誠能聽臣之計莫若兩利而俱存之
誠(まこと)にわたしの計(はか)りごとを聴き入れることができるなら、二つの利(り)にしてともにこれを存(ながら)えさせ、
參分天下鼎足而居其勢莫敢先動
天下を三分して、鼎(かなえ)の足(あし 鼎は三脚)のように居(お)るにこしたことはありません。その勢いは敢(あ)えて先(さき)に動こうとしないでしょう。
夫以足下之賢聖有甲兵之眾據彊齊
それ、足下(斉王韓信)の賢聖を以って、鎧(よろい)をつけた兵の衆を有(ゆう)し、強い斉に拠(よ)りて、
從燕趙出空虛之地而制其後
空(から)っぽの地に出てその後(うし)ろを制(せい)し、燕、趙を従(したが)えるに、
因民之欲西鄉為百姓請命則天下風走而響應矣
民の欲するに因(よ)り、西に向って百姓の為(ため)に命ずるを請(こ)えば、天下は風のように走って響応(きょうおう)して、
孰敢不聽邦大弱彊以立諸侯
誰が敢(あ)えて聴き入れないでしょうか。領地は弱も強も諸侯を立てるを以って大きくなり、
諸侯已立天下服聽而歸於齊
諸侯がすでに立てば、天下は斉に於いて服(ふく)し聴き入れて恩(おん)に帰(き)することでしょう。
案齊之故有膠泗之地懷諸侯以
斉の故地をなでやすんじ、膠、泗の地を有(ゆう)するに、諸侯を徳を以って懐(なつ)け、
深拱揖讓則天下之君王相率而朝於齊矣
深く手を拱(こまね)いて揖讓(両手を胸の前てあわせておじぎをすること)すれば、天下の君王は
相(あい)率(ひき)いて斉に朝(ちょう)することでしょう。
蓋聞天與弗取反受其咎
おもうに聞きます、天が与(あた)えて取らないければ、かえってその咎(とが)を受け、
時至不行反受其殃願足下孰慮之
好機が至っても行わなければ、帰ってそのわざわいを受けると。願わくは、足下(斉王韓信)にはこれをご熟慮(じゅくりょ)ください」と。
誠(まこと)にわたしの計(はか)りごとを聴き入れることができるなら、二つの利(り)にしてともにこれを存(ながら)えさせ、
參分天下鼎足而居其勢莫敢先動
天下を三分して、鼎(かなえ)の足(あし 鼎は三脚)のように居(お)るにこしたことはありません。その勢いは敢(あ)えて先(さき)に動こうとしないでしょう。
夫以足下之賢聖有甲兵之眾據彊齊
それ、足下(斉王韓信)の賢聖を以って、鎧(よろい)をつけた兵の衆を有(ゆう)し、強い斉に拠(よ)りて、
從燕趙出空虛之地而制其後
空(から)っぽの地に出てその後(うし)ろを制(せい)し、燕、趙を従(したが)えるに、
因民之欲西鄉為百姓請命則天下風走而響應矣
民の欲するに因(よ)り、西に向って百姓の為(ため)に命ずるを請(こ)えば、天下は風のように走って響応(きょうおう)して、
孰敢不聽邦大弱彊以立諸侯
誰が敢(あ)えて聴き入れないでしょうか。領地は弱も強も諸侯を立てるを以って大きくなり、
諸侯已立天下服聽而歸於齊
諸侯がすでに立てば、天下は斉に於いて服(ふく)し聴き入れて恩(おん)に帰(き)することでしょう。
案齊之故有膠泗之地懷諸侯以
斉の故地をなでやすんじ、膠、泗の地を有(ゆう)するに、諸侯を徳を以って懐(なつ)け、
深拱揖讓則天下之君王相率而朝於齊矣
深く手を拱(こまね)いて揖讓(両手を胸の前てあわせておじぎをすること)すれば、天下の君王は
相(あい)率(ひき)いて斉に朝(ちょう)することでしょう。
蓋聞天與弗取反受其咎
おもうに聞きます、天が与(あた)えて取らないければ、かえってその咎(とが)を受け、
時至不行反受其殃願足下孰慮之
好機が至っても行わなければ、帰ってそのわざわいを受けると。願わくは、足下(斉王韓信)にはこれをご熟慮(じゅくりょ)ください」と。