若今復違旨則過咎益露
若今復違旨則過咎益露 若(も)し、今、復(また)旨に違えば、すなわち過咎は益々露わになり、 後雖自陳無所逃罪 後で自ら陳(わけをのべる)すると雖も、罪を逃れる所は無し。 然後興師討之於義為得 然る後に師(軍隊)を興してこれを討つのが義に於いて得(よい)と為す。
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九夷之國民居海外 九夷の国の民は海外に居し、 道暢則奉籓惠戢則保境 道が暢(とおる)して、則ち藩を奉り、恵を戢(施(ゆきわたらせる)? 戢(チー)=施(シー)?))して、則ち境を保ち、 故羈縻著於前典楛貢曠於歲時 故(ゆえ)に羈縻(たづな=馬車?)は践轍(わだち 前(セン)=践(セン)?...
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卿備陳強弱之形具列往代之跡 卿は備(つぶさに)に強弱の形を陳(のべる)し、具(つぶさに)に往代(歴代)の跡を列した。 欲殊事異擬貺乖衷 欲は殊(ことなる)にし事は異なり、擬経(経書になぞらえる(百済王余慶の上表書の内容より) 貺(キョウ)=経(キョウ)?)するは衷(中正 中庸)に乖(もとる)。 洪規大略其致猶在...
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今中夏平一宇內無虞 今、中夏は平一で、宇内は虞(懸念)が無い。每欲陵威東極懸旌域表 毎(いつも)、威を東極に陵(しのぐ)し、旌(五色の羽の飾りをつけた旗)、旟(はやぶさをえがいた赤い旗 域(ユィ)=旟(ユィ)?)、旄(先に毛のかざりをつけた旗 表(ビアオ)=旄(ボウ)?)を懸(かかげる)け、 拯荒黎於偏方舒皇風於遠服 荒民(飢饉で苦しんでいる民...
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今若不從詔旨則卿之來謀 今、若(も)し、詔の旨に従わなければ、則ち卿の立謀(たてたはかりごと 来(ライ)=立(リー)?)は、 載協朕意元戎啟行將不云遠 朕意に敵合(かなう 載(サイ)=適(シー)? 協(キョウ)=合(コウ)?)する。元戎(大型兵車)は啟行(先に行く)し、将(まさ)に遠きを厭(いとう 云(ユン)=厭(ユウ)?)わず。 便可豫率同興具以待事...
View Article師舉之日卿為鄉導之首
師舉之日卿為鄉導之首 師挙の日、卿は郷導の首と為って、 大捷之後又受元功之賞不亦善乎 大捷(大勝)の後、又、元功の賞を受けるのも亦(また)善いではないか。 所獻錦布海物雖不悉達明卿至心 献じた所の錦布、海物は悉説(ことこまかに述べる 達(タツ)=説(タツ)?)しないと雖も、 卿の至心(まごころ)を明らかにする。 今賜雜物如別又詔護送安等...
View Article安等至高句麗
安等至高句麗稱昔與餘慶有仇 邵安ら(北魏使者ら)が高句麗に至ると、(高句麗長寿王)は昔、余慶(百済蓋鹵王)と仇が有ると称え、 不令東過安等於是皆還 過ちを了得(さとる 納得する 令(レイ)=了(リョウ)? 東(トウ)=得(トク)?)しなかった。邵安らはここに於いて皆、還った。 乃下詔切責之 すなわち詔を下してこれを切責(きびしく責める)した。
View Article五年使安等從東萊浮海
五年使安等從東萊浮海 延興五年(475)、使者安らは東萊より海に浮かび、 賜餘慶璽書褒其誠節 余慶(百済蓋鹵王)に璽書を賜り、その誠節を褒(ほめる)した。 安等至海濱遇風飄蕩竟不達而還 安らが海浜に至ると、風に遇(あう)して飄蕩(さすらう)し、竟(とうとう)達せずして還った。 今日で魏書 百済伝は終わりです。明日からは、魏書 勿吉伝に入ります。
View Article魏書 勿吉国伝 始め
勿吉國在高句麗北舊肅慎國也 勿吉国は高句麗の北に在り(おそらくピョンヤン、ウォンサン以北の平安南道辺り一帯? 今夫餘為勿吉所逐(百済伝)より)、旧肅慎の国である。 邑落各自有長不相總一 邑落には各自、長(首長)が有り、総一(まとめて一つにする)を相(かたち)さず。 其人勁悍於東夷最強言語獨異 その人は勁悍(強くて荒々しい)で、東夷に於いて最強である。言語は独異である。 常輕豆莫婁等國諸國亦患之...
View Article其地下濕築城穴居
其地下濕築城穴居屋似形塚 その地は玄(くろい 下(ゲ)=玄(=ゲン)?)く湿っており、壌(つち)を築(きねでつきかためる)いて穴居する。屋根は塚の形に似る。 開口於上以梯出入 口は上に開き、梯(はしご)を以て出入りする。 其國無牛有車馬 その国には牛がおらず、鋤耙(すきとまぐわ 車(チョー)=鋤(チュー)? 馬(バ)=耙(バー)?)が有り、 佃則偶耕車則步推...
