夏殷之代時或來王
夏殷之代時或來王 夏、殷の代に、時(ときどき)、或いは往(人に物を贈る)に来た。暨箕子避地朝鮮始有八條之禁 箕子に暨(およぶ)すると、朝鮮に地を避け、始めて八條の禁(犯禁八条)を有した。 疏而不漏簡而可久 疏(こまかくない)にして漏(とりこぼす)らさず、簡(てがるな)にして久(長くとどまる)しくすることができ、 化之所感千載不絕 化(教え)の感した所は、千載(千年)は絶えない。
View Article今遼東諸國
今遼東諸國或衣服參冠冕之容 今、遼東(梁(リョウ)の東?)の諸国(朝鮮半島の諸国、倭?)は、或いは衣は服參(服袗(刺繍をした服)? 参(シン)=袗(シン)?)、冕冠(冠の一種)の容(かたち)で、 或飲食有俎豆之器 或いは飲食には、俎豆の器(お膳や蓋つきの器?)が有り、 好尚經術愛樂文史 経術を好尚(好み尊ぶ)し、文史を愛楽(いつくしみ楽しむ)し、 游學於京都者往來繼路或亡沒不歸...
View Article非先哲之遺風其孰能致於斯也
非先哲之遺風其孰能致於斯也 先哲(昔の賢い人)の遺風(古くから残っている良い風俗)が非(あら)ずに、その誰が斯(このように)に致(いた)すことができるだろうか? 故孔子曰言忠信行篤敬 故(ゆえ)に孔子は曰く、「忠信を言い、篤敬(誠実で慎み深い)を行えば、 雖蠻貊之邦行矣 蛮貊(礼儀を知らない国)の邦(くに)と雖も教(おそわる 教化 行(コウ)=教(コウ)?)するのである」と。
View Article誠哉斯言其俗之可採者
誠哉斯言其俗之可採者 誠(真実)かな、斯(こ)の言は。其(そ)の俗の採(と)るべきものは。 豈徒楛矢之貢而已乎 豈(どうして)、徒(ただ)、楛矢の貢(みつぎもの)而已(それだけ)であろうか? 自高祖撫有周餘惠此中國 高祖(隋文帝)より 周余(北周その他)を撫有(かわいがって自分のものにする)し、此(こ)の中国を恵(いつくしむ)んだ。 開皇之末方事遼左...
View Article二代承基志包宇宙
二代承基志包宇宙 二代(隋煬帝)は基を承り、志は宇宙(全世界)を包み、 頻踐三韓之域屢發千鈞之弩 頻(たびたび)、三韓の域を践(行く)み、屢(しばしば)、千鈞の弩(非常に重いいしゆみ)を発した。 小國懼亡敢同困獸 小国は亡国を懼(おそれる)れ、敢えて闘(たたかう 同(トウ)=闘(トウ)?)い、隋(獣(ジュウ)=隋(ズイ)?)を困(ゆきづまる)らせ、 兵連不戢四海騷然...
View Article兵志有之曰
兵志有之曰務廣者昌務廣地者亡 兵志(兵法書?)には、これが有って曰く、「徳を広めることに務める者は昌(さかえる)し、土地を広めることに務める者は亡(ほろ)びる」と。 然遼東之地不列於郡縣久矣 然るに梁東(遼(リョウ)=梁(リョウ)?)の地は、郡県に列さないこと久しく、 諸國朝正奉貢無闕於歲時 諸国の朝正奉貢は、歳時に於いて欠かさなかった(闕(ケツ)=欠(ケツ)?)。 二代震而矜之以為人莫若己...
View Article內恃富強外思廣地
內恃富強外思廣地以驕取怨以怒興師 内に富強を恃(たの)み、外に広地を思い、驕(おごる)を以て怨みを取り、怒るを以て師(軍隊)を興(おこ)す。 若此而不亡自古未之聞也 此のごとくにして亡ばなかったのは、古(いにしえ)より未だ聞いたことがないのである。 然則四夷之戒安可不深念哉 然らば、四夷の誡(いましめ 戒=誡?)めは、どうして深く念じないことができようかな。...
View Article魏書 高句麗伝 始め
高句麗者出於夫餘自言先祖朱蒙 高句麗とは、夫余より出でて、自ら先祖の朱蒙を言う。 朱蒙母河伯女為夫餘王閉於室中為日所照 朱蒙の母は河伯(鶴鶮と書けて、タンチョウ? 河(ホー)=鶴(ホー)? 伯(ボー)=鄗(ホー)?)の女(娘)で、夫餘王に室中に閉じ込められ、日(太陽)に照らされた。 引身避之日影又逐 身を引いてこれを避けたが、日影(ひかげ)が又(また)逐(追いかける)した。 既而有孕生一卵大如五升...
View Article夫餘王棄之與犬犬不食
夫餘王棄之與犬犬不食棄之與豕豕又不食 夫余王はこれを棄て犬に与えたが、犬は食べず。これを棄て豕に与えたが、豕も又食べず。 棄之於路牛馬避之 これを路(みち)に棄てたが、牛、馬はこれを避けた。 後棄之野眾鳥以毛茹之 後にこれを野に棄てたが、鷲鳥(ワシ 衆(シュウ)=鷲(シュウ)?)が毛(羽毛)を以てこれを茹(つつむ)した。 夫餘王割剖之不能破遂還其母...
View Article其母以物裹之
其母以物裹之置於暖處有一男破殼而出 その母は羽(はね 物(ウー)=羽(ウ)?)を以てこれを裹(つつむ)し、暖かい処に置いた。一人の男の子がいて殻を破って出てきた。 及其長也字之曰朱蒙其俗言朱蒙者善射也 その成長するに及んで、これに字(あざな)して曰く、朱蒙と。その俗の言葉で朱蒙とは、善射(射ることが善(上手い)である)である。 夫餘人以朱蒙非人所生將有異志...
