大行設九賓臚傳於是皇帝輦出房
大行(大鴻臚(官名))が九賓礼を設(しつら)え、伝言を伝えた。ここに於いて皇帝の手車(てぐるま)が部屋から出て、
百官執職傳警引諸侯王以下至吏六百石以次奉賀
百官がのぼり旗を執(と)ってさきばらいを伝え、諸侯王以下六百石の役人までを導(みちび)いて、順次を以って賀(が)を奉(たてまつ)らせた。
自諸侯王以下莫不振恐肅敬至禮畢
諸侯王より以下恐(おそ)れ振(ふ)るえない者はなく、つつしみうやまった。礼が終わるに至ると、
復置法酒諸侍坐殿上皆伏抑首以尊卑次起上壽
また酒の儀(ぎ)を置いた。諸(もろもろ)の殿上(でんじょう)に侍(じ)して座(すわ)る者は皆(みな)伏(ふ)して頭を下(さ)げ、尊卑(そんぴ)の順次を以って立ち上がって寿(ことほ)ぎを申し上げた。
觴九行謁者言罷酒御史執法舉不如儀者輒引去
杯(さかずき)がなんどもふるまわれると、謁者(官名)が言った、酒の儀を終えます、と。
御史(官名)が手法(しゅほう)を執(と)り儀(ぎ)のごとくしない者を挙(あ)げてそのたびごとに引いて去(さ)らせた。
竟朝置酒無敢讙譁失禮者於是高帝曰
午前中、酒宴を置き、敢(あ)えてさわがしくして礼を失(うしな)う者はなかった。ここに於いて漢高帝劉邦曰く、
吾乃今日知為皇帝之貴也
「吾(われ)はすなわち、今日、皇帝としての貴(とうと)さを知った」と。
乃拜叔孫通為太常賜金五百斤
そこで、漢博士稷嗣君叔孫通に官をさずけて太常と為し、金五百斤を賜(たま)わった。
叔孫通因進曰諸弟子儒生隨臣久矣
漢太常稷嗣君叔孫通は因(よ)りて進み出て曰く、「諸(もろもろ)の弟子の儒学者はわたしに従うこと久(ひさ)しく、
與臣共為儀願陛下官之高帝悉以為郎
わたしと共(とも)に儀をつくりました。願わくは、陛下にはこれを官にしてください」と。
漢高帝劉邦はことごとくみな郎(官名)と為すを以ってした。
叔孫通出皆以五百斤金賜諸生
漢太常稷嗣君叔孫通が退出すると、皆(みな)五百斤の黄金を以って諸(もろもろ)の儒学者に賜(たま)わった。
諸生乃皆喜曰叔孫生誠聖人也知當世之要務
諸(もろもろ)の儒学者はすなわち皆(みな)喜んで曰く、「叔孫先生は誠(まこと)に聖人である。当世(とうせい)の要務(ようむ)を知っている」と。
大行(大鴻臚(官名))が九賓礼を設(しつら)え、伝言を伝えた。ここに於いて皇帝の手車(てぐるま)が部屋から出て、
百官執職傳警引諸侯王以下至吏六百石以次奉賀
百官がのぼり旗を執(と)ってさきばらいを伝え、諸侯王以下六百石の役人までを導(みちび)いて、順次を以って賀(が)を奉(たてまつ)らせた。
自諸侯王以下莫不振恐肅敬至禮畢
諸侯王より以下恐(おそ)れ振(ふ)るえない者はなく、つつしみうやまった。礼が終わるに至ると、
復置法酒諸侍坐殿上皆伏抑首以尊卑次起上壽
また酒の儀(ぎ)を置いた。諸(もろもろ)の殿上(でんじょう)に侍(じ)して座(すわ)る者は皆(みな)伏(ふ)して頭を下(さ)げ、尊卑(そんぴ)の順次を以って立ち上がって寿(ことほ)ぎを申し上げた。
觴九行謁者言罷酒御史執法舉不如儀者輒引去
杯(さかずき)がなんどもふるまわれると、謁者(官名)が言った、酒の儀を終えます、と。
御史(官名)が手法(しゅほう)を執(と)り儀(ぎ)のごとくしない者を挙(あ)げてそのたびごとに引いて去(さ)らせた。
竟朝置酒無敢讙譁失禮者於是高帝曰
午前中、酒宴を置き、敢(あ)えてさわがしくして礼を失(うしな)う者はなかった。ここに於いて漢高帝劉邦曰く、
吾乃今日知為皇帝之貴也
「吾(われ)はすなわち、今日、皇帝としての貴(とうと)さを知った」と。
乃拜叔孫通為太常賜金五百斤
そこで、漢博士稷嗣君叔孫通に官をさずけて太常と為し、金五百斤を賜(たま)わった。
叔孫通因進曰諸弟子儒生隨臣久矣
漢太常稷嗣君叔孫通は因(よ)りて進み出て曰く、「諸(もろもろ)の弟子の儒学者はわたしに従うこと久(ひさ)しく、
與臣共為儀願陛下官之高帝悉以為郎
わたしと共(とも)に儀をつくりました。願わくは、陛下にはこれを官にしてください」と。
漢高帝劉邦はことごとくみな郎(官名)と為すを以ってした。
叔孫通出皆以五百斤金賜諸生
漢太常稷嗣君叔孫通が退出すると、皆(みな)五百斤の黄金を以って諸(もろもろ)の儒学者に賜(たま)わった。
諸生乃皆喜曰叔孫生誠聖人也知當世之要務
諸(もろもろ)の儒学者はすなわち皆(みな)喜んで曰く、「叔孫先生は誠(まこと)に聖人である。当世(とうせい)の要務(ようむ)を知っている」と。