太白主中國而胡貉數侵掠
太白(金星)は中国を主(つかさどる)し、しこうして胡、貉がたびたび侵掠し、
獨占辰星辰星出入躁疾常主夷狄
独(ひと)り辰星(水星)を占う。辰星の出入りは躁疾(せかせかとはやい)く、常(つね)に夷狄を主(つかさどる)する。
其大經也此更為客主人
その大経(おおまかなみちすじ)である。これらは更(こもごもに かわるがわる)に客、主人に為る。
熒惑為孛外則理兵內則理政
熒惑(火星)は勃乱(悖乱)を為し、外ならば兵に利(り 理(り)=利(り)?)し、内ならば政治に利(り 理(り)=利(り)?)する。
故曰雖有明天子必視熒惑所在
故(ゆえ)に曰く、「明天子がいると雖(いえど)も、必ず熒惑(火星)の所在(しょざい)を視る」と。
諸侯更彊時菑異記無可錄者
諸侯は更(こもごもに)に強くなり、時の菑(わざわい)は記すを異(こと)にし、記録することができるものが無い。
秦始皇之時十五年彗星四見久者八十日長或竟天
秦の始皇帝の時、十五年で彗星(すいせい)が四度現われ、久しくいたものは、八十日で、長さは或(あ)るものは天に竟(あまねく)した。
其後秦遂以兵滅六王并中國外攘四夷
その後、秦は遂(つい)に兵を以って六王を滅ぼして、中国を併(あわ)せ、外に四夷(四方の異民族)を攘(おいはらう)した。
死人如亂麻因以張楚并起
死人は乱麻(らんま 入り乱れて多いさま)の如(ごと)く、因(よ)りて、張楚(陳渉)を以ってならび起こり、
三十年之兵相駘藉不可勝數
三十年の間、兵は相(あい)駘藉(とりとめもなく乱れるさま)し、すべて数えあげることができない。
自蚩尤以來未嘗若斯也
蚩尤(黄帝時代の諸侯名)より以来、未(いま)だ嘗(かつ)てこのごとくはないのである。
項羽救鉅鹿枉矢西流
項羽が(趙の)鉅鹿を救(すく)ったとき、枉矢(大流星に類する)が西に流れ、
山東遂合從諸侯西坑秦人誅屠咸陽
山東は遂(つい)に諸侯を合従(ごうじゅう)し、西に秦人を坑(穴埋め)にし、咸陽を誅屠(誅(ちゅう)し屠(ほふ)る)した。
漢之興五星聚于東井平城之圍
漢が興(おこ)ったとき、五星が東井に聚(集まる)した。平城の圍(包囲)では、
月暈參畢七重諸呂作亂日蝕晝晦
月は暈(まわりにあらわれる光の輪)し、参(おそらくカペラ 通説とは異なります)、畢(おそらくアルデバラン)が七重(ななえ)になった。諸(もろもろ)の呂氏が作乱したときは、日蝕になり、昼間が晦(闇(やみ))になった。
太白(金星)は中国を主(つかさどる)し、しこうして胡、貉がたびたび侵掠し、
獨占辰星辰星出入躁疾常主夷狄
独(ひと)り辰星(水星)を占う。辰星の出入りは躁疾(せかせかとはやい)く、常(つね)に夷狄を主(つかさどる)する。
其大經也此更為客主人
その大経(おおまかなみちすじ)である。これらは更(こもごもに かわるがわる)に客、主人に為る。
熒惑為孛外則理兵內則理政
熒惑(火星)は勃乱(悖乱)を為し、外ならば兵に利(り 理(り)=利(り)?)し、内ならば政治に利(り 理(り)=利(り)?)する。
故曰雖有明天子必視熒惑所在
故(ゆえ)に曰く、「明天子がいると雖(いえど)も、必ず熒惑(火星)の所在(しょざい)を視る」と。
諸侯更彊時菑異記無可錄者
諸侯は更(こもごもに)に強くなり、時の菑(わざわい)は記すを異(こと)にし、記録することができるものが無い。
秦始皇之時十五年彗星四見久者八十日長或竟天
秦の始皇帝の時、十五年で彗星(すいせい)が四度現われ、久しくいたものは、八十日で、長さは或(あ)るものは天に竟(あまねく)した。
其後秦遂以兵滅六王并中國外攘四夷
その後、秦は遂(つい)に兵を以って六王を滅ぼして、中国を併(あわ)せ、外に四夷(四方の異民族)を攘(おいはらう)した。
死人如亂麻因以張楚并起
死人は乱麻(らんま 入り乱れて多いさま)の如(ごと)く、因(よ)りて、張楚(陳渉)を以ってならび起こり、
三十年之兵相駘藉不可勝數
三十年の間、兵は相(あい)駘藉(とりとめもなく乱れるさま)し、すべて数えあげることができない。
自蚩尤以來未嘗若斯也
蚩尤(黄帝時代の諸侯名)より以来、未(いま)だ嘗(かつ)てこのごとくはないのである。
項羽救鉅鹿枉矢西流
項羽が(趙の)鉅鹿を救(すく)ったとき、枉矢(大流星に類する)が西に流れ、
山東遂合從諸侯西坑秦人誅屠咸陽
山東は遂(つい)に諸侯を合従(ごうじゅう)し、西に秦人を坑(穴埋め)にし、咸陽を誅屠(誅(ちゅう)し屠(ほふ)る)した。
漢之興五星聚于東井平城之圍
漢が興(おこ)ったとき、五星が東井に聚(集まる)した。平城の圍(包囲)では、
月暈參畢七重諸呂作亂日蝕晝晦
月は暈(まわりにあらわれる光の輪)し、参(おそらくカペラ 通説とは異なります)、畢(おそらくアルデバラン)が七重(ななえ)になった。諸(もろもろ)の呂氏が作乱したときは、日蝕になり、昼間が晦(闇(やみ))になった。