View Article水氣醎凝鹽生樹上
水氣醎凝鹽生樹上亦有鹽池 水気は寒(さむい 醎(カン)=寒(カン)?)く凝(こおる)し、樹の上に凌(こおり 塩(カン)=凌(リン)?)が生じ、また凌池(厚ごおりの池 塩(カン)=凌(リン)?)が有る。 多豬無羊嚼米醖酒飲能至醉 豬(ブタ)、白羊(シバヤギ? 無(ブ)=白(バイ)?)が多い。米を嚼(かむ)して酒を醖(かもす)す。飲むと至酔(非常に酔う)することができる。 婦人則布裙男子豬犬皮裘...
View Article初婚之夕男就女家
初婚之夕男就女家執女乳而罷 初婚の夕べは、男は女の家に就いて、女の乳を執りて、而して罷(帰る)する。 便以為定仍為夫婦 便(すぐに)定(取り決める)を為すを以て、乃(すなわ)ち夫婦と為る。 俗以人溺洗手面頭插虎豹尾 俗は人の溺(尿)を以て手、面(かお)を洗う。頭は虎、豹の尾を挿す。 善射獵弓長三尺箭長尺二寸以石為鏃...
View Article其父母春夏死立埋之塚上作屋
其父母春夏死立埋之塚上作屋不令雨濕 その父母が春夏に死ぬと、立(すぐに 殯(もがり)はしないという意味?)にこれを埋め、塚の上に屋根を作り、雨でぬらさないようにする。 若秋冬以其尸捕貂貂食其肉多得之 秋冬の場合は、その尸(しかばね)を以て貂(テン)を捕(と)る。貂(テン)はその肉を食べ、これを多く得る。 常七八月造毒藥傅箭鏃射禽獸...
View Article去延興中遣使乙力支朝獻
去延興中遣使乙力支朝獻 去る延興中(471~476)、使者の乙力支を遣わし朝献した。 太和初又貢馬五百匹 太和初年(477)、又、馬五百匹を貢いだ。 乙力支稱初發其國北船溯難河西上至太水河...
View Article詔敕三國同是籓附
詔敕三國同是籓附宜共和順勿相侵擾 三国に詔敕(みことのり)して、この籓附を同じにして宜しく共和、順ずるべきで、互いに侵擾(おかす)すること勿(なか)れと。 乙力支乃還從其來道取得本船泛達其國 乙力支は乃ち還った。その来た道より、本(もと)の船を取得して、泛(浮かぶ)してその国に達した。 九年復遣使侯尼支朝獻明年復入貢...
View Article其傍有大莫盧國
其傍有大莫盧國復鐘國莫多回國庫婁國素和國具弗伏國匹黎爾國拔大何國鬱羽陵國庫伏真國魯婁國羽真侯國前後各遣使朝獻 その傍らには、大莫盧国、復鐘国、莫多回国、庫婁国、素和国、具弗伏国、匹黎爾国、拔大何国、鬱羽陵国、庫伏真国、魯婁国、羽真侯国が有り、前後に各(おのおの)が使者を遣わし朝献した。 太和十二年勿吉復遣使貢楛矢方物於京師...
View Article魏書 失韋国伝 始め
失韋國在勿吉北千里去洛六千里 失韋国は勿吉の北一千里に在り、洛(おそらくソウル?)を去ること六千里(一里150m換算で約900辧法(おそらく失韋は北朝鮮の狄踰嶺山脈の辺り?) 路出和龍北千餘里入契丹國 路(みち)は和龍(おそらく寧辺の辺り?)出でて北へ一千余里(一里150m換算で約150厖召蝓砲之醒阿旅顱覆そらく清川江の上流の熙川の辺り?)に入る。 又北行十日至啜水又北行三日有蓋水...
View Article國土下濕
國土下濕語與庫莫奚契丹豆莫婁國同 国土は玄(くろい 下(ゲ)=玄(=ゲン)?)く湿っている。語(ことば)は庫莫奚、契丹、豆莫婁国と同じである。 頗有粟麥及穄唯食豬魚養牛馬俗又無羊 頗る粟(アワ)麦、及び穄(くろきび)が有り、唯(だた)、豬(いのこ)、魚を食べ、牛、馬を養い、俗はまた白羊(シバヤギ? 無(ブ)=白(バイ)?)を養う。 夏則城居冬逐水草亦多貂皮 夏になれば、常居(留まって住む...
View Article丈夫索發
丈夫索發用角弓其箭尤長 丈夫は髪(発=髪)を索(編む)む。角の弓を用い、その箭(やがら)は尤(はなはだ)長い。 女婦束發作叉手髻 女婦は髪(発=髪)を束ね、叉手髻(もとどり名)を作る。 其國少竊盜盜一征三殺人者責馬三百匹 その国は窃盗が少なく、一を盗むと三で償(つぐなう 征(チョン)=償(チャン)?)う。 殺人者は馬三百匹を責(責任を負う)する。 男女悉衣白鹿皮襦褲...
View Article有曲釀酒
有曲釀酒 嚼醸酒(噛んで醸す酒? 曲(チュイ)=嚼(チュエ)?)が有る。 俗愛赤珠為婦人飾穿掛於頸 俗は赤い珠を愛で、婦人の飾りと為し、穿って頸(くび)に掛ける。 以多為貴女不得此乃至不嫁 多いを以て貴と為し、女が此れを得られないと、乃ち不嫁に至る。
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