曲周侯酈商者高陽人
曲周侯酈商という者は高陽の人である。
陳勝起時商聚少年東西略人得數千
陳勝が立ち上がった時、酈商は東西に人を略取して少年を集め、数千人を得た。
沛公略地至陳留六月餘商以將卒四千人屬沛公於岐
沛公劉邦が地を略取して陳留に至り、六ヶ月余り、酈商は歩兵四千人を率(ひき)いるを以って岐に於いて沛公劉邦に属(ぞく)した。
從攻長社先登賜爵封信成君
長社に攻(せ)めに従(したが)い、先鋒(せんぽう)したので、爵封の信成君を賜(たま)わった。
從沛公攻緱氏絕河津破秦軍洛陽東
沛公劉邦の緱氏攻(ぜ)めに従(したが)い、河の船着場を絶(た)って、秦軍を洛陽の東で破(やぶ)った。
從攻下宛穰定十七縣別將攻旬關定漢中
下宛、穰攻めに従(したが)い、十七県を平定した。別(わか)れて率(ひき)い旬関を攻(せ)め、漢中を平定した。
項羽滅秦立沛公為漢王
楚上将軍魯公項羽が秦を滅ぼし、沛公劉邦を立てて漢王と為した。
漢王賜商爵信成君以將軍為隴西都尉
漢王劉邦は酈商に信成君の爵を賜(たま)わり、漢将軍を以って隴西都尉と為した。
別將定北地上郡
別(わか)れて率(ひき)い、北地、上郡を平定した。
破雍將軍焉氏周類軍栒邑蘇駔軍於泥陽
雍の將軍焉氏、周類軍を栒邑で破(やぶ)り、雍の蘇駔軍を泥陽に於いて破(やぶ)った。
賜食邑武成六千戶
食邑(領土)武成の六千戸を賜(たま)わった。
以隴西都尉從擊項籍軍五月出鉅野
漢隴西都尉を以って西楚覇王項籍(項羽)軍を撃(う)ちに従うこと五ヶ月、鉅野に出(い)でて、
與鐘離眛戰疾鬬受梁相國印益食邑四千戶
楚将鐘離眛と戦い、はげしく闘(たたか)ったので、梁相国の印をさずかり、食邑四千戸を益封された。
以梁相國將從擊項羽二歲三月攻胡陵
梁相国を以って率(ひき)い項羽(西楚覇王項羽)を撃(う)ちに従(したが)うこと二年三ヶ月、胡陵を攻(せ)めた。
項羽既已死漢王為帝
西楚覇王項羽がすでに死に、漢王劉邦が皇帝に為った。
其秋燕王臧荼反商以將軍從擊荼
その秋、燕王臧荼が叛(そむ)き、梁相国信成君酈商は将軍を以って燕王臧荼を撃(う)ちに従(したが)い、
戰龍脫先登陷陣破荼軍易下卻敵
龍脱に戦い、先鋒して陣を陥(おとしい)れ、燕王臧荼を易の下(もと)で破(やぶ)り、敵をしりぞけた。
遷為右丞相賜爵列侯與諸侯剖符世世勿絕
遷(うつ)して漢右丞相と成し、列侯の爵を賜(たまわ)り、諸侯の剖符を与(あた)え、代々絶えることないようにし、
食邑涿五千戶號曰涿侯
食邑の涿の五千戸を与(あた)えられ、号(ごう)して涿侯といった。
以右丞相別定上谷因攻代受趙相國印
漢右丞相を以って別(わか)れて上谷を平定し、因(よ)りて代を攻(せ)めたので、趙相国の印をさずかった。
曲周侯酈商という者は高陽の人である。
陳勝起時商聚少年東西略人得數千
陳勝が立ち上がった時、酈商は東西に人を略取して少年を集め、数千人を得た。
沛公略地至陳留六月餘商以將卒四千人屬沛公於岐
沛公劉邦が地を略取して陳留に至り、六ヶ月余り、酈商は歩兵四千人を率(ひき)いるを以って岐に於いて沛公劉邦に属(ぞく)した。
從攻長社先登賜爵封信成君
長社に攻(せ)めに従(したが)い、先鋒(せんぽう)したので、爵封の信成君を賜(たま)わった。
從沛公攻緱氏絕河津破秦軍洛陽東
沛公劉邦の緱氏攻(ぜ)めに従(したが)い、河の船着場を絶(た)って、秦軍を洛陽の東で破(やぶ)った。
從攻下宛穰定十七縣別將攻旬關定漢中
下宛、穰攻めに従(したが)い、十七県を平定した。別(わか)れて率(ひき)い旬関を攻(せ)め、漢中を平定した。
項羽滅秦立沛公為漢王
楚上将軍魯公項羽が秦を滅ぼし、沛公劉邦を立てて漢王と為した。
漢王賜商爵信成君以將軍為隴西都尉
漢王劉邦は酈商に信成君の爵を賜(たま)わり、漢将軍を以って隴西都尉と為した。
別將定北地上郡
別(わか)れて率(ひき)い、北地、上郡を平定した。
破雍將軍焉氏周類軍栒邑蘇駔軍於泥陽
雍の將軍焉氏、周類軍を栒邑で破(やぶ)り、雍の蘇駔軍を泥陽に於いて破(やぶ)った。
賜食邑武成六千戶
食邑(領土)武成の六千戸を賜(たま)わった。
以隴西都尉從擊項籍軍五月出鉅野
漢隴西都尉を以って西楚覇王項籍(項羽)軍を撃(う)ちに従うこと五ヶ月、鉅野に出(い)でて、
與鐘離眛戰疾鬬受梁相國印益食邑四千戶
楚将鐘離眛と戦い、はげしく闘(たたか)ったので、梁相国の印をさずかり、食邑四千戸を益封された。
以梁相國將從擊項羽二歲三月攻胡陵
梁相国を以って率(ひき)い項羽(西楚覇王項羽)を撃(う)ちに従(したが)うこと二年三ヶ月、胡陵を攻(せ)めた。
項羽既已死漢王為帝
西楚覇王項羽がすでに死に、漢王劉邦が皇帝に為った。
其秋燕王臧荼反商以將軍從擊荼
その秋、燕王臧荼が叛(そむ)き、梁相国信成君酈商は将軍を以って燕王臧荼を撃(う)ちに従(したが)い、
戰龍脫先登陷陣破荼軍易下卻敵
龍脱に戦い、先鋒して陣を陥(おとしい)れ、燕王臧荼を易の下(もと)で破(やぶ)り、敵をしりぞけた。
遷為右丞相賜爵列侯與諸侯剖符世世勿絕
遷(うつ)して漢右丞相と成し、列侯の爵を賜(たまわ)り、諸侯の剖符を与(あた)え、代々絶えることないようにし、
食邑涿五千戶號曰涿侯
食邑の涿の五千戸を与(あた)えられ、号(ごう)して涿侯といった。
以右丞相別定上谷因攻代受趙相國印
漢右丞相を以って別(わか)れて上谷を平定し、因(よ)りて代を攻(せ)めたので、趙相国の印をさずかった。