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Channel: 倭人伝を解く
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十七年上賜湯璽書

十七年上賜湯璽書曰 開皇十七年、上は湯に璽書を賜り曰く、 朕受天命愛育率土 「朕は天命を受け、率土(天下すべて)を愛育(大事に育てる)し、 委王海隅宣揚朝化 王に海隅を委ね、朝化を宣揚(広く天下に表す)し、 欲使圓首方足各遂其心 円首方足(人間のこと)をつかわすことを欲し、その心を格遂(きわめる 各=格?)した。 王每遣使人歲常朝貢 王は毎(いつも)使人を遣わし、歳(一年)に常に朝貢し、...

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王既人臣

王既人臣須同朕 王は人臣として、須(ついに)に朕の徳を同じにし、 而乃驅逼靺鞨固禁契丹 しこうして乃ち靺鞨を駆逼(追い立てる)し、契丹を固禁(とじこめる)し、 諸籓頓顙為我臣妾 諸藩は頓顙(ぬかずく)して、我が臣妾(人に服従する者)に為った。 忿善人之慕義何毒害之情深乎 善人の慕義に奮(ふるいたつ 忿(フン)=奮(フン)?)し、どうして毒害の情が深まるだろうか。

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太府工人其數不少

太府工人其數不少王必須之自可聞奏 太府の工人(大工)は、その数は少なくはなく、王はこれを必須(必要)とし、自ら聞奏(奏上)するべきである。 昔年潛行財貨利動小人 昔年(昔)、潛(ひそかに)に財貨を行(つかう)して、小人(人格の低い人)を利動し、 私將弩手逃竄下國 私(ひそかに)に弩手(石弓の射手)を将(ひきいる)し、下国(地方)に盗鈔(かすめぬすむ 逃(トウ)=盗(トウ)?竄(サン)=鈔(ソウ)?)した。

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豈非修理兵器

豈非修理兵器 どうして兵器を修理(つくろう)しないことがあろうか。 意欲不臧 意欲は臧(善い)ではなく、 恐有外聞 合併(あわせる 外(ガイ)=合(ゴウ)? 聞(ブン)=併(ビン)の有るを恐れ、 故為盜竊 故に盗視(ひそかにみる 窃(セツ)=視(シー)?)を為す。

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時命使者撫尉王籓

時命使者撫尉王籓 時に使者に命(いいつける)して、王の藩を撫尉(落ち着かせなぐさめる)し、 本欲問彼人情教彼政術 もとよりの欲(ねがう)は彼の人情を問(ただす)い、彼の政術を教(人をみちびきさとす)させた。 王乃坐之空館嚴加防守 王は乃ちこれを空館に坐(むなしく)し、厳しく防守を加え、 使其閉目塞耳永無聞見 その目を閉じさせ耳を塞がせて、永(なが)く聞見(告げ知らせにまみえる)は無し。

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有何陰惡弗欲人知

有何陰惡弗欲人知 何(いくばく)の陰悪(隠れた悪事)を有し、人知(人間の知恵)を欲さず、 禁制官司畏其訪察 官司を禁制し、その訪察を畏(おそ)れる。 又數遣馬騎殺害邊人 また数(たびたび)馬騎を遣わし、辺人(辺りの人々)を殺害し、屢馳奸謀動作邪說心在不賓 奸謀(よこしまなはかりごと)に屢馳(速く馬を走らせる)し、邪説(不正な説)に動作し、心は不賓(服従しない)に在る。

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朕於蒼生

朕於蒼生悉如赤子 朕は蒼生(人民)に於いて、赤子(赤ん坊)に如(及ぶ)するまで悉(知りつくす)する。 賜王土宇授王官爵 王に土宇(領土)を賜り、王に官爵を授け、 深恩殊澤彰著遐邇 深恩(深い恩)、殊沢(すぐれためぐみ)は、遐邇(遠い所と近い所)に彰著(明かにあらわす)する。

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王專懷不信

王專懷不信恆自猜疑 王は専ら不信を懐き、恒(つね)に自ら猜疑し、 常遣使人密覘消息 常に使人を遣わし、消息を密覘(ひそかにうかがう)する、 純臣之義豈若是也 純臣の義は、どうして是(これ)のごとくであろうか。

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蓋當由朕訓導不明

蓋當由朕訓導不明 蓋(思うに)に、当(まさに)に朕に由る訓導は不明で、 王之愆違一已恕 王はこれを愆違(たがう)した。一に恕(ゆるす おおめにみる)を以て(已=以?)、 今日以後必須改革 今日以後、改革を必須とする。

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守籓臣之節

守籓臣之節奉朝正之典 藩臣の節を守り、朝正の典を奉り、 自化爾籓勿忤他國 自ら爾(なんじ)の藩を化(かえる)し、他国を忤(おかす)すること勿(なか)れ。 則長享富貴實稱朕心 そうすれば、富貴を長く享受して、実(まこと)に朕の心に称(かなう)するのである。

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彼之一方雖地狹人少

彼之一方雖地狹人少 彼の一方は、地が狭く、人が少ないと雖も、 然普天之下皆為朕臣 然るに普天(大空全部)の下、皆、朕の臣に為る。 今若黜王不可虛置 今、若し王を黜(しりぞける)すれば、虚置(からにしてすておく)することはできず、 終須更選官屬就彼安撫 終須(ついには)更(あらためる)に官属を選んで、彼の安撫に就ける。