View Article朱蒙每私試知有善惡
朱蒙每私試知有善惡 朱蒙は毎(いつも)私(ひそかに)に試し、善悪の有ることを知った。 駿者減食令瘦駑者善養令肥 駿(速い馬)のものには、減食して瘦せさせ、駑(のろい馬)のものには、善養して肥えさせた。 夫餘王以肥者自乘以瘦者給朱蒙 夫余王は肥えたものを以て自ら乗り、瘦せたものを以て朱蒙に給した。 後狩於田以朱蒙善射限之一矢 後に森(もり...
View Article夫餘之臣又謀殺之
夫餘之臣又謀殺之 夫余の臣は、又これを謀殺しようとした。 朱蒙母陰知告朱蒙曰 朱蒙の母は陰(ひそかに)に知り、朱蒙に告げて曰く、 國將害汝以汝才略宜遠適四方 「国は将(まさ)に汝(なんじ)を害さんとしている。汝の才略を以て、宜しく四方へ遠適(遠くおもむく)するべし」と。 朱蒙乃與烏引烏違等二人棄夫餘東南走 朱蒙はそこで烏引、烏違ら二人とともに、夫余を棄てて東南へ走った。
View Article中道遇一大水
中道遇一大水欲濟無梁夫餘人追之甚急 中道(途中)、一つの大きな川(臨津江?)に偶(あう)し、済(わたる)することを欲したが、梁(はし)が無く、夫余人がこれを追いかけることは甚だ急(はやい)で、 朱蒙告水曰我是日子河伯外孫今日逃走追兵垂及如何得濟...
View Article朱蒙遂至普述水遇見三人
朱蒙遂至普述水遇見三人 朱蒙は遂に普述水(北漢江?)に至り、三人に遇見(出合う)した。 其一人著麻衣一人著納衣一人著水藻衣 その一人は麻の衣を著(着る)し、その一人は苧(からむし 苧(チョ→トウ)=納(ドウ)?)の衣を著(着る)し、その一人は蚕糸(きぬいと 水(スイ)=蚕(サン)? 藻(ソウ)=糸(スー)?)の衣を著(着る)していた。(温暖な気候の地域に来たという意味?)...
View Article初朱蒙在夫餘時
初朱蒙在夫餘時妻懷孕朱蒙逃後生一子字始閭諧 初(以前)、朱蒙が夫余に在していた時、妻が懐孕(みごもる)し、朱蒙が逃げた後に一人の子が生まれた。字(あざな)は始めは閭諧。 及長知朱蒙為國主即與母亡而歸之名之曰閭達委之國事 成長するに及んで、朱蒙が国の主(あるじ)に為ったことを知り、即ち、母と亡(逃げる)してこれに帰した。これを名付けて曰く、閭達と。これに国事を委ねた。 朱蒙死閭達代立閭達死子如慄代立...
View Article及長兇虐國以殘破
及長兇虐國以殘破 成長するに及んで、兇虐(わるものでむごい)で、国は残破(そこないやぶる)するを以てした。 宮曾孫位宮亦生而視人以其似曾祖宮 宮(太祖大王)の曾孫(ひまご 三国史記では季弟の子の弟(川上王)、季弟の子の弟の子(東川王))の位宮も亦(また)、生まれたときに視ることができ、人はその曽祖父に似るを以て、 故名為位宮高句麗呼相似為位 故(ゆえ)に名付けて位宮と為した。高句麗の語(ことば...
View Article其玄孫乙弗利利
其玄孫乙弗利利子烈帝時與慕容氏相攻擊 その玄孫(やしゃご)の乙弗利(美川王)、利(美川王)の子の、烈帝(東晋孝武皇帝(烈宗)? (孝武太元十年 梁書より))の時に、慕容氏(鮮卑 おそらく遼東半島の辺り?)と相(あい)攻撃した。 建國四年慕容元真率眾伐之 建国四年(341年 代の元号)、慕容元真(慕容皝(前燕の初代王 在位337~348))が衆を率いてこれを伐した。 入自南陜戰於木底大破軍...
View Article元真掘父墓載其尸並掠其母妻
元真掘父墓載其尸並掠其母妻珍寶男女五萬餘口 元真はの父の墓を掘り、その尸(しかばね)を斬(きる 載(サイ)=斬(サン)?)り、並びにその母、妻、珍宝、男女五万余人を掠(かす)め、 焚其宮室毀丸都城而還 その宮室を焚(やく)し、丸都城を毀(こわす)して還った。 自後遣使來朝阻隔寇仇不能自達...
View Article世祖時曾孫
世祖時曾孫始遣便者安東奉表貢方物 世祖(北魏 太武皇帝 在位423~452)の時、の曾孫の(長寿王)が使者(便=使?)の安東を遣わし、奉表し方物を貢がせた。 並請國諱世祖嘉其誠款詔下帝系外名諱於其國 並びに国の諱を請うた。世祖はその誠款(まごころ)を嘉(よみ)して、詔(みことのり)して、帝系外の名諱をその国に下した。 遣員外散騎侍郎李敖拜為都督遼海諸軍事征東將軍...
View Article敖至其所居平壤城
敖至其所居平壤城訪其方事云 員外散騎侍郎李敖は、その居する所の平壌城(おそらくソウル市? ピョンヤンとは異なります。都於平壤城亦曰長安城東西六里隨山屈曲南臨浿水復有國內城漢城並其都會之所其國中呼為三京(浿水とは漢江? 三京とはソウル、仁川、水原? 隋書 高句麗伝より)に至り、その方事を訪ねた。云う、 遼東南一千餘里東至柵城南至小海北至舊夫餘...
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