也而可以善民心

音楽とは、聖人の楽しむところであり、そして民心を善くするを以ってすることができる。

其感人深其風移俗易故先王著其教焉

その人に感じさせるは深く、その風習は移り俗は替(か)わり、故(ゆえ)に先王はその教えをあきらかにしたのである。

夫人有血氣心知之性而無哀樂喜怒之常

それ、人には血気、心知の性が有り、しこうして、哀楽喜怒の情(常=情?)が無くても、

應感起物而動然後心術形焉

感に応じて物に起こして動かし、然(しか)る後に心の術(すべ)が形づくる。

是故志微焦衰之音作而民思憂

この故(ゆえ)に志微、焦衰の音(曲?)が作られれば、しこうして、民は思い憂(うれ)え、

啴緩慢易繁文簡節之音作而民康樂

啴緩(のびやかで緩やか)慢易(まんい ばかにする、あなどる)、繁文(豪華な文(あや))、簡節(節(せつ)を簡略にする)の音(曲?)が作られれば、しこうして、民は広大に楽しむ。

粗猛起奮末廣賁之音作而民剛毅

粗(粗(あら)く激しい)、猛起、奮末、広賁の音(曲?)が作られれば、しこうして民は剛毅(ごうき)になる。

廉直經正莊誠之音作而民肅敬

廉直(れんちょく)、経正、荘誠の音(曲?)が作られれば、しこうして、民は肅敬(しゅくけい つつしみうやまう)する。

裕肉好順成和動之音作而民慈愛

裕(かんゆう 気持ちが大きくゆったっりしていること)、肉好、順成、和動の音(曲?)が作られれば、しおうして民は慈愛(じあい)する。

流辟邪散狄成滌濫之音作而民淫亂

流辟、邪散、狄成、滌濫(流れあふれる)の音(曲?)が作られれば、しこうして民は淫(みだ)らにみだれる。

是故先王本之情性稽之度數

この故(ゆえ)に先王は情性を本(もと)にし、度数をはかり、

制之禮義合生氣之和

礼義を制し、生気の和を合わせ、

道五常之行使之陽而不散

五常(仁義礼知信)の行いをみちびき、この陽(よう)をして散らせず、

陰而不密剛氣不怒柔氣不懾

陰(いん)をして密(みつ)にせず、剛気は怒らず、柔気はおそれないようにして、

四暢交於中而發作於外皆安其位而不相奪也

四暢(暢(ちょう 長くのびること))は中において交わりて外に於いて作り発せられ、皆(みな)
その位に安んじて相(あい)奪(うば)いあわないようにし、

然後立之學等廣其節奏

然(しか)る後に学を立てて等(ひと)しくし、その節奏(リズム)を広め、

省其文采以繩厚也

その文(あや)彩(いろど)りを省(かえり)みて、徳厚を受継ぐを以ってしたのである。

類小大之稱比終始之序

小大の称(たた)えを分類し、終始の順序をならべ、

以象事行使親疏貴賤長幼男女之理皆形見於樂

事行を象(かたど)るを以って、親疏、貴賤、長幼、男女の理をして皆(みな)音楽に於いて形(かたち)にしてあらわれさせた。

故曰樂觀其深矣

故(ゆえ)に曰く、「音楽はその深さを観(み)る」と。

土敝則草木不長水煩則魚鱉不大

土が疲弊すれば草木は成長せず、川が煩(わずら)えば、魚、鱉(すっぽん)は大きくならず、

氣衰則生物不育世亂則禮廢而樂淫

気が衰(おとろ)えれば生物は育たず、世が乱れれば礼が廃(すた)れて、音楽が淫(みだ)らになる。

是故其聲哀而不莊樂而不安

この故(ゆえ)のその声(響き)は哀(かな)しくしておもおもしくなく、楽しんでも安んじず、

慢易以犯節流湎以忘本

慢易(まんい ばかにする、あなどる)と節(せつ)を犯(おか)すを以ってし、流湎と流れて本(もと)を忘れるを以ってし、

廣則容姦狹則思欲

広ければ不正を容(い)れ、狭(せま)ければ欲(よく)を思い、

感滌蕩之氣而滅平和之

滌蕩(できとう 洗い去る)の気を感じて、平和の徳を滅ぼす。

是以君子賤之也

ここに君子を以ってこれを賤(いや)しむのである。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 2176

Trending Articles