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王若灑心易行率由憲章

王若灑心易行率由憲章 王が若し、心を灑(洗い清める)し、行いを易(あらためる)し、率(きまり)は憲章に由(よ)れば、 即是朕之良臣何勞別遣才彥也 即ち是が朕の良臣であり、どうして滅(ほろぼす 別(ベツ)=滅(ベツ)?)を労して、才彦(才能のある人物)を遣わそうか。 昔帝王作法仁信為先 昔の帝王の作法は、仁信が先(第一)で、 有善必賞有惡必罰 善が有れば必ず賞し、悪が有れば必ず罰し、 四海之內具聞朕旨...

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王若無罪朕忽加兵

王若無罪朕忽加兵 王が若し罪が無く、朕が忽ち兵を加えれば、 自餘籓國謂朕何也 自余(そのほか)の藩国は朕に何(どのように)を謂(おもう)うだろうか。 王必虛心納朕此意 王は必ず心を虚(から)にして朕の此の意を納め、 慎勿疑惑更懷異圖 慎んで疑惑、更に異(むほん)の図(はかりごと)を懐くこと勿(なか)れ。

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往者陳叔寶代在江陰

往者陳叔寶代在江陰 往者(さきに)、陳叔宝が代わって江陰に在し、 殘害人庶驚動我烽候 人庶(多くの人)を残害(ころす)し、我が烽候(のろしをあげる人?))を驚動し、 抄掠我邊境 我が辺境を抄掠(かすめる)した。

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朕前後誡敕經歷十年

朕前後誡敕經歷十年 朕は然(しかして 前(ゼン)=然(ゼン)?))して後(のち)に誡敕(いましめ)し、経歴(年月がたつ)すること十年、 彼則恃長江之外聚一隅之眾 彼は則ち長江の外に恃(たよる)して、一偶(一は同じ、偶は同類の意味で仲間の意? 隅(グウ)=偶(グウ)?)の衆を聚(あつめる)し、 昏狂驕傲不從朕言 昏狂(おろか)で、驕傲(おごりたかぶる)で、朕の言に従わなかった。

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故命將出師除彼兇逆

故命將出師除彼兇逆 故に将(将軍)に命じて師(軍隊)を出させ、彼の兇逆を除かせた。 來往不盈旬月兵騎不過數千 来往(行ったり来たりする)して旬月(一ヶ月?)に盈(満ちる)さず、兵騎は数千に過ぎず、歷代逋寇一朝清蕩 歴年(としどし 代(ダイ)=年(デン)?)の害寇(殺したり集団でうばいとる 逋(ホ)=害(ホー)?)は、一朝(わずかの時間)で清蕩(きよめる)され、 遐邇乂安人神胥...

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聞王嘆恨獨致悲傷

聞王嘆恨獨致悲傷 王が嘆恨(なげきうらむこと)し、独り悲傷(悲しみいたむ)に致すと聞く。 黜陟幽明有司是職 幽(暗愚)と明(賢明)を黜陟(しりぞけることと進めること)するは、有司(役人)の(是(シ)=之(シ)?)職(任務)で、 罪王不為陳滅賞王不為陳存 王が陳の滅亡を為(おもう)さずを罪(とがめる)し、王が陳の存続を為(おもう)さずを賞(ほめる)する。 樂禍好亂何為爾也...

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王謂遼水之廣何如長江

王謂遼水之廣何如長江 王は遼水(ナクトン川?)の広さをなんぞ長江のごとくに謂う。 高麗之人多少陳國 高麗の人は陳国を少(かろんじる)することが多い。 朕若不存含育責王前愆 朕が若し含優(耐え忍ぶやさしさ? 育(イク)=優(イウ)?)が不存(ない)ならば、王の前の愆(あやまち)を責め、 命一將軍何待多力 一人の将軍に命じて、どうして多くの力を待(必要とする)つだろうか。

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殷勤曉示許王自新耳

殷勤曉示許王自新耳 殷勤(てあつく親切なこと)曉示(はっきりと教えしめす)し、王が自ら新たにするを許すのみ。 宜得朕懷自求多福 宜しく朕の懐(ふところ)を得て、自ら多福を求めるべし。」と。 湯得書惶恐將奉表陳謝 湯は書を得て惶恐(おそれかしこまる)し、将(まさ)に表を奉(たてまつ)って陳謝した。 會病卒子元嗣立 会(ちょうどそのとき)、病卒(病死)した。子の元が嗣(あとをつぐ)して立った。

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高祖使使拜元為上開府儀同三司

高祖使使拜元為上開府儀同三司 高祖(隋文帝)は使者をつかわし元を拝して、上開府、儀同三司と為し、 襲爵遼東郡公賜衣一襲 爵、遼東郡公を襲(そのまま続ける)し、衣の一襲(上下そろいの衣服)を賜った。 元奉表謝恩並賀祥瑞 元は表を奉って謝恩し、並びに祥瑞を賀し、 因請封王高祖優冊元為王 因りて王に封ぜられることを請うた。高祖は元を優冊(手厚く爵位封禄をさずける)して王にした。

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