於是濟北王以為天子且封禪乃上書獻太山及其旁邑天子以他縣償之
ここに於いて済北王は天子(漢孝武帝劉徹)がまさに封禅をせんとすると思い、そこで、上書して太山及びその傍(かたわ)らの邑(むら)を献じ、天子(漢孝武帝劉徹)は他県を以ってこれに償(つぐな)った。
常山王有罪遷天子封其弟於真定以續先王祀而以常山為郡然後五岳皆在天子之(邦)[郡]
常山王が有罪になって遷(うつ)され、天子(漢孝武帝劉徹)はその弟を真定に封じ、先王の祀(まつ)りを続けさせるを以ってし、しこうして、常山を以って郡と為し、然(しか)る後、五つの岳(山)は皆(みな)天子(漢孝武帝劉徹)の邦(くに)に在った。
其明年齊人少翁以鬼神方見上
その明くる年、斉人の少翁が鬼神の方術を以って上(漢孝武帝劉徹)に見(まみ)えた。
上有所幸王夫人夫人卒少翁以方蓋夜致王夫人及灶鬼之貌云天子自帷中望見焉
上(漢孝武帝劉徹)には幸(寵愛する)するところの王夫人が有り、王夫人が卒(なくなる)し、少翁が方術を以って思うに夜、王夫人の痩躯(やせこけたからだ 灶鬼(そうき)=痩躯(そうく)?)の及(ごとく =如)の貌(すがた)を致(まねく)したと云(い)う。天子(漢孝武帝劉徹)は帷(とばり)の中から望み見たのである。
於是乃拜少翁為文成將軍賞賜甚多以客禮禮之
ここに於いてすなわち少翁に拝(官をさずける)して文成将軍と為さしめ、賞賜(しょうし)は甚(はなは)だ多く、客礼を以ってこれに礼した。
文成言曰上即欲與神通宮室被服非象神神物不至
文成将軍少翁は言った、曰く、「上はすなわち神と通うことを欲していますが、宮室、被服は神を象(かたど)っておらず、神物は至りません。
乃作畫雲氣車及各以勝日駕車辟惡鬼
そこで雲気車(暈気(うんき)の輪?)を作画(さくが)して、各(おのおの)が日駕車(晏駕車?)に勝(まさ)るを以って悪鬼を避(さ)けるがごとく(及=如?)した。
又作甘泉宮中為臺室畫天地太一諸鬼神而置祭具以致天神
また。甘泉宮を作り、中には台室をつくり、天一、地一、太一、諸(もろもろ)の鬼神を画(えが)き、祭具を置いて天神を致(まねく)すを以ってした。
居歲餘其方益衰神不至乃為帛書以飯牛詳不知言曰此牛腹中有奇
居ること一年余りして、その方術は益々(ますます)衰(おとろ)え、神が至らなかった。そこで、帛書(絹布に書き付けた手紙)をつくり、牛(うし)に食べさせるを以ってし、いつわって知らないふりをして、言った、曰く、「この牛の腹の中に不思議なものが有ります」と。
殺視得書書言甚怪
殺して視(み)ると書を得た。書は甚(はなは)だ怪(あや)しいことを言った。
天子識其手書問其人果是偽書於是誅文成將軍隱之
天子(漢孝武帝劉徹)はその手書きの文字に見覚えがあり、その人に問うと、果(は)たしてこれは偽書であった。ここに於いて文成将軍少翁を誅(ちゅう)し、これを隠(かく)した。
ここに於いて済北王は天子(漢孝武帝劉徹)がまさに封禅をせんとすると思い、そこで、上書して太山及びその傍(かたわ)らの邑(むら)を献じ、天子(漢孝武帝劉徹)は他県を以ってこれに償(つぐな)った。
常山王有罪遷天子封其弟於真定以續先王祀而以常山為郡然後五岳皆在天子之(邦)[郡]
常山王が有罪になって遷(うつ)され、天子(漢孝武帝劉徹)はその弟を真定に封じ、先王の祀(まつ)りを続けさせるを以ってし、しこうして、常山を以って郡と為し、然(しか)る後、五つの岳(山)は皆(みな)天子(漢孝武帝劉徹)の邦(くに)に在った。
其明年齊人少翁以鬼神方見上
その明くる年、斉人の少翁が鬼神の方術を以って上(漢孝武帝劉徹)に見(まみ)えた。
上有所幸王夫人夫人卒少翁以方蓋夜致王夫人及灶鬼之貌云天子自帷中望見焉
上(漢孝武帝劉徹)には幸(寵愛する)するところの王夫人が有り、王夫人が卒(なくなる)し、少翁が方術を以って思うに夜、王夫人の痩躯(やせこけたからだ 灶鬼(そうき)=痩躯(そうく)?)の及(ごとく =如)の貌(すがた)を致(まねく)したと云(い)う。天子(漢孝武帝劉徹)は帷(とばり)の中から望み見たのである。
於是乃拜少翁為文成將軍賞賜甚多以客禮禮之
ここに於いてすなわち少翁に拝(官をさずける)して文成将軍と為さしめ、賞賜(しょうし)は甚(はなは)だ多く、客礼を以ってこれに礼した。
文成言曰上即欲與神通宮室被服非象神神物不至
文成将軍少翁は言った、曰く、「上はすなわち神と通うことを欲していますが、宮室、被服は神を象(かたど)っておらず、神物は至りません。
乃作畫雲氣車及各以勝日駕車辟惡鬼
そこで雲気車(暈気(うんき)の輪?)を作画(さくが)して、各(おのおの)が日駕車(晏駕車?)に勝(まさ)るを以って悪鬼を避(さ)けるがごとく(及=如?)した。
又作甘泉宮中為臺室畫天地太一諸鬼神而置祭具以致天神
また。甘泉宮を作り、中には台室をつくり、天一、地一、太一、諸(もろもろ)の鬼神を画(えが)き、祭具を置いて天神を致(まねく)すを以ってした。
居歲餘其方益衰神不至乃為帛書以飯牛詳不知言曰此牛腹中有奇
居ること一年余りして、その方術は益々(ますます)衰(おとろ)え、神が至らなかった。そこで、帛書(絹布に書き付けた手紙)をつくり、牛(うし)に食べさせるを以ってし、いつわって知らないふりをして、言った、曰く、「この牛の腹の中に不思議なものが有ります」と。
殺視得書書言甚怪
殺して視(み)ると書を得た。書は甚(はなは)だ怪(あや)しいことを言った。
天子識其手書問其人果是偽書於是誅文成將軍隱之
天子(漢孝武帝劉徹)はその手書きの文字に見覚えがあり、その人に問うと、果(は)たしてこれは偽書であった。ここに於いて文成将軍少翁を誅(ちゅう)し、これを隠(かく)した。