信嘗過樊將軍噲噲跪拜送迎
淮陰侯韓信が嘗(かつ)て樊將軍噲に立ち寄ったとき、樊將軍噲は送迎に跪(ひさまず)いて拝礼(はいれい)して、
言稱臣曰大王乃肯臨臣
臣(しん)を称(しょう)して言った、曰く、「大王(淮陰侯韓信)がなんとわたしのところへよくおいでくださいました」と。
信出門笑曰生乃與噲等為伍
淮陰侯韓信は門を出て笑って曰く、「生きてすなわち、なんじらと仲間に為った」と。
上常從容與信言諸將能不各有差
上(うえ 漢高帝劉邦)は常(つね)に従容(しょうよう)としており、淮陰侯韓信とともに諸(もろもろ)の将軍の能、不能を言い、各(おのおの)に差(さ)をつけた。
上問曰如我能將幾何信曰
上(うえ)は問(と)うて曰く、「我(われ)の如(ごと)くはどれぐらいを率(ひき)いることができるだろうか」と。淮陰侯韓信曰く、
陛下不過能將十萬上曰
「陛下は十万人を率(ひき)いることができるに過ぎません」と。上(うえ)曰く、
於君何如曰臣多多而益善耳
「君に於いてはどうか?」と。曰く、「わたしは多ければ多いほどますます善(よ)く率(ひき)いることができて、それのみです」と。
上笑曰多多益善何為為我禽
上(うえ)は笑って曰く、「多ければ多いほど善(よ)いのなら、どうして我(われ)の生け捕りと為(な)るを為(な)したのか?」と。
信曰陛下不能將兵而善將將
淮陰侯韓信曰く、「陛下は兵を率(ひき)いることはできませんが、しかし将軍を率(ひき)いることにすぐれています。
此乃言之所以為陛下禽也
これがすなわち陛下の生け捕りと為った理由の言(げん)であります。
且陛下所謂天授非人力也
まさに陛下は天授(てんじゅ)と謂(い)うところで、人間の能力では非(あら)ざるなり」と。
淮陰侯韓信が嘗(かつ)て樊將軍噲に立ち寄ったとき、樊將軍噲は送迎に跪(ひさまず)いて拝礼(はいれい)して、
言稱臣曰大王乃肯臨臣
臣(しん)を称(しょう)して言った、曰く、「大王(淮陰侯韓信)がなんとわたしのところへよくおいでくださいました」と。
信出門笑曰生乃與噲等為伍
淮陰侯韓信は門を出て笑って曰く、「生きてすなわち、なんじらと仲間に為った」と。
上常從容與信言諸將能不各有差
上(うえ 漢高帝劉邦)は常(つね)に従容(しょうよう)としており、淮陰侯韓信とともに諸(もろもろ)の将軍の能、不能を言い、各(おのおの)に差(さ)をつけた。
上問曰如我能將幾何信曰
上(うえ)は問(と)うて曰く、「我(われ)の如(ごと)くはどれぐらいを率(ひき)いることができるだろうか」と。淮陰侯韓信曰く、
陛下不過能將十萬上曰
「陛下は十万人を率(ひき)いることができるに過ぎません」と。上(うえ)曰く、
於君何如曰臣多多而益善耳
「君に於いてはどうか?」と。曰く、「わたしは多ければ多いほどますます善(よ)く率(ひき)いることができて、それのみです」と。
上笑曰多多益善何為為我禽
上(うえ)は笑って曰く、「多ければ多いほど善(よ)いのなら、どうして我(われ)の生け捕りと為(な)るを為(な)したのか?」と。
信曰陛下不能將兵而善將將
淮陰侯韓信曰く、「陛下は兵を率(ひき)いることはできませんが、しかし将軍を率(ひき)いることにすぐれています。
此乃言之所以為陛下禽也
これがすなわち陛下の生け捕りと為った理由の言(げん)であります。
且陛下所謂天授非人力也
まさに陛下は天授(てんじゅ)と謂(い)うところで、人間の能力では非(あら)ざるなり」